29日からアジアカップに向けた合宿に入る日本代表。5度目の優勝に期待が懸かる。(C) SOCCER DIGEST

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 日本は過去アジアカップに7度出場し4度優勝している。
 
 ただし本格的に準備をして臨んだのは1992年以降なので、実質的には6度出場で4度優勝という見方もできる。つまり3分の2は優勝をしており、決勝では負けたことがない。
 
 一方で圧倒的な強さで優勝を飾ったのはレバノンで開催された2000年(フィリップ・トルシエ監督時)だけで、残る3度のタイトルにはいずれも紙一重の奇跡的な勝利を経て到達している。やや皮肉めいているが、世界の舞台に出ると「決定力に欠ける」「勝負弱い」と指摘されがちな日本も、アジア大陸内ではドイツのような壁になりつつあるのかもしれない。
 
 こうして歴史的経緯を見ても、アジアカップは日本にとって優勝を宿命づけられた大会だ。特に優勝国には、前年にワールドカップを模擬体験できるコンフェデレーションズカップの出場権が与えられるので、タイトルを失えば直接強化に多大な影響が出る。大半の国際Aマッチが大陸ごとのカードで埋まる現状を踏まえれば、日本代表が他大陸の強豪と真剣勝負ができる機会は確実に減少している。コンフェデは代替の利かない強化プログラムなのだ。
 
 だが現実にオーストラリア開催のアジアカップで勝ち切るのは、ブラジル・ワールドカップのグループリーグ突破に匹敵する難題かもしれない。
 
 なによりハビエル・アギーレ監督の実力が未知数だ。就任以来6戦を指揮してきたが、2戦ごとにコンセプトや招集メンバーも変化しているので、限られた時間を有効活用できた側面と、そうとは思えない部分が同居している。9月(ウルグアイ戦、ベネズエラ戦)は大胆な発掘作業をして、10月にはホームのジャマイカ戦で現有戦力の確認を図り、ブラジル戦は実験と経験の場にしてしまった。そしてアジアカップ前の最後のテストマッチが行なわれた11月は、ベテランも含めたブラジル・ワールドカップのメンバーを軸に据え、大筋で原点に回帰した。
 
 新任の監督としてはオーソドックスな流れとも言えるが、結局所属クラブでレギュラーに定着していない選手のサプライズ人事は、あまり功を奏していない。もちろんそれが無駄だったとは思わない。若い可能性のある選手たちが、日本代表や国際試合のレベルを体感できたことは将来の布石になる。
 
 前任のアルベルト・ザッケローニ監督時代にも、同じようにフレッシュな人材登用はあったが、試合ではチャンスを与えないケースが目立った。その点でアギーレ監督は、実際に起用して確認しており、若いJリーガー全体にも刺激を与えた。同時に最初の2か月間で招集のなかった遠藤保仁、今野泰幸らにとっても、新たなモチベーションを生んだ可能性がある。
 
 4-3-3を軸にしたことで、個々の役割も変化した。中心メンバーの現状を見極めた上で、前体制から微調整している。岡崎慎司はサイドからトップに移し、本田圭佑もトップ下から右サイドに移動した。どちらも所属クラブで新境地を開拓し、結果を出していた。また香川真司も左サイドからインサイドハーフに変わり、所属クラブでの役割に近づいた。さらに11月のオーストラリア戦では、長谷部誠をアンカーに、遠藤と香川を2列目に配した4-3-3でスタートしたが、相手のフォーメーションに合わせて前半途中から遠藤を1列下げ4-2-3-1に変更。しかし後半開始からは遠藤に代えて、ボランチ適性が高い今野を送り込み勝機を手繰り寄せている。
 
 時間の経過とともに、メンバー選考も理に適ったものに変わって来た。当初は独自性に固執しているかに見えたが、アジアカップのメンバーを見る限り、条件は明確になった。最初の2か月間で中心的に活用された細貝萌の落選には驚いたが、同じ欧州の舞台でも結果を出している清武弘嗣が滑り込み、ベンチ入りも難しい状況に追い込まれている柿谷曜一朗、田中順也、ハーフナー・マイクが外れた。だが一方で右SBでは圧倒的な質の高さを誇る内田篤人の離脱は痛恨だったはずだ。