ゴジラ60年の歴史を振り返る 第7回(全7回)

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 第6回の続きです。

 【第15章・・・ゴジラ2度目の復活】
 
1999年、『ゴジラ2000MILLENNIUM』(本篇監督・大河原孝夫、特技監督・鈴木健二、音楽・服部隆之)でゴジラは日本映画界に4年ぶりの復活を果たします。本作でゴジラは『ゴジラVSシリーズ』よりも小さい身長55メートルとなりました。そして本作からはほぼ毎回のように設定をリセットするようになります。

【関連:ゴジラ60年の歴史を振り返る 第1回(全7回)】

 ストーリーでは、ゴジラを研究しようとする学者とゴジラを退治しようとする政治家の対比という、1954年の『ゴジラ』を彷彿とさせる構図が描かれました。
ただ、CGの出来がいまひとつだったり、タコ型宇宙人が出てきたり、フィクション性の高い超兵器が登場しなかったり、せっかくの新作ゴジラ映画なのに昭和の特撮作品で活躍した俳優が『ウルトラマンレオ』でブラック指令を演じた大林丈史ぐらいだったりして、盛り上がりに欠けました。
音楽面では、「ゴジラの恐怖」のイントロが流れたシーンと、『怪獣総進撃』の大気圏突入の音楽→「ゴジラのテーマ」のメドレーが流れたシーンがありました。

 2000年には『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(本篇監督・手塚昌明、特技監督・鈴木健二、音楽・大島ミチル)が公開。1970年代の『ゴジラ対○○』、平成1桁台の『ゴジラVS○○』に続いて、この時期は『ゴジラ×○○』という表記が用いられています。
本作の劇中世界では、1954年に出現したゴジラは退治されておらず、その後も何度か日本を襲撃しています。そして2000年、『ゴジラ×メガギラス』で出現したゴジラも、1954年に出現したゴジラと同一個体です。

 本作の劇中世界では、1954年に東京がゴジラによって破壊されたことから首都が大阪に遷都。劇中のニュース映像では、新たに制作されたゴジラの東京襲撃映像を見ることができます。そして大阪城と国会議事堂が同一の画面に映るという面白いカットが登場します。また、ゴジラが茨城県東海村の原子力発電所を襲撃したことから日本政府は原子力発電を放棄。水力、火力、太陽光、風力で穴埋めしようとしますが、原子力発電の穴を埋めることができなかったことから、今度は架空の発電方法を実施しますが、この新たな発電方法も再びゴジラに襲撃されるという設定になっています。

 本作では『空の大怪獣ラドン』に登場した体長8メートルのヤゴ・メガヌロンが44年ぶりに登場。44年ぶりという数字は東宝怪獣映画史上不滅の第1位の記録です。そしてメガヌロンが羽化してトンボの怪獣メガニューラになります。メガニューラは実在した太古のトンボでもあり(勿論映画に出てくる怪獣はフィクションですが)、昔、上野の国立科学博物館にメガニューラを再現した模型が展示されていたのですが、あれはなかなか衝撃的でした。劇中のメガニューラがより一層の怪獣化をした姿がメガギラスです。
最終決戦の舞台はフジテレビジョン周辺でした。
本作の終盤では、ゴジラがディメンション・タイドというブラックホール発生装置によって消滅させられますが、ラストにはゴジラ出現が示唆され幕を閉じます。

 配役面では、『地球最大の決戦』以来36年ぶりの怪獣映画出演となる星由里子、ゴジラ映画には『ゴジラVSモスラ』以来8年ぶりの出演となる黒部進らが出演しました。
音楽面では、大島ミチル作曲によるゴジラのテーマ曲が登場、以後『ゴジラ×メカゴジラ』『東京SOS』と3作品に亘って使用されます。伊福部昭による「ゴジラの恐怖」が冒頭のニュース画面に流れた他、劇中には「ゴジラの恐怖」のイントロが流れています。

 2001年には『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』(本篇監督・金子修介、特技監督・神谷誠、音楽・大谷幸)が公開。同時上映は『劇場版とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険』(監督・出崎統、CG監督・樋口真嗣、音楽・岩崎元是)で、往年の東宝チャンピオンまつりが復活したかのようなプログラムでした。それにしてもこの頃の出崎監督のアニメ映画ラインナップを見ると、『ハム太郎』シリーズに『AIR』『CLANNAD』と幅が広すぎますな。

