ORESAMA ぽんさん@「YASHIBU」

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音楽・イラスト・デザイン・ファッション……今、あらゆるジャンルで、80・90年代リバイバルが活気づき、根強いファンを増やしている。

12月にアニメ『オオカミ少女と黒王子』EDにもなったデビューシングル「オオカミハート」をリリースしたORESAMAも、90年代的なブギーファンクを下敷きにした、次世代J-POPを担うと言われているアーティストだ。

【MV】 ORESAMA - オオカミハート (F.O.ver.)




イラストレーター・うとまるさんのアートワークを目印に、アニメ・音楽・インターネットすべてを取り込んだ感性は、新時代の幕開けを予感させる作品を生み出している。

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J-POPを世界に発信したい」と語る、作曲を手がける小島英也さんと、作詞を手がけるボーカルのぽんさんに、その経歴から未来の展望までをうかがった。

※収録は、ORESAMAのリリースパーティー「YASHIBU」のリハーサル中に行われたものです
取材:新見 構成:織田上総介

文化祭の合唱をブチ壊した存在感


━━お2人の出会い、ユニットを結成するに至ったきっかけはなんだったんですか?

小島 もともとは長野の高校の同級生で、知り合いだったんです。上京して大学へ進学した頃から曲をつくり始めたんですが、その曲を歌ってくれる人を探していて。それで、ぽんちゃんにお願いしたのが始まりでした。

ぽん 実は高校時代に一緒にバンドを組んでいたんですが、大学進学とともに解散して。それで、私も東京で生活していたところ、「歌わない?」と声をかけられて、また一緒にやることになりました。

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手前左が作詞・ボーカルのぽんさん、奥右が作曲・プログラミング・ギターの小島英也さん



━━ 一緒にやっていたのはどういうバンドだったんですか?

小島 軽音部で、いわゆるコピーバンドで東京事変の曲とかをやっていました。

ぽん オリジナル楽曲をやり始めたのは、東京に来てからだよね。

──わりと今のイメージとはかけ離れた印象なんですね。お2人はもともと顔見知りで、バンドを結成されたんですか?

ぽん 学年が一緒なので、顔は見たことあったんですが特に話したことはなかったんです。声をかけてくれたのは、文化祭の合唱を見てくれてたからで。わたしだけ声がデカすぎて、合唱が成立しなかったんですよ(笑)。

小島 そうだったよね(笑)。僕はずっとバンドをやっていたから、ボーカルを探してたっていうのもあるんですが、ぽんちゃんは飛び抜けてたし、個人的にも好きな声質だったんです。

ぽん 私の母も昔、フォークユニットみたいな感じで歌っていたことがあったみたいで、なぜか母からずっと「バンドを組んでほしい」と言われていたんです(笑)。

それで小島さんに声をかけられて、母の勧めが後押しになって、初めてバンドというものを組むことになりました。

小島さんが音楽をやっていたこと自体は知っていたんですが、すごいアングラな感じと言うか、ずっとギターを背負っているイメージでした。

小島 え、そんな風に映ってたの!? わりと真っ当なことやっていたんだけどな(笑)。でも、昔から本当に音楽が好きで、ある意味オタクなのかもしれません。

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DTMで広がった音楽の可能性


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━━東京でまた2人でユニットを組んだ時点で、打ち込み(DTM)音楽だったんですか?

ぽん 最初は今とは全然違う感じでした。また一緒に音楽をやろうという話になったのは、上京して半年経たないくらいだったと思いますが、その時は小島さんはアコギ一本で曲をつくっていて、すごいシンプルでしたね。でもメロディーがとてもキレイで、送ってくる曲の全てに驚きがあって、刺激をもらいました。

小島 打ち込みで曲をつくるようになったのは、三年前くらいですね。

中学生の時に音楽を始めて、高校の時はカセットデッキとか録音機能のついている携帯やウォークマンを使って「ピンポン録音」という手法を使って、ギターの音を重ねて曲をつくっていました。

それで、東京に出てから改めて2人でやっていたんですが、アコギに表現の限界を感じ始めたのもあって、もっと豊かに表現できる音を探していた時に、DTMに出会ったんです。はじめは、ぽんちゃんの歌を入れるという目的でDTMをかじりだしてから打ち込みを覚えて、本格的にトラックをつくるようになりました。

ぽん みんなと一緒につくるより、自分だけの世界を自分だけで表現する方法が小島さんに合っていると思うので、DTMはピッタリでした。

━━アコギからDTMになって音の広がりも変わったはずですが、歌い方においても変化はありましたか?

ぽん それまでにないような、かわいらしい曲や壮大な曲を歌うことになったので、私の歌の幅も広がったと思います。

打ち込みのデジタル音にあわせて、映像も一緒に流したらおもしろいかなとか、いろいろ考えるようになって、音楽をいろんな視点で見られるようになりました。

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━━音は小島さんが、詞はぽんさんが担当されているんですよね。制作はどういう風に進めるんですか?

