清武弘嗣インタビュー「アジアでは常に日本が一番でいないといけない」

写真拡大

 今季、2部に降格したニュルンベルクからハノーファーへ移籍したMF清武弘嗣は新天地でもすぐさま定位置をつかみ取った。開幕戦こそ途中出場だったが、第2節以降はレギュラーに定着。前半戦の全17試合に出場、うち16試合に先発し、3ゴール3アシストを記録した。ハビエル・アギーレ監督が就任した日本代表からはしばらく遠ざかっていたが、アジア杯メンバー23人に選出された。代表合宿直前に行ったインタビューではブンデスリーガ前半戦を振り返り、ブラジルW杯以来となる復帰を果たした日本代表への思いを聞いた。

―ブンデスリーガ前半戦の3ゴール3アシストという結果についてはいかがですか?

「ほとんど前半戦の後半に取った形だったので(編集部注:3ゴール3アシストはすべて第9節のドルトムント戦以降に記録)、シーズンの最初からもっと得点に絡めていれば、もっと良い数字を残せたと思いますし、決して満足のいく数字ではないですね」

―移籍してすぐにレギュラーに定着しました。

「期待されている中でなかなか結果を出すことができませんでしたが、それでも監督が常に信頼してくれて、調子が悪くても試合に使い続けてくれました。そのおかげで徐々に調子も上がっていったと思いますし、(前半戦の)後半戦につながったと思います」

―海外で移籍することの難しさはありましたか?

「移籍金も高かったので、周りからの期待が大きいということが一番ですかね。ファンからもそういうふうに見られますし、チーム内でもそうです。ニュルンベルクに入ったときはチームで最初の日本人というのもありましたが、自分自身、ドイツで3年目になって、最初になかなか結果が出なかったときは正直、やばいなと思っていました」

―チームメイトに酒井宏樹選手がいたのは心強かったですか?

「それは大きいですね。宏樹がいるからハノーファーに行こうと思ったというのもありますし、生活面でもすごい助けてもらいました。チームメイトとの間にも入ってくれましたし、チームに馴染むまではそんなに時間もかからなかったですね」

―コルクト監督に求められている役割というのはどういうことでしょうか?

「監督からは常に『ゴールを決めてほしい』と言われますね。『シュートを打て、シュートを打て』と何回も言われています。もちろん、ラストパスなども求められていると思いますが、一番はゴールですね。自分自身もそこは一番意識してプレーしています」

―シャルケとの開幕戦では清武選手が途中出場してから逆転勝利を飾りました。

「あのときはシャルケの調子がよくなかったですから。開幕戦でしたし、ケガ人も多かったので。シャルケは(内田)篤人くんが復帰したことが一番大きいと思いますね。篤人くんがいる、いないとではチームの雰囲気も違います。篤人くんがいたら(シャルケの)右サイドからは崩せないと常に思いますし、いなかったら『ラッキーだな』と思いますから」

―前半戦の中で自身のベストパフォーマンスだと思う試合はどれでしょうか?

「(11月7日の第11節)ヘルタ・ベルリン戦ですね。自分の調子も良かったですし、良いゴールも決められました(編集部注:前半44分にCKで先制点をアシストした清武は後半31分に追加点を決め、1ゴール1アシストの活躍で2-0の勝利に貢献)」

―シーズン序盤になかなか結果を残せない中でどういうところを意識して修正していったんですか?

「トップ下でプレーできていたというのが一番よかったですね。ゴールに近いのもありますし、サイドだと、どうしても守備で戻らないといけないので、攻撃のときにスタートのポジションが低くなります。走る距離が長くなるので、最後の最後で疲れてしまっていることもあります。トップ下だと、もちろん守備もしますが、サイドほどは下がらないので、カウンターのときにゴールに近い位置にいられるんですよね。そういう意味でも、理想的だったのはヘルタ・ベルリン戦で自分が決めた2点目のシーンです。カウンターからパスが出てきたとき、相手の最終ラインと同じ位置にいましたから」

―ただ、その後は左サイドにポジションが変わりました。

「ラース(・シュティンドル)が戻ってきてからは左サイドになりましたが、それも新鮮ですよ。どういうふうにゲームをつくるか考えたり、左サイドは左サイドで楽しみなプレーもありますから。ただ、サイドの場合は、どれだけ走れるかがカギになりますね」

―セットプレーで得点を演出するシーンも多いですが、セットプレーの精度にさらに磨きがかかったようにも見えます。

「あんまり変わってないですよ。海外の選手は身長も高いですし、ヘディングも強いですから。練習では監督の指示も細かいので、指示どおりに蹴っているだけです。味方にヘディングが強い選手もいますから、ある程度いいボールを蹴っておけば、あとは中の選手が何とかしてくれると思っています。そこはドイツでの1年目から変わっていません」

―10月25日のドルトムント戦では縦に落ちるフリーキックを直接決めました。

「縦に落ちるキックというのはずっと練習していましたが、試合で蹴ったのはあれが初めてでした。練習どおりに蹴ったと言えば練習どおりだったんですが、入ってよかったですね。フリーキックに関しては、ヤットさん(遠藤保仁)の映像などを見て練習していました」

―後半戦に向けてチームとしての課題はありますか?