 本作の登場怪獣は、タイトルに入っているゴジラ、モスラ、キングギドラに加え、『怪獣総進撃』以来33年ぶりの登場となるバラゴンです。
本作のゴジラは1954年に退治されたゴジラ以来2匹目という設定で、身長は60メートル、黒目がなく、かなり恐ろしい形相になっています。そして登場人物が、ゴジラは太平洋戦争で亡くなった人々の残留思念の集合体であると指摘しています。ただ、本作のゴジラが劇中世界で本当にそうなのかはよく分かりません。ゴジラ=戦歿者説は本作以前から評論家らによってしばしば指摘されており、そのような説を本作の作り手が取り入れたと言えるでしょう。
一方、日本の国土をゴジラから守る存在として登場したのが護国聖獣という守護神でして、婆羅護吽=バラゴン、最珠羅=モスラ、魏怒羅=ギドラ(キングは付かない)の3匹です。これら3匹は、あくまで日本の国土を守っているのであって、日本人を守っている訳ではないようです。キングギドラは今まで何度も日本を襲撃していたのに、今回は日本を守る側になっちゃったんですから、大きな驚きです(人間が操縦したメカキングギドラという前例がありますが)。
今までキングギドラと3回戦ったモスラは本作ではギドラと共闘。ゴジラの攻撃からギドラを庇って死んでしまいます。モスラはその際、パワーをギドラに与え、ギドラは千年竜王キングギドラになるのでありました。
音楽面では、エンディングで「ゴジラの恐怖」のイントロ、『怪獣総進撃』の大気圏突入の音楽、「ゴジラのテーマ」、「怪獣大戦争マーチ」がメドレーで流れました。

 2002年には『ゴジラ×メカゴジラ』(本篇監督・手塚昌明、特技監督・菊地雄一、音楽・大島ミチル)が公開。『ゴジラたいメカゴジラ』と読む映画はこれで3本目です。同時上映は『劇場版とっとこハム太郎 ハムハムハムージャ!幻のプリンセス』(監督・出崎統、音楽・岩崎元是)。
本作のゴジラは1954年に退治されたゴジラに続く2匹目という設定で、身長は55メートル。
一方のメカゴジラは正式名称を3式機龍という対ゴジラ用兵器です。1954年にオキシジェン・デストロイヤーによって退治されたゴジラの骨を海底から引き揚げ、その骨を文字通り骨格として開発されました。尚、1954年の『ゴジラ』ではオキシジェン・デストロイヤーによってゴジラの骨は溶けて消滅したので、本作は1954年の『ゴジラ』とはパラレルワールドになっています。

 本作で機龍を運用したのは対特殊生物自衛隊(略称・特生自衛隊)。この自衛隊は1966年に千葉県の習志野駐屯地に設立されました。1966年というのは『サンダ対ガイラ』の公開年であり、ガイラとの戦いをきっかけにして設立されたものです。
劇中には『モスラ』(1961年版)『サンダ対ガイラ』の映像が引用され、『ゴジラ×メカゴジラ』に至るまでの対怪獣用兵器の歴史が語られています。そして本作では『サンダ対ガイラ』に登場したメーサー殺獣光線車のデザインを踏襲した新型車輌・90式メーサー殺獣光線車が登場。冒頭のメーサー車の描写は、『サンダ対ガイラ』のリメイクとも言うべきシチュエーションでした。
音楽面では、大島ミチルが佐藤勝、伊福部昭に続く3人目のメカゴジラ作曲家に就任。歴代で4曲目となる本作のメカゴジラのテーマ曲は、2009年の大河ドラマ『天地人』のテーマ曲にも通じる、爽快な曲となっています。ゴジラのテーマ曲は『ゴジラ×メガギラス』と同様です。

 2003年には『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(本篇監督・手塚昌明、特技監督・浅田英一、音楽・大島ミチル)が公開。浅田は『ゴジラ対メガロ』等に携わったベテランで、一時期東宝映画から離れていましたが、久々に東宝特撮映画に復帰しました。同時上映は『劇場版とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!』(監督・出崎統、音楽・岩崎元是)。
ストーリーは前年の『ゴジラ×メカゴジラ』の続篇であると同時に1961年の『モスラ』の後日談でもあります。『モスラ』の登場人物である中條信一博士(演・小泉博)が42年ぶりに再登場し、小美人(演・大塚ちひろ、長澤まさみ)が「お久しぶりです中條さん」と語りかけるシーンでは『モスラ』の映像が回想シーンとして引用されています。また、物語の主人公は中條博士の弟・信次の息子である自衛隊員、中條義人(演・金子昇)です。

