これまで公的年金の現状について触れてきました。平均的水準が下がることは残念ですが、それがどの程度なのかが把握できるようになったのは今回の財政検証の大きな効果だとお話ししました。同時に、少しでも将来世代の公的年金の水準を回復させるべく、今後、想定される制度改正を行った場合にどの程度所得代替率(現役時代の手取り収入に対する年金額の割合)が改善するのかも試算されています。

 若い世代の場合、このような変化が自分の人生に与えるのはかなり先の将来なので、変化として実感しにくいでしょう。一方で、すでに年金を受給している高齢者にとっては、この変化のインパクトは大きくなります。では、その中間に位置するオヤジ世代への影響はどうなのでしょうか?&ここでは先日、国によって試算された(1)マクロ経済スライド(人口動態のバランスを取るための給付減額措置)の改正、(2)厚生年金の対象者の拡大、そして(3)基礎年金の加入期間の拡大の三つの影響について見ていくことにします。

デフレ下でのマクロ経済スライド

 まず、マクロ経済スライドについては、十分なインフレ状態にないと機能しない現行の仕組みから、たとえデフレ下にあっても機能するように変えるという案が議論されています。実際、これに向けて政府も検討を始めたと2014年6月17日の日本経済新聞朝刊でも報道されましたが、これは何を意味するのでしょうか?もともとマクロ経済スライドという仕組みは今の受給者の年金額を実質的に減らし、年金財政をサスティナブルな状態に持っていくことを狙っています。平たく言えば、今の受給者の年金減額分を将来世代に持っていくイメージになります。これをデフレでも実施できるようにすると、早いペースでサスティナブルな状態になりますから、これ自体は年金財政にとっては良いことです。では、オヤジ世代の一個人の視点から見るとどうでしょうか?マクロ経済スライドの発動が遅れると、オヤジ世代が退職した後もだらだらと給付額の調整が続き、給付額がどんどん減ってしまいます。いずれにしても、今より年金水準は下がりますが、早期にサスティナブルな状態に入り、給付が確定するのはオヤジ世代にとっては決して悪いことではないでしょう。

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