小島 先に自分の方でトラックと仮メロをつくって渡しています。その時点では歌詞とかはないので超適当な仮歌を入れて(笑)、そこにぽんちゃんが歌と詞を入れて送り返してくる、というやりとりですね。

ぽん 一切対面で会うこともなく曲ができていくよね。デモはそれでいいけど、結局レコーディングで改めて曲に向き合った時にぶつかることはよくあります(笑)。

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小島 一番ぶつかりやすいのは、歌い方、ニュアンスだよね。「ここはこう歌ってほしい」とこっちで思っても、ぽんちゃんは「こう歌いたい」ということがあって。

ぽん 小島さんは、デモの段階では特に要望とかはないんですが、レコーディングになると急にこだわり始めるんです。

私としてはデモとレコーディングとで区別していないので、ほぼニュアンスは同じはずなんですが……。

小島 レコーディングをしている時にだんだん「こうした方がいいんじゃないか?」という思いが出てくるから、それを遠慮せずに言ってしまいますね。ただ、最終的にはどっちかが折れます。

間を取るということはあまりなくて、それぞれの想いを通すということで、妥協はしていないですね。

━━音楽制作の時、世界観やコンセプトを想定してつくるのか、それとも音ありきで進めていくのか、どちらなんでしょうか?

小島 最初にコンセプトがあって曲をつくる場合もあれば、音をつくりながら形にしていく場合もあります。ただ、どういう風にぽんちゃんの歌が乗ってくるかはいつも意識してますね。

どっちにしろぽんちゃんにはコンセプトを伝えずに渡しています。イメージと違ったところがあれば「こうしてくれない?」と言うことはありますが、たいてい良い感じになって戻ってきますね。

━━コンセプトを最初に伝えた方がスムーズに制作できるのではないかと思うのですが、そうはされないんですね?

小島 ぽんちゃんも作詞家というクリエイターだから、思っていることが多少違っても、上手くハマったら超良いモノができるはず。2人ともクリエイターで、2人でORESAMAというのも大事なテーマなので、あえてこのやり方にしています。

ぽん そういえばコンセプトとか言われたことない……。

メジャーでスタートラインに


━━「ORESAMA」のユニット名の由来は何なんでしょうか?

ぽん 2人とも控えめな性格でいつもぺこぺこしていたので、ユニット名だけでも「俺様!」という感じでドシンとしていたいと思って(笑)。

━━今回、アニメ『オオカミ少女と黒王子』EDにも起用された「オオカミハート」でメジャーデビューされたわけですが、元々「オレサマ」というユニット名だったものを変えたり、サイトも一新されたりと、やはり色々な変化があったのでしょうか?

小島 これからの活動として「J-POPを世界に発信していきたい」という思いから、デザイン面や見え方も含めてメジャーデビューを機に変えました。

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ORESAMA「オオカミハート」通常盤ジャケット



ぽん デビューして、ようやくスタートラインに立ったという気持ちはあります。今までも音楽制作のスピードは速かったので、そこは落とさずにやっていきたいですね。

ただ、デビューするにあたって何か気持ちが変わったわけでもなく、特に2人で話し合ってもないですし……。

小島 そう言えばそうかも……! いくつか取材を受けさせていただいて、2人で話すことはあるのですが、感じていることが自然と同じだったので。

ぽん 最近、制作などで毎日一緒にいることもあったので、何となく気持ちを共有できているというか。

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90年代のカルチャーに乗せて


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━━今回デビューされるにあたって、90年代テイストのアートワークやサウンドを意識されているのはなぜなんでしょうか?

小島 僕もぽんちゃんも、80〜90年代の音楽やアニメがすごい好きで、それを今表現するとこうなる! というのを追求したいと考えるようになったんです。

━━時代的にも音楽・デザインシーン、今はファッションでも90年代のリバイバルが起きていますよね。

小島 たぶん、Daft Punkの「Get Lucky」あたりが加速したきっかけだと思っています。ここ何年か、海外で90年代リバイバルの流れが起こっているのも感じていましたし。自分はまだ23歳ですが、個人的に憧れてるのが80〜90年代のディスコファンクというのも大きくて。

ぽん 私は子どもの頃からずっとアニメが好きで、一番最初に歌ったアニソンが『タッチ』だったんですよね。自分で歌いたくて、母に歌詞を全部書いてもらって。

子どもの時、家に一人でいることが多くなった時に、親が心配して家に「アニマックス」っていうアニメチャンネルを入れたんですよね(笑)。そこで『めぞん一刻」や『ドラゴンボール』を見て、さらにハマっちゃいました。

『うる星やつら』とか『アラレちゃん』が大好きだから、うとまるさんのアートワークはすごいドンピシャなんですよね。もう「これしかない!」と。

今のアニメも好きなんですが、特に昔のアニメが好きなのは、タッチとかも大きくて。人間が描いているんだと感じられるセル画的な、泥臭いと言うか人間味のあるところがむしろ好きなんです。

今のリバイバルの流れもあるし、私たち自身の好みにもすごくハマっていて、その感覚は大事にしています。

アニメが音楽へ橋渡しをしてくれる


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「オオカミハート」初回限定アニメジャケット


━━今回のデビュー曲「オオカミハート」がアニメの主題歌になると聞いた時はどうでしたか?