 本作の登場怪獣はタイトルにもなっているゴジラ、モスラ成虫(途中まで)、モスラ幼虫(途中から)、メカゴジラの他、『南海の大怪獣』以来33年ぶりにカメーバが登場。但し、死体での登場という酷い扱いでした。登場人物が、かつてカメーバがセルジオ島(『南海の大怪獣』の舞台)に出現したと語っていることから、本作は『南海の大怪獣』とも世界が繋がっていると言えそうです。

 本作におけるゴジラとモスラの戦いは、まずゴジラとモスラ成虫の戦いから始まります。モスラ成虫の寿命が残り少なくなると、卵から双子のモスラ幼虫が誕生し、現場に駆けつけます。しかし幼虫の目の前で、成虫がゴジラの放射熱線の直撃を受け爆発するというショッキングな展開になってしまうのでした。目の前であんなものを見せられたモスラ幼虫の心境はいかばかりであったでしょうか。結局、モスラ幼虫は糸でゴジラを行動不能にするのでありました。

 ゴジラとモスラの戦いのシーンには、『モスラ対ゴジラ』をリメイクしたような描写が見られます。モスラ成虫がゴジラの頭上に迫るシーンでアップを多様するあたりはまさに『モスラ対ゴジラ』の再現。モスラ幼虫が双子である点、モスラ幼虫がゴジラの尻尾に噛みつく点、モスラ幼虫が糸でゴジラをがんじがらめにする点も『モスラ対ゴジラ』を踏襲しています。因みにモスラ幼虫がゴジラの尻尾を噛むのは『モスラ対ゴジラ』『地球最大の決戦』『ゴジラVSモスラ』に続いて4度目。但し『地球最大の決戦』ではゴジラがモスラ幼虫に斜面を登らせるためにわざと噛ませています。
さて、戦闘中には東京タワーと国会議事堂が破壊されていますが、意外にもゴジラが東京タワーを破壊するのは今回が初めてです。
音楽面では、ゴジラの曲とメカゴジラの曲は前作と同様。また小美人が歌う「モスラの歌」が登場しますが、その直前の「モースラー♪」というかけ声の音程は、『地球最大の決戦』の時と同じですね。

 2004年には『ゴジラファイナルウォーズ』(本篇監督・北村龍平、特技監督・浅田英一、音楽・キース・エマーソン、森野宣彦、矢野大介)が公開。
怪獣が海外に次々に出現するストーリーは『怪獣総進撃』を彷彿とさせるものですが、登場怪獣は『怪獣総進撃』の11匹を上回る15匹。毎度お馴染みのゴジラ、モスラ成虫の他、昭和40年代の愉快な映画で活躍した懐かしの怪獣達がオールスターで登場しています。
『オール怪獣大進撃』以来35年ぶりの登場となるエビラ、『ゴジラ対ヘドラ』以来33年ぶりの登場となるヘドラ、『ゴジラ対ガイガン』のイメージ映像以来32年ぶりの登場となるミニラ、クモンガ、カマキラス、『ゴジラ対メガロ』以来31年ぶりの登場となるガイガン、『ゴジラ対メカゴジラ』以来30年ぶりの登場となるアンギラス、キングシーサー、『メカゴジラの逆襲』のイメージ映像以来29年ぶりの登場となるマンダが登場。
更に『ゴジラVSメカゴジラ』以来11年ぶりの登場となるラドン、1998年のアメリカ版ゴジラによく似たジラ(ゴジラの英語表記からGODを取った)、新怪獣モンスターXとその変身形態・カイザーギドラも登場しました。
ラドンはニューヨーク、アンギラスは上海、ジラはシドニー、カマキラスはパリ、クモンガはアリゾナを襲撃しています。

