もう一つは「イエローネイル症候群」と呼ばれるもの。爪の変色、顔や手足のむくみ、慢性的な肺疾患という三つの症状が見られ、脂質の代謝異常によって発生する。これはリポフスチンという脂質の色素沈着が原因で肺疾患が起こり、爪の変色があれば病状の変化を疑うべきといわれる。
 「爪の色で最も危険なものは、黒っぽい色に変色する状態です。爪の下にできるホクロの母斑細胞からメラニン色素が生成されると、爪に黒い線条の変色が起こります。陽性の場合もあるが、線の幅が6ミリを超えて太さが急に増加した場合は、悪性の“ホクロがん”が疑われる。また線条ではなく、爪全体と周辺の皮膚まで黒くなるケースは、ステロイドを生成する副腎の機能が低下している可能性もあります」(前出・専門医)

 次に爪の変形について言うと、爪が丸くなる「バチ状指」や、盛り上がる「時計皿爪」などがある。これらも血流障害による栄養状態の悪化が原因。
 「バチ状指」で、さらに爪に白く変色が見られる場合、肺がんの可能性が高いともいわれるので見逃せない。
 また、爪がへこむ「匙状爪」は、鉄欠上性貧血の人に多く見られる。ただ、爪の変色や変形はあくまで病気を疑うサインの一つにすぎない。異変から病気を確定することは難しく、個人差もあるため自己判断はせずに医師に相談すべきだ。

 一方、「爪が薄くなりすぐ割れる」という悩みを抱える人も少なくない。
 58歳の女性Nさんは、10年前から手の爪が異常に薄くなり、ちょっとした衝撃で割れて痛む。爪の色は紫色になり、何とかならないかと診察を受けた。
 「爪の状態から、介護の仕事や水をよく使う方だと思いました。爪がもろくなっていて、表面が平行に薄皮がはがれるように爪が剥ける『爪甲層状分裂症』と判断しました」

 キタハラ皮膚科・副院長の笹島雅彦医師はこう語った。そして、改善策についてもこう話す。
 「爪の周囲に保湿効果のあるハンドクリームなどをこまめに塗って、乾燥を防ぐことが大切です。風呂上がりは一番水分が行き渡っているので、そのタイミングで塗ると効果的です。あとはゴム手袋を着けるなど、外からの刺激を受けないようにすることでしょう」

 爪は皮膚の一部。主成分のケラチンというタンパク質をバランスよく摂ることが重要だ。とくにコラーゲンは、タンパク質の中でも細胞と細胞の間を埋める細胞間物質で、皮膚内に水分を貯える役目をし、乾燥によるトラブルも防ぐ。するとみずみずしい健康的な爪が出来上がるそうだ。
 いずれにしても、普段から爪を観察し、爪の色が気になるようなら皮膚科で血液検査などを受けよう。