ぽん めちゃくちゃ嬉しかったです! カラオケで歌うだけの対象だったアニソンに、まさか自分の曲が選ばれるとは思ってなくて。それだけやる気も出ました。

小島 僕も、アニメの中で流れることがわかっているのに、初めて観た時は鳥肌が立ちました。アニメーションと音楽がマッチしていて、音楽×映像というやり方は自分のやりたいことの一つでもあったので。

ぽん 曲自体、『オオカミ少女と黒王子』からインスピレーションを受けてつくったので、それが流れた時は感動しました。

小島 僕はあえて読むことはしなかったんですが、ぽんちゃんが原作のマンガを読んでて、箇条書きで色々教えてくれて、そこから勝手に妄想して楽曲をつくりました。

ぽん そこから少女漫画にハマってたもんね(笑)。

小島 やっぱり、アニメから入って音楽を聴いてくれる方も多く、アニメの力を感じました。アニメ自体すごい楽しませてもらったので、本当に良い機会をいただいたと思っています。

ぽん 一番喜んでいたのは母なんですけどね(笑)。

「ハイブリッド・ネオ・ポップ」で世界に!


━━80・90年代の音楽の流れや現代のデザイン・イラスト・アニメなど、時代・ジャンルを横断しながら展開しているお2人ですが、今の音楽シーンをどのように捉えていますか?

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「YASHIBU」キービジュアル

小島 昔の音楽を取り入れる風潮が強くなってきていると感じます。たぶん、80年代・90年代カルチャーに触れてこなかった若い人には新鮮でかっこよく映っていて、逆に年上の世代の人にとってはどこか「懐かしい」と感じさせる。それが今ちょうどいいハマり具合をしているんじゃないかなと思います。

僕たちのリリースパーティーは、「次世代・ネオ渋谷サウンドイベント」のシーン「YASHIBU」の同時開催をして、そのシーンを形成している最前線のアーティストさんたちと行いました。

━━90年代の「シブヤ系」を意識されている部分もあるんですか?

小島 一時期、ピチカート・ファイヴやCymbalsとかの「シブヤ系」と呼ばれる音楽が大好きで、意識していたことはありました。シブヤ系の、ポップで明るくて、踊れる音楽性は影響されているかもしれませんが、どちらかと言えばディスコやファンクを意識しています。今は自分たちの音楽が見えてきたので、人を楽しませる音楽を極めていきたいと思いますね。

ぽん 例えば、「カオでしょ」という曲で、「顏」を連発するんですが、キャッチなーメロディーもあって、すぐ覚えてもらえるんです。それで記憶に残ることがまずはきっかけですよね。

音楽面では完全に信頼しているので、小島さんがつくった良いメロディーの上に、聴いた人の頭に残る歌詞を乗せて、それをどう歌うかだけを意識しています。

━━最後に、「ORESAMA」として、どうなっていきたいという思いはありますか?

小島 とにかく、一番はいろんな人に音楽を聴いてもらいたいということ。そのためにも、「世界に通用するJ-POP」をつくっていきたいです。

──ORESAMAの2人の考える、「J-POPの魅力」というのは何なんでしょうか?

2人 (声を揃えて)メロディーです!!

小島 J-POPの魅力はメロディーであり、日本のポップスは、世界中でもすごくキャッチ―なんですよね。僕にとって、J-POPは感情を動かす音楽だと思うんです。

ぽん 90年代と最先端、新しさと懐かしさのハイブリッドが武器だと思っているので、私たちで「HYBRID NEO POPS!!」というコンセプトとJ-POPを世界に広めたいと思っています。アニメとか映像とか、他のメディアとももっとコラボしていきたいです。

──例えば、日本の音楽でも、アイドルやビジュアル系のような、特化したジャンルの中で大成功を収められている方々はいますが、「J-POP」で世界に通用している例は多くないように思います。ある意味で一番難しいようにも思えますがそれはどうお考えですか?

小島 シブヤ系でも成しえなかったような難しい挑戦ですが、今J-POPに根付き始めているディスコ・ファンクを基調にした音楽シーンにこそ、その可能性はあるんじゃないかと思うんです。

おこがましいかもしれませんが、僕らもそのシーンの担うつもりで、「J-POPと言えばORESAMA」と言われるくらい、J-POPを極めていきたいです。