「前半戦は波がありすぎたかなと思いますね。3連勝もあれば、3連敗も2回あったので。やっぱり連敗しないチームが強いと思いますし、連敗するとどうしてもチームが良くない方向に行くので、後半戦は連敗をなくしたいですね」

―ハノーファーというと、アウェーで弱いイメージがありましたが、実際に加入してみていかがでしたか?

「それは宏樹からも常に言われていました。ホームでは絶対に勝てるけど、アウェーではなかなか勝てないと。でも、僕はそこまで感じなかったですね。アウェーでの弱さというのは多少はあると思いますけど、それはどのチームにもある問題ですから。そう(アウェーで勝てないと)思ってしまうと、そういうふうにしかならないですし、その意識から変えていければいいのかなと思います」

―前半戦は8位で折り返しましたが、チームのポテンシャルとしてはもっと上に行けると思いますか?

「攻撃に関してはタレントもたくさんいます。ただ、勝ち点は詰まっていますが(3位まで勝ち点4差)、落としてはいけない試合を落としたこともありましたし、後半戦はそういう試合を確実にモノにしていければと思います」

―個人としての目標はありますか?

「チームとしても来季のヨーロッパリーグを目指していると思いますし、選手もみんなそう思っているので、まずはそこですね。個人としてはもっとゴールを決めたいと思っています」

―アジア杯の日本代表メンバーに選ばれ、ブラジルW杯以来の代表復帰となりましたが、選ばれる自信はありましたか?

「全然なかったですね。9月、10月、11月と選ばれていなかったので、まったく予想していませんでした」

―アギーレ監督は「複数のポジションをこなせる」ことを評価していました。

「3か月間、選ばれていない中で呼ばれたのは光栄ですし、うれしいことなので、自分は結果を残せるようにやるだけだと思います」

―ブラジルW杯後の日本代表をどのように見ていましたか?

「選手が代わったなあと思って見ていましたね。もちろん、監督が代われば選手も変わりますし、試合はハイライトぐらいでしか見ていなかったので、早く吸収していきたいですね」

―代表に呼ばれていない間は悔しさもありましたか?

「もちろん悔しい気持ちもありましたけど、ハノーファーに移籍して充実していましたし、代表のことはあまり考えずに日々を過ごしていました」

―残念ながらチームメイトの酒井宏樹選手は選ばれませんでしたが、何か話はしましたか?

「『キヨくん、がんばってね』と言われました。ハノーファーで一緒にプレーしている中で、宏樹もすごいがんばっていますし、パフォーマンスもいいと思います。今回は選ばれなかったですけど、僕も3か月間、選ばれていなかったですし、監督は常に見てくれていると思います。でないと今回、自分も選ばれてなかったと思いますから」

―アジア杯でレギュラーをつかむためにどんなところをアピールしていきたいですか?

「やるからには試合に出たいと思いますが、あまり自分が自分がとなっても良くないので。チームスポーツですから、だれが試合に出てもいい状態で臨めるように、チームがいい方向に向ければいいと思います」

―W杯の悔しさをアジア杯で晴らしたいという気持ちもありますか?

「W杯は別物だと思いますが、アジアでは常に日本が一番でいないといけないと思いますし、そこは変わらず1位でいたいと思います」

―個人的には初めてのアジア杯になります。

「W杯予選でアジアの国とは戦っていますが、アジア独特の難しさがありますし、アジアの戦いはそう簡単ではないと思います。もちろん世界と戦うのも簡単ではないですが、アジアには独特な雰囲気があると思っています」

―W杯直後に「4年後は自分がキャプテンマークを巻いてプレーするという目標ができた」と話していましたが、その気持ちは今も変わっていないですか?

「そうですね。そういう良い目標がある中で、日々がんばっていければと常に思っています」

―そういう考えになったのには長谷部誠選手の影響もあったのでしょうか?

「ハセさんとは1年間、ニュルンベルクで一緒でしたし、代表での姿勢というのもずっと見ていました。でも、今はまだ日本代表のキャプテンはハセさんじゃないといけないと思いますし、ハセさんやベテランの選手の姿勢を見て学ぶことはまだまだたくさんあると思っています」

―世代的にも4年後は自分たちが中心にならないといけないという気持ちがあるのでしょうか?

「僕たちは次のW杯に28歳で臨めます。サッカー選手として一番いい時期だと思いますし、多くの選手が28歳ぐらいでW杯のピッチに立ちたいと思っているはずです。もう若くない年齢ですし、もっともっと貪欲にやっていきたいですね。若手はブラジルW杯に出たメンバーを全部代えるぐらいの勢いでやらないと追いつけないと思いますし、競争がないとチームとしても成長していかないと思っています」

―アディダスの『ナイトロチャージ』を着用していますが、運動量やハードワークを身上とするプレイヤー向けのスパイクということで試合中に感じることはありますか?

「常に走れている感じはしますね。ハノーファーでは試合翌日に、走行距離の書かれた紙が自分のロッカーに置いてあるんですけど、それを見ると、『走ってるなあ』と思いますね。走行距離は常にチームでもトップクラスですが、それはスパイクのおかげでもあります。サッカーでは走ることがすごく大事だと思いますし、自分自身、心がけていることでもあります。走ることでパスも出てきますし、ゴールも決められます。走れないと交代させられることもありますし、そういう面でスパイクには助けてもらっていますね」

(取材・文 西山紘平)