恋に傷つくすべての人へ…BL初心者も感動する「泣けるBL」はコレ
 どうもこんにちは。ゲイライターの渋谷アシルです。みなさま、BL(ボーイズラブ)マンガを読んだことはありますか?

 どうせ腐女子の読むものでしょって? いえいえ、最近では女性ファッション誌でも広く特集され、ひとつのカルチャーとして市民権を得ているんです。そして、何を隠そう、ぼくも筋金入りのBLフリーク。これまでに200冊以上は読んできました。

 そこで、興味はあるけど何から手をつけたらいいのか……というBLビギナーに、ぼくがオススメの作品を紹介します。今回取り上げるのは、「泣けるBL」です。

◆過去のトラウマが、二人の恋の邪魔をする……

 「泣けるBL」として真っ先に挙げられるのは、『どうしても触れたくない』(ヨネダコウ)。この作品は、今年実写映画化もされ、BLマンガの枠を超えて広く知られました(DVD発売中)。

 物語の主人公は、ゲイの嶋。彼が転職初日に、ノンケの外川のもとへ配属されるシーンから始まります。終始仏頂面で誰にも心を開こうとしない嶋と、常にガサツで男気溢れる外川。この対称的な二人が少しずつ歩み寄っていくさまが本筋となるのですが、なかなか一筋縄ではいかないところがもどかしい。

 実は、二人はそれぞれにトラウマを抱えています。嶋は以前の職場でノンケの同僚と付き合っていることがバレてしまい、周囲から陰湿ないじめを受けたという経験を持ち、外川は家族を全員失ってしまったというツライ過去を背負っているのです。

 嶋は確実に外川に惹かれていくのですが、「また同じ過ちを繰り返したくない」「温かい家族というものに憧れを抱く外川を、自分が満たしてあげることはできない」という二重の苦しみから、自分の本当の気持ちにフタをしてしまいます。やがてそこに外川の転勤の話が持ち上がり……。

⇒【YouTube】どうしても触れたくない 予告編 http://youtu.be/zRsKqZ4wRw0

◆「お前と出会えてよかった」

 この物語の一番の泣きどころは、外川が嶋に「お前と出会えてよかった」と呟くシーン。「お前になんか出会わなければよかった」と元カレに言われ、ひどく傷ついた経験を持つ嶋にとって、外川のこのセリフは自身の存在を肯定してくれる一筋の光のようなもの。外川の純粋な愛情が伝わる名シーンです。

 また、同僚である小野田が嶋に、「誰かが嶋くんを悪く言っていたらムカつくくらいに、嶋くんが好きだよ」と言うシーンも感動もの。小野田は二人の関係性を知った上でこのセリフを口にするのですが、それはすなわち、「ゲイである嶋を受け入れている」ということ。これまで心無い言葉を浴びせられ、「どうして自分は男なんだ」と悩んできた嶋にとって、小野田の存在もまた救いとなっているのです。

 相手が望むものを差し出せない自分。終わりの見えている関係性。忘れられない過去の経験。恋愛におけるさまざまな障がいを描いた本作は、まさに泣けるBLでしょう。

 この他、セクシャリティに悩む男子たちを描いた『スメルズライクグリーンスピリット』(永井三郎)や、“温かい食卓を囲むこと”をテーマにした『ふたりごはん』(テラシマ)なんかも、ベクトルは異なりますが、泣ける名作です。

 これまでBL食わず嫌いを貫いてきたみなさま、試しに読んでみてくださいね。

<TEXT/渋谷アシル>

【渋谷アシル プロフィール】
昼間は会社員の仮面をかぶった、謎のゲイライター。これまでお付き合いしてきたオトコをネタに原稿を執筆する、陰険な性格がチャームポイント。オトコに振り回される世の女性のために、ひとり勝手にPCに向かう毎日。