新年1月9日に開幕するサッカーのアジアカップ後、いやその期間中にも日本代表監督の首をすげ替える準備が完全に整った。
 スペイン司法当局の告発から4日間にわたりダンマリを決め込んでいた日本サッカー協会(JFA)原博実専務理事が、12月18日になってようやく会見。「身辺調査はしたが、わからなかった。ファン、スポンサー、選手には申し訳なく思うが、現状はアギーレ監督がやるべきだと考えている」と語ったからである。

 実はこの間に“次期政権”の構想を煮詰めていたのだという。
 「アギーレ氏の招聘責任者だった原氏が姿をくらましていたのは、岡田武史氏と今後を話し合っていたからです。緊急事態だけに2度の代表監督経験を持つ岡田氏なら障害は少ない。問題はスポンサー対策。チームイメージの委縮で便乗撤退されても困るし、減額も避けたい。そこでたどり着いたのが、根強い人気を誇る“ヒデ”中田英寿氏をコーチとして入閣させ、東京五輪は中田監督で臨むというアドバルーンです。どっちみち先の話はわからないし、当面はこの“劇薬”で凌ごうという考えなのでしょう」(スポーツ紙デスク)

 岡田氏は昨年11月まで中国の杭州緑城というクラブで監督をしていた。在任中、中田氏が同クラブのユース世代の臨時コーチを買って出るなど2人の絆は強い。そこでセットで日本代表に招聘し、岡田氏は日本代表監督、中田氏は東京五輪監督という両面作戦に転じたのだ。
 「各世代の日本代表監督にはJFAが発行するS級ライセンスの取得が義務付けられているが、抜け道も考えてある。ヒデはモナコに居住しており、欧州でS級ライセンスを取ることも可能だし、すでに取得しているという情報も。いずれにせよ、協会側はヒデを“外国人指導者”として裏ワザ招聘を考えているようです。当面は岡田氏が代行監督として指揮を執り、コーチのヒデは時間をかけて五輪監督へシフトの計画です」(協会関係者)

 こんな具体案の発覚が示すように、協会首脳はとっくにアギーレ監督に見切りを付けている。そもそもことの発端は、2011年5月に行われたスペインリーグ、サラゴサ対レバンテ戦。アギーレ氏が率いていたサラゴサは1部残留のためにはこの最終節で勝つ必要があったが、レバンテは残留が既に確定していた。
 結果はサラゴサが勝利し、1部残留を確定させた。しかし今年9月になってスペインの反組織犯罪対策検事局が“八百長疑惑”を発表し、この試合でアギーレ監督にも9万ユーロ(約1230万円)が渡っていた疑惑が浮上、12月15日に司法当局が告発に踏み切ったのである。
 「解任の決定打はスポンサー離れです。日本サッカー協会の昨年の収益(4月から12月)は約128億円。その内キリンビール、キリンビバレッジ、アディダス、JAL、セゾンカード、アウディ、ファミリーマート、コナミ、三井住友海上、みずほ銀行、ソニーなどからの協賛金が約47億円を占めた。これらのスポンサーが今回の八百長騒動で撤退の動きを見せ始めている。疑惑の真偽はどうあれ、消費者の反発を恐れアギーレ監督の解任要求を突き付けているのです」(大手広告代理店)

 アジアカップをテレビ中継するテレビ朝日にしても、1試合1億円ともいわれる放映権料にスポンサーサイドが躊躇しており、こちらも大打撃。テレビ局のワイドショーなどは「裁判で結論が出るのは数年先、少なくとも3年後のロシアW杯の後」などと手前勝手なことを報じているが、これもうがって見れば、台所に火が付き、消火に躍起ということだろう。
 3月以降、日本代表のテレビ放送のスポンサーが白紙という情報さえある。ここまで追い込まれたらさっさと店じまいを考えるのが普通なのだろうが、そうすれば任命権者だった原専務理事の切腹は免れない。田嶋幸三副会長との次期協会会長争いからも脱落となる。

 そこで中田氏に一縷の望みを託したのだろうが、中田氏に「コーチでのサムライブルー復帰」を決意させたのは、熱愛が続いている女優の柴咲コウだ。昨秋から国内外を一緒に旅する仲だったが、今年6月のブラジルW杯で急接近し、以来サッカーの世界にはまったのだという。
 「これまでも宮沢りえなど女性関係がたびたび噂されたが、柴咲とは結婚までいくのではという声が強い。彼女は『東京五輪を指揮するヒデの姿が見たい』と願っているそうで、その一言が“自分探しの旅”に出ていた中田をゴールに導いた。いや、その噂を聞きつけて、原専務理事が利用した可能性もある」(女性誌記者)

 中田氏が現在取り組んでいるのが日本酒ビジネス。モバイルコンテンツ会社エムティーアイと共同で、無料の日本酒検索アプリ『Sakenomy』を開発、約1000種類もの日本酒のデータベースを作り、銘柄のラベルを写真に撮ると情報がチェックできるというものだ。
 現役時代、中田氏は「ボーノ、ボーノ(おいしい)」と言ってはワインに首ったけだったが、世界を旅する中で日本酒の価値を再発見し、宗旨替えを果たしたということ。“日本酒を世界にアピールしたい”という思いから開発に至ったというなら、日本酒を“日本代表”に置き換えれば、今回の件も合点がいく。