 怪獣以外にも、轟天号、地球防衛軍、X星人(演・伊武雅刀、北村一輝)、妖星ゴラス、小美人(演・長澤まさみ、大塚ちひろ)、インファント島、メーサー殺獣光線車が登場するという、東宝の怪獣映画、SF映画の歴史を1本に纏めたような大作になりました。冒頭に「田中友幸・本多猪四郎・円谷英二に捧ぐ」「ゴジラ誕生50周年記念」と表示される点がそのことを象徴しています。
地球防衛軍設立の経緯を説明するナレーションの背景にバラン、ゲゾラ、バラゴン、ガイラ、チタノザウルス、メガギラスの映像が登場することから、『ゴジラファイナルウォーズ』の劇中世界は『大怪獣バラン』『南海の大怪獣』『フランケンシュタイン対地底怪獣』『サンダ対ガイラ』『メカゴジラの逆襲』『ゴジラ×メガギラス』の世界と繋がっている可能性もあります。
映画の序盤では1963年の『海底軍艦』に登場した時とよく似たデザインの轟天号が登場してゴジラを氷山に閉じ込めていましたが、その後、新たなデザインの轟天号が登場。新・轟天号にマンダが巻き付く場面は、『海底軍艦』のリメイクとも言うべき場面でした。

 本作のゴジラは9年ぶりに身長100メートルになり、対怪獣戦では身軽なアクションと圧倒的な強さを見せています。ゴジラが怪獣と順番に戦う一連のシーンは、北村一輝の「次!」などという進行ぶりと相まってバラエティー番組風の雰囲気を醸し出していました。ゴジラ、アンギラス、ラドン、キングシーサーが戦う場面は擬人的な動きが見られ、1960年代の『地球最大の決戦』『怪獣大戦争』『南海の大決闘』を彷彿とさせるノリとなっています。

 本作における愉快なシーンは他にもあり、劇中のテレビ討論番組では大槻義彦と韮澤潤一郎が宇宙人を巡って討論し、テレビ朝日の番組『ビートたけしのTVタックル 嵐の大ゲンカ 超常現象バトル』を再現するという、90年代のオカルトネタに親しんだ観客にとっては嬉しい場面もありました。
同年の大晦日にテレビ朝日で放送された『ビートたけしのTVタックル 嵐の大ゲンカ 超常現象ファイナル・ウォ―ズ 世紀のスクープ!宇宙人解剖ビデオ 最強オカルト軍団総決起!』(題名長すぎ笑)に浅田監督がVTR出演して、宇宙人解剖フィルムを特撮で再現するには300万円あれば可能だと語っていたのはいい思い出です。
音楽面では、『キングコング対ゴジラ』(音楽・伊福部昭)におけるゴジラのテーマ曲が東宝マーク〜冒頭部分に流れた他、ミニラ登場時には『ゴジラの息子』(音楽・佐藤勝)におけるミニラの劇伴が、メカゴジラとは関係のない場面に『ゴジラ対メカゴジラ』(音楽・佐藤勝)における初代メカゴジラのテーマ曲が流れました(登場人物がヘッドホンで聞いていたのか?)。但し、エンドロールでは伊福部昭の名前は表示されたのに佐藤勝の名前は表示されませんでした。

 ラストではミニラがゴジラと人間の間を仲介し、怪獣と人間の共存を暗示して幕を閉じました。
 2005年には東宝映画『劇場版超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち』(本篇監督・大森一樹、特技監督・川北紘一、音楽・高木洋)が公開され、大森&川北コンビが『ゴジラVSキングギドラ』以来14年ぶりに復活。轟天号が『海底軍艦』『惑星大戦争』『ゴジラファイナルウォーズ』に続いて4作目の登場を果たし、出撃シーンでは伊福部昭による「海底軍艦マーチ」も流れました。

 
【第16章・・・2014年、『ゴジラ』公開】

 2014年、ワーナー・ブラザーズとレジェンダリー・ピクチャーズによるアメリカ版『ゴジラ』(監督・ギャレス・エドワーズ、音楽・アレクサンドル・デスプラ)が公開されました。『ゴジラ対ヘドラ』を監督した坂野義光が製作総指揮を務めています。配役面では、渡辺謙が芹沢猪四郎博士という役を演じていますが、この役名は1954年版『ゴジラ』の登場人物・芹沢大助博士と本多猪四郎監督を合体させた名前となっています。

