70〜74歳の人の窓口負担の引き上げ、消費税率の引き上げに伴う診療報酬の上乗せなど、医療費でもさまざまな変化があった2014年。

 診療報酬(医療費の単価)の見直しでは、訪問診療点数の削減、看護師の人数によって入院費用に差をつける条件の厳格化などが話題となったが、もうひとつ高齢化社会を象徴したのが「胃ろう」に関する医療費の大幅削減だ。

優秀さゆえに普及した
胃ろうの功罪とは

 お腹の外側から胃に孔(あな)を開けてチューブを通し、直接、胃に流動食などを流し込む「胃ろう」。口から食事ができなくなった患者に、栄養や水分を補給する医療的処置のひとつだ。

 全日本病院協協会の調査によれば、胃ろうをつけている人は、全国で26万人(推定)。おもな対象患者は、認知症などで食べ物を認識できなくなったり、食べものを飲み込む嚥下能力が衰えて肺炎を繰り返したりする高齢者だが、脳卒中やALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者などにも胃ろうは行われる。

 口から食べられなくなったときに行われるおもな栄養補給法は、胃ろうのほかにも、A)鎖骨下や頸にある太い静脈にカテーテルを通して、完全静脈栄養と呼ばれる高カロリーの輸液を行う「中心静脈栄養」、B)鼻から細い管を入れて、水分や栄養を胃に直接送る「経鼻胃管」がある。

 ただし、A)の中心静脈栄養は、腸などの消化器が使われなくなることで免疫力が後退し、他の栄養補給法より感染症になるリスクが高い。症状が進むと敗血症を起こすこともある。また、カテーテルの刺し込み口からの感染も心配される。

 B)の経鼻胃管は、管を通して流動食を胃に送る点では胃ろうと同じだが、鼻から喉にかけて、常に管が入れられているので不快感が強い。患者が自分で管を抜いてしまわないように、手が拘束されることもある。また、管が間違って気管に入ると誤嚥を起こし、肺炎を発症する危険もある。

 一方、胃ろうの取り付けには手術が必要だが、所要時間は15分程度。内視鏡(胃カメラ)で取り付け位置を確認しながら、お腹の外側に孔をあけてチューブを通すといったもので、取り付けてしまえば痛みはなく、感染症のリスクも低い。動きやすいのでリハビリしやすいというメリットもある。

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