12月29日にアジアカップに向けた合宿をスタートさせた日本代表。懸念材料は多いが、逆にチームの一体感を強めるチャンスでもあるはずだ。(C) SOCCER DIGEST

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 イメージは、時に染み付いたらなかなか消せないものだ。このタイミングで「アギーレ監督はどんな人?」と一般人に訊けば、かなりの確率で「日本代表監督」ではなく「ああ、八百長疑惑の人ね」と答えるのではないか。12月27日の釈明会見で身の潔白を主張したとはいえ、それで解決とはならない。実際、12月29日にアジアカップへ向けた国内合宿がスタートしても、話題の中心は“監督の八百長疑惑を選手たちはどう思っているか”だった。
 
 アギーレ監督は練習前に直接、選手に事の経緯を説明。「釈明会見で話した内容を選手に伝えた。彼らは落ち着いて聞いていた。何か質問があればと問いかけたが、特に反応はなかった」
 
 それはそうだろう。選手の立場からすれば余計な詮索をせず「監督を信頼して付いていくだけ」(香川)だ。他の選手の声に耳を傾けても、「直接話してくれたことで心の中に入っていた」(長谷部)「気になりません」(森重)「サッカーに集中するだけ」(岡崎)と、練習後のミックスゾーンに飛び交うのは想定内のコメントだけだった。
 
 今後気がかりなのは、アジアカップが終わるまで八百長疑惑がついて回ることだろう。大会中、日本のメディアに限らず他国の報道陣もこのスキャンダルには少なからず関心を寄せてくるはずで、そういうシチュエーションで監督、選手が痺れを切らさないかがポイントのひとつになると思う。つまり、アジアカップで頂点を極めるには雑音に振り回されない“平常心”が必要になる。
 
 メンタルの強さは、困難な状況に陥ってこそ養われるファクターだ。主力のひとり、内田の負傷離脱(右膝痛)も「チームにとっては痛手」(森重)だが、こうしたトラブルを乗り越えて栄冠を掴めれば、選手たちは心身ともに今以上にタフになれる。
 
 日本代表を取り巻く現状は芳しくない。八百長疑惑の影響は? 内田不在のダメージは? 抱える問題は複数ある。決して良いとは言えない流れを“一変”するには、アジアカップで連覇を達成するのみ。そうなればアギーレ監督に染み付いたイメージもだいぶ薄まり、その時初めて「日本代表監督」と国民に認知されるかもしれない。
 
取材・文:白鳥和洋(週刊サッカーダイジェスト)