▼動画:http://youtu.be/oHKGx1pzczg

アメリカ版『ゴジラ』より

 吹き替え版では、『ゴジラ対メガロ』『メカゴジラの逆襲』『ゴジラVSビオランテ』『ゴジラVSキングギドラ』に出演した佐々木勝彦らが登場人物の声を当てています。
 エンドロールでは出演者の中に宝田明の名前がありますが、出演シーンはカットされた模様です。期待していたのに残念。
 本作の特徴について1点だけ指摘しておくと、1954年の核実験が原因でゴジラが出現したという設定が改変されている点が大きな特徴となっています。1954年版『ゴジラ』の海外版である『怪獣王ゴジラ』で、水爆実験によってゴジラが出現したという設定がカットされた前例がありましたが、それに続く2回目の改変と言えるのではないでしょうか。
1998年に公開されたアメリカ版『ゴジラ』はフランスの核実験によって誕生した怪獣でしたから、この点においては2014年版『ゴジラ』よりも1998年版『ゴジラ』の方が原典に忠実だと私は考えています。

 
【第17章・・・ゴジラ60年の歴史を振り返る】

 ゴジラ60年の歴史を作品の製作順で振り返りますと、まずは1954年から1968年までを1つの時代と捉えることができます。この時代は円谷英二率いる東宝特殊技術課が怪獣映画・SF映画を量産していた時代であり、ゴジラが登場する怪獣映画のみならず、ゴジラが登場しない怪獣映画も製作されていました。
続く1969年〜1975年は、東宝チャンピオンまつりの時代です。これは子供の長期の休み期間に怪獣映画やアニメ等を上映する子供向けプログラムであり、『ゴジラ対○○』等の新作怪獣映画が毎年製作されました。東宝チャンピオンまつりで上映された新作は、低予算で製作された、正義の味方であるゴジラが活躍する作品でした。
1984年〜1995年は身長がアップしたゴジラが登場する『ゴジラVSシリーズ』の時代です。この時代のゴジラは再び人類の脅威に戻りました。
1999年〜2004年は、作品ごとにほぼ毎回設定がリセットされて新たな劇中世界の歴史が作られる時代となりました。

 では劇中世界の歴史がどうなっていたかと言うと、まず劇中世界の歴史が繋がっていたと考えられるのが『ゴジラ』→『ゴジラの逆襲』→『ラドン』→『モスラ』→『キングコング対ゴジラ』→『モスラ対ゴジラ』→『地球最大の決戦』→『怪獣大戦争』→『南海の大決闘』→『ゴジラの息子』→『怪獣総進撃』で、これをグループ1と呼びましょう。『怪獣総進撃』の舞台は20世紀末なので、最後ということになりましょうか。
『ゴジラ対ヘドラ』→『ゴジラ対ガイガン』→『ゴジラ対メガロ』→『ゴジラ対メカゴジラ』→『メカゴジラの逆襲』も劇中世界の歴史が繋がっていると考えられるので、これをグループ2と呼びましょう。
一般的にグループ1とグループ2の劇中世界の歴史は繋がっているものとして扱われますが、よく吟味してみますと、『ゴジラ対ガイガン』で怪獣島の住人のイメージ映像としてミニラ、モスラ幼虫、クモンガ、カマキラス、ゴロザウルスが、『メカゴジラの逆襲』では人類を襲う怪獣のイメージ映像としてキングギドラ、ラドン、マンダが登場していますので、グループ1のこれらの怪獣の登場作品と繋がっているのでしょう(尚キングギドラは『ゴジラ対ガイガン』に登場しています)。
続いて『ゴジラ』(1954年版)→『ゴジラ』(1984年版)→『ゴジラVSビオランテ』→『ゴジラVSキングギドラ』→『ゴジラVSモスラ』→『ゴジラVSメカゴジラ』→『ゴジラVSスペースゴジラ』→『ゴジラVSデストロイア』は劇中世界の歴史が繋がっており、これをグループ3と呼ぶことにしましょう。
『ゴジラ2000』以降はほぼ毎回設定がリセットされているので、ここからややこしくなります。
『ゴジラ』(1954年版)→『ゴジラ2000』がグループ4。
『ゴジラ』(1954年版)→『ゴジラ×メガギラス』がグループ5。
『ゴジラ』(1954年版)→『大怪獣総攻撃』がグループ6。
『ゴジラ』(1954年版)→『モスラ』(1961年版)→『サンダ対ガイラ』→『南海の大怪獣』→『ゴジラ×メカゴジラ』→『東京SOS』がグループ7。
『ゴジラ』(1954年版)→(『大怪獣バラン』→『南海の大怪獣』→『フランケンシュタイン対地底怪獣』→『サンダ対ガイラ』→『メカゴジラの逆襲』→『ゴジラ×メガギラス』→)『ゴジラファイナルウォーズ』がグループ8。グループ8については、『大怪獣バラン』から『ゴジラ×メガギラス』までをかっこに入れました。
グループ1とグループ2は繋がっていますから、ゴジラが出現した世界は7個の並行世界になっていると言えそうです。

 ところで、今までの映画で登場回数が多かったのはどの怪獣でしょうか。上位の怪獣を発表したいと思います。集計に当たっては、ストーリーに絡んだ登場作品のみをカウントすることとし、『ゴジラ対ガイガン』『ゴジラ対メカゴジラ』『メカゴジラの逆襲』『ゴジラ×メカゴジラ』に登場したイメージ映像、イメージ静止画、回想シーンはカウントしないこととします。
 第1位は言うまでもなくゴジラで28本。
 第2位はモスラで13本。やはり主演映画が4本もあるのは強い。登場作品は『モスラ』(1961年版)『モスラ対ゴジラ』『地球最大の決戦』『南海の大決闘』『怪獣総進撃』『ゴジラVSモスラ』『ゴジラVSスペースゴジラ』『モスラ』(1996年版)『モスラ2』『モスラ3』『大怪獣総攻撃』『東京SOS』『ゴジラファイナルウォーズ』です。
 第3位はアンギラスとラドンとキングギドラの3匹が7本で並びました。
アンギラスの登場作品は『ゴジラの逆襲』『怪獣総進撃』『オール怪獣大進撃』『ゴジラ対ガイガン』『ゴジラ対メガロ』『ゴジラ対メカゴジラ』『ゴジラファイナルウォーズ』。昭和43年から49年までほぼ毎年のように登場し、本数を稼いでいます。
ラドンの登場作品は『ラドン』『地球最大の決戦』『怪獣大戦争』『怪獣総進撃』『ゴジラ対メガロ』『ゴジラVSメカゴジラ』『ゴジラファイナルウォーズ』。キングギドラと3作品で共演し、共演が多い印象です。
キングギドラの登場作品は『地球最大の決戦』『怪獣大戦争』『怪獣総進撃』『ゴジラ対ガイガン』『ゴジラVSキングギドラ』『モスラ3』『大怪獣総攻撃』。1960年代、東宝チャンピオンまつり時代、ゴジラVSシリーズ、モスラ主演映画、2000年代と満遍なく登場しています。

 
【終章・・・まとめ】

 長きに亘ってゴジラ60年の歴史を見てまいりましたが、ゴジラ60年の歴史は、現実世界を映す鏡でもありました。核兵器の脅威、高度経済成長、公害、冷戦、生命倫理、バブル景気、原子力発電所など。
 また、ゴジラ60年の歴史は日本の映画人達が特撮を駆使して作品作りを続けてきた歴史でもありました。ゴジラの特撮を手掛けた東宝特殊技術課には戦前戦中、円谷英二、川上景司、渡辺明、上村貞夫、鷺巣富雄らがおり、これらの人物が日本の特撮文化を開花させたのです。これらの人物の活躍の場は東宝だけに留まらず、他社においても特撮作品を作り続けました。
更に、これら戦前世代と共に作品作りに携わった戦後世代、即ち、有川貞昌、中野昭慶、川北紘一といった人々が更に作品を作り続けるという好循環を生み、日本の特撮文化を豊かにしていったのです。本稿が、日本の特撮文化を伝えることに多少なりとも貢献できれば、これに勝る喜びはありません。
東宝は2016年に、12年ぶりに国内製作のゴジラ映画を公開するそうです。これからもゴジラの歴史を見守っていこうではありませんか。

<参考資料>
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東宝株式会社・監修『東宝特撮映画大全集』2012年、ヴィレッジブックス
松田岳久・編『日本特撮・幻想映画全集』1997年、勁文社
ブラックアンドブルー・編『日本特撮名鑑』1999年、ネコ・パブリッシング
イオン・編『ゴジラ画報』1993年、竹書房
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雑誌『ゴジラマガジンVol.1〜7』1992〜1995年、勁文社
川北紘一・監修『まるごとゴジラ映画』1993年、学習研究社
秋田英夫『ゴジラの常識』2014年、双葉社
鈴木和幸『翔びつづける紙飛行機 特技監督円谷英二伝』1994年、歴史春秋社
円谷一『円谷英二 日本映画界に残した遺産』2001年、小学館
竹内博、山本眞吾・編『完全・増補版 円谷英二の映像世界』2001年、実業之日本社
中野昭慶・著、染谷勝樹・編『特技監督 中野昭慶』2014年、ワイズ出版
イオン・編『ウルトラマン・クロニクル』1997年、竹書房
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円谷プロダクション・監修『ウルトラマン大辞典』2001年、中経出版
『てれびくんデラックス 愛蔵版ウルトラセブン』1989年、小学館
円谷英明『ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗』2013年、講談社
『円谷プロ特撮DVDコレクション 09』2013年、講談社
イオン・編『ガメラ画報』1996年、竹書房
樋口真嗣・責任編集『テレビランドカラーグラフデラックス2 平成ガメラスペシャル』1995年、徳間書店
『ガメラ大怪獣空中決戦大百科』1995年、勁文社
堤哲哉・著、鷺巣富雄・監修『マグマ大使パーフェクトブック』1999年、白夜書房
『東映ビデオコレクション劇映画総解説』1999年、東映
『改訂増補版 テレビマガジン ヒーロー大全集』1992年、講談社
小松左京『日本沈没』1973年、光文社
五島勉『ノストラダムスの大予言』1973年、祥伝社
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新映画宝庫編集部、ニューライン・編『新映画宝庫Vol.4 スタークラッシュ 大宇宙映画放浪編』2002年、大洋図書
映画秘宝編集部・編『底抜け超大作』1996年、洋泉社
映画秘宝編集部・編『70年代映画懐かし地獄』2002年、洋泉社
『別冊映画秘宝 戦艦大和映画大全』2010年、洋泉社
岸川靖、STUDIO28『世界怪獣映画入門!』2013年、洋泉社
別冊映画秘宝編集部・編『新世紀怪獣映画読本』2014年、洋泉社
沢辺有司『ワケありな映画』2011年、彩図社
上妻祥浩『絶叫!パニック映画大全』2014年、河出書房新社
樋口尚文『『砂の器』と『日本沈没』 70年代日本の超大作映画』2004年、筑摩書房
小林淳・著、井上誠・編集『伊福部昭の映画音楽』1998年、ワイズ出版
渡辺啓貴・編『ヨーロッパ国際関係史 繁栄と凋落、そして再生』2002年、有斐閣
コンサート『伊福部昭百年紀』のパンフレット 2014年
CD『伊福部昭 映画音楽選集』1999年、キングレコード
CD『伊福部昭 特撮映画マーチ集』1994年、EMIミュージック・ジャパン
CD『ゴジラシンフォニックコンサート』1994年、SLC
CD『ゴジラ大全集3 キングコング対ゴジラ』1993年、EMIミュージック・ジャパン
CD『GODZILLA THE BEST 1954-1998』1998年、EMIミュージック・ジャパン
CD『The Best of Godzilla 1984-1995』1998年、GNP Crescendo Records
CD『東宝怪獣映画選集9  緯度0大作戦』1997年、EMIミュージック・ジャパン
CD『円谷プロの世界』1995年、ファンハウス
CD『円谷プロBGMコレクション ウルトラQ ミュージックファイル』1999年、バップ
CD『特撮テレビ・ヒーロー主題歌集』1987年、日本コロムビア
CD『J-CINEサントラコレクション ノストラダムスの大予言』1996年、バップ
CD『J-CINEサントラコレクション 新幹線大爆破』1996年、バップ
CD『石ノ森章太郎萬画音楽大全2 交響組曲宇宙からのメッセージ』1998年、日本コロムビア
CD『交響組曲ドラゴンクエスト呼海れし者たち』1990年、アポロン
テレビ番組『愛のヒーロー大怪獣ガメラ』1992年、日本放送協会
テレビ番組『ガメラ2スペシャル 日本超大作SFX映画博覧会』1996年、日本テレビ放送網
テレビ番組『ビートたけしのTVタックル 嵐の大ゲンカ 超常現象ファイナル・ウォ―ズ 世紀のスクープ!宇宙人解剖ビデオ 最強オカルト軍団総決起!』2004年、テレビ朝日
テレビ番組『昭和偉人伝』2014年、ビーエス朝日
谷口千吉・総監督、山岸達児、亀田利喜夫、下坂利春・監督『公式長編記録映画 日本万国博』1971年、財団法人日本万国博覧会協会・企画、社団法人ニュース映画製作者連盟・製作
『日本映画データベース』 www.jmdb.ne.jp

(文:コートク)