世界で最も小さな国々とそのおかしな指導者たち

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「カルサハラ皇国」に「ほら貝共和国」「シーランド公国」…。世界各地に存在するミクロネーションを訪ねた写真家が語る、地図にない国、最も小さい国にいま、起きていること。

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カルサハラ皇国をご存じ? ほら貝共和国は? ではシーランド公国なら? これらの国々について聞いたことがあるだろうか。

聞いたことがないとしても、それはあなただけではない。2012年に東フランスで独立自治をうたうミクロネーション、ソジェー共和国を訪れるまで、レオ・デラフォンテインもその1人だった。そのときから彼は、世界の他の国々や国際機関から忘れられている小さな独立国家たちに魅かれるようになった。彼の著書『ミクロネーション』には多様な独立国家やその数だけ存在する愉快なリーダーたちが収められている。

デラフォンテインはメールを通して、次のように説明してくれた。

「人類は発見や挑戦が好きだ。新しい国を創ることは人々のそんな欲を満たしてくれるだろう。特定の人々を迫害したり、宗教的な理由ではなくただ楽しみのために新しい国を興し領土を得たり、どうすれば世界を魅了できるのか人々に考える機会を設けたりする、そんなアイデアなんだ」

デラフォンティンはアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどの地域にある12の国々を訪れた。なかには君主国や共和国、“おかしな独裁国家”、そして無政府状態の国もあった。彼はそんな12の国々のうちの3つ──シーランド公国、セボルガ公国、ほら貝共和国のそれぞれから市民権を得た。

オーストラリアにあるハット・リバー公国には年1,000人もの観光客が訪れる。観光地化こそが彼らの存在する理由である。

その他のミクロネーションはその存在そのものを政治風刺として維持している。ほら貝共和国を例として挙げると、ほら貝共和国のホームページには1982年にキーウェスト市長であったデニス・ワードローがほら貝共和国の反乱を「アメリカ海軍の制服を着た男の頭上にのった傷んだキューバパンを折って」象徴的に開始した、とある。


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550平方メートル程度の国土ながら、シーランド公国には教会や監獄まである。

ミクロネーションのなかには、訪問が容易な国もあれば困難な国もある。コペンハーゲンにあるクリスチャニアには観光客が徒歩で入国できるが、シーランド公国はイギリス南東部から10匆に建造された第2次世界大戦時の海上要塞を基にしており、入国とビザの申請には合わせて2,000ドル程かかる。

建国意図に違いはあれ、ミクロネーションと呼ばれる国々は国歌と国旗、パスポートと通貨、軍隊と法律を擁していることについては共通している。エレール王国は子どもたちのための歴史のクラスを開き、国技までつくった。

「わたしが出会ったほとんどのミクロネーションの人々は教養があり、好奇心旺盛で時には皮肉を言い、自分たちが一体何をやっているのかよく理解しているようだった。彼らは頭がおかしいわけでも権力に貪欲だったわけでもない。ただ彼らは自らの祖国を面白おかしく言ったり飾り立てるのが好きなようだった」。デラフォンティーンはそう語る。

ほとんどのミクロネーションは1970年から90年の間に主権を宣言して創設された。そんなミクロネーションにニューカマーが訪れた。2009年、南カリフォルニアにカルサハラ皇国が興ったのである。デラフォンティーンは、タロッサ王国のような新しいミクロネーションのほとんどがネット上にのみ存在する形態をとっていると説明した。

「ミクロネーションの黄金時代はすでに過ぎていると言える。有名な国で言えば、ハット・リバー公国やソジェー共和国はすでに高齢化が進んでいて、そんなミクロネーションは指導者の死がそのまま、国の消滅につながる。ミクロネーションに興味を示す若年層は実際に領土を得ることに興味を見出しているわけではない。彼らはネット上で新しい国を創りだすことのほうに関心を寄せているのだ。それは良いわけでも悪いわけでもないが、ただまったく違うことなのである」。

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