関連画像

写真拡大

正月を迎え、親戚などからもらう「お年玉」を楽しみにしている子どもも多いだろう。だが、ネット上では「親から『預かっておく』といわれて没収された」という悔しい体験を書き込んでいる人もいる。

あるQ&Aサイトには、少年時代、親にお年玉を全額取り上げられていたという男性の怒りがつづられていた。運転免許を取得する際に、今までのお年玉を使いたいと相談したところ、親からは「教育費で消えてしまった」といわれ、返してもらえなかったという。

しかしお年玉は、最初に受け取った「子ども」の財産なのではないか。親が「没収」して、養育費などにあてるのは、問題ではないだろうか。浮田美穂弁護士に聞いた。

お年玉は「子どもの財産」

「『お年玉』は、子どもがもらったものですので、子どもの財産です。一方で、親は子の財産を管理する権限があります(民法824条)。ですから、親は子どものお年玉を預り、管理することができます」

「管理」には「勝手に使ってもよい」という意味も含まれるだろうか。

「いいえ。親が、子どものお年玉を自分の生活費や遊興費に使用することは、財産管理権の濫用、親権の濫用にあたります。この場合は、使用したお年玉を返してもらえます」

食費や教育費など、子どもを育てるための養育費として使った場合はどうだろう。

「ご家庭の経済状況や、どのような品目に支払ったのか、といったことで判断されるでしょうね。

そもそも、養育費は親が負担すべきもので、子どもが負担するものではありません。ですから、子どもの食費や習い事の費用をお年玉から出すのは、不適切です」

習い事がだめなら、進学費用もだめだろうか。

「なかには、貯めたお年玉を、大学進学費用の一部にあてるご家庭もあるでしょう。家庭の経済状況によっては、財産管理権の濫用とは言えないと思います。

また、子どもの預貯金の利息などの『収益』を養育費などに使った場合は、返す必要はありません(民法828条)。財産そのものには手を付けてはいないからです」

家庭の経済状況によっては、妥当といえるケースもありそうだ。ただ、やりすぎると子どもたちの猛反発をうけるので、節度をもった対応をしたほうがいいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年、度金沢弁護士会副会長。2011年から、石川県子ども政策審議会児童福祉部会委員。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
事務所URL:http://kenroku.net/