消費増税の先送り&アベノミクスの継続を受けて、’15年も高値追いの展開が予想されるが、過剰な量的緩和の弊害も顕在化して頭打ちとなる可能性が
オリンパス事件をはじめとした経済事件の裏側から、政治・マーケット分析まで、独自の視点で執筆してきた闇株新聞氏。経済記者も購読するそのメルマガには日本経済を読み解くヒントが満載だ。果たして、闇株新聞氏は2015年の日本をどのように見ているのか? 緊急寄稿してもらった。

◆過剰な量的緩和の弊害で’15年相場は頭打ちに!?

 12月14日の衆院選は大方の予想どおり自民党の大勝に終わりました。このままいけば消費増税は’17年4月に実施され、それまで日銀の量的緩和が続きます。結果、円安が続き「とりあえず」株高となります。

 日銀は10月31日の金融政策決定会合で追加緩和を決定しました。これから年間80兆円もの長期国債を買い入れる予定です。増税は2年半後なので、それまでに日銀の長期国債保有残高は200兆円も増えることになります。

 10月末時点の日銀の国債保有残高は240兆円(短期国債を含む)なので、消費増税までに残高は450兆円近くに達していることになります。これに対して日銀券(お札)の発行残高は10月末で87兆円、2年半後にはせいぜい100兆円でしょう。そうすると差し引き350兆円もの当座預金残高(金融機関が日銀に預けている当座預金)が外部負債として積み上がっていることになります。つまり、日銀は350兆円も「借金」をして450兆円もの国債に投資する巨大な化け物のようなヘッジファンとなります。

 しかし、今までも日銀が国債を大量に買い入れていましたが、実体経済は一向によくなっていません。

 その一方で明確な「弊害」があります。1つが長期金利の低下です。金利が低ければ日本全体の投資収益・事業収益も低くなり、結果として日本はデフレになります。日銀は2%の物価上昇を実現するために国債を買い入れるのですが、実際にはデフレを誘発していることになります。

◆日銀はFRBと同様、量的緩和を縮小すべき

 もう1つが円安の加速です。日本から巨額の資金が海外に流出します。その結果、1000兆円の公的債務を国内資金で安定的にファイナンスできなくなり、財政破綻が近づくことになります。単純に円安=株高と喜んでいるわけにはいきません。

 リーマンショック後に世界の中央銀行が金融緩和に踏み切ったため、世界的に長期金利が低下してデフレ傾向となり、潜在成長率が低下しているともいえます。この傾向は’13年頃から顕著に表れています。FRBがQE3(量的緩和)の縮小に踏み切ったのは、そうした変化をいち早く察知したから、と考えるのが自然でしょう。

 大変逆説的に聞こえると思いますが、デフレと財政破綻を避けるには、FRB同様、日銀も量的緩和を縮小すべきです。意味のない「2%のインフレ目標」を捨て、「年間2%の円高目標」に差し替えることです。そうすれば長期金利が健全に上昇して日本全体の投資収益・事業収益がかさ上げされ、同時に「確実に値上がりする円」を求めて世界の投資資金が集まるはずです。国内資金の海外流出が止まり、公的債務は安定的にファイナンスされます。

 もちろん、一時的に日本株が下落するなどの弊害も出ますが、政府や日銀がそうすべき理由を正確に解説すれば落ち着くはずです。QE3終了宣下後に史上最高値を更新しているNY株式市場がその好例です。

【闇株新聞】
大手証券でトレーディング、私募ファイナンスのアレンジなどを手掛けた某氏が’10年に創刊。オリンパス事件、AIJ投資顧問事件などで、いち早く真相を解き明かして話題に。’12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」を開始した

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