アギーレ監督の八百長疑惑にメディアからの質問やまず

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12月29日、アジアカップに向けた日本代表の合宿がスタートした。決勝まで進出すると、1カ月を超える長期合宿となる。また、アギーレ監督にとっては初めてじっくり選手を手元で見る機会となる。ザッケローニ前監督が2014年ワールドカップまでのベースを作ったのは2011年アジアカップだったことを考えると、この1カ月は日本代表にとって重要な意味を持つ。

アギーレ監督はこの日、最初のミーティングで選手に27日の釈明会見と同じ説明を行い、「選手からの質問を受け付けたがなかった」ため「これから先はサッカーの話をしよう」と言ったという。ところが、日本代表を取り巻くメディアは、まだ八百長疑惑への関心のほうが高そうだ。

29日は合宿初日だったため、恒例どおりアギーレ監督が質疑応答に応じた。最初にテレビ局、その後記者からの質問を受け付けたが、その中でも「八百長疑惑をどう選手に説明したか」という質問や「アジアカップでも質問されるのではないか」という問いがいくつも飛んだ。

本来なら釈明会見で質疑応答に答えているため、そっけなく終わることもできただろう。だがアギーレ監督は答え続けた。ずっと笑顔を浮かべていたのは百戦錬磨だからなのだろう。ただし、この質問が多いためにアジアカップに関する質問が減っているのは間違いない。

アジアカップは優勝することで、ワールドカップ前年にロシアで開催されるコンフェデレーションカップの出場資格を得ることができる貴重な大会だ。アジアカップ中はアギーレ監督が指揮を執ることが確定した以上、ここから先はチーム作りの評価のほうが重要ではないか。たとえ八百長疑惑が晴れたとしても、チーム作りが順調に進まないようなら、それは監督に責を問うべきことなのだ。

サッカーの話でも八百長疑惑と同じくらい追及してこそ、本来のサッカーに対するメディアの姿勢のはず。アギーレ監督が「ここから先はサッカーの話をしよう」と呼びかけたのは、選手たちに対してだけではないのかもしれない。

【日本蹴球合同会社・森雅史】