リーグ戦では優勝を逃したものの、西川の攻守両面での存在感は絶大だった。3年連続ベストイレブンに輝く。(C) SOCCER DIGEST

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 1月9日から開催されるアジアカップに臨む日本代表メンバー23人が、12月15日に発表された。
 
 メンバーは、清武弘嗣(ハノーファー)がアギーレ体制での初招集となったものの、11月シリーズから大きな変更はなく、ブラジル・ワールドカップの主力メンバーが主体の選考となった。年末からはいよいよ代表合宿が始まるが、選出されたメンバーのうち、ここでは国内組12人の2014年シーズンを総括するとともに、現在の状態をチェックする。
※今季成績はJ1全日程終了時、平均採点は『週刊サッカーダイジェスト』によるもの。
 
【photoギャラリー】アジアカップに挑む日本代表23人の顔ぶれ
 
GK
東口順昭(G大阪)
今季成績:34試合・31失点
平均採点:6.00(GK部門3位)
 
「シーズン序盤はプレッシャーに押し潰された」と自身が振り返るように、序盤戦はミスも見られたが、中断期以降は尻上がりに調子を上げて安定したプレーを披露。キャッチ、スロー、キックはいずれも水準が高く、シーズン終盤での優勝が懸かった、リーグ最終節・徳島戦、天皇杯決勝の山形戦では、要所でチームを救う好プレーを見せ、G大阪の三冠獲得にも大きく貢献した。
 
 G大阪の長谷川監督がMVPに推す充実ぶりだったが、本人が目指すのは「日本一のGK」だ。「(日本一のGKに)近づいたとは思いますけど、これを続けないと。(西川)周作のほうがはるかに(クラブや代表でのタイトルを)獲っているし、それを越えていかないと“日本一”は見えてこない」と、まずは代表の正守護神の座を狙う。
 
GK
西川周作(浦和)
今季成績:34試合・32失点
平均採点:6.03(GK部門2位)
 
 広島から浦和に移籍して1年目の今季は、失点数を昨季の58から32に大幅に減らし、チームの守備力アップに大きく貢献した。ペトロヴィッチ監督が「11人目のフィールドプレーヤーだ」と評する、その足技も攻撃の起点としてよく機能し、ゴールに絡むプレーも見せている。
 
 終盤戦の3試合で結果を出せず、優勝を逃したのは悔いが残るものの、シーズンを通じてのパフォーマンスは抜群の安定感を誇り、3年連続のベストイレブンにも選出された。
 
 14日の「JPFAチャリティーサッカー」では、大分ユース時代以来というゴールをFKで決めるなど、このオフも身体のキレは維持している。11月シリーズでの出番はなかったが、所属クラブで出場機会を減らしている川島の状態が危惧されるだけに、試合勘の良さをアピールしたいところだ。
DF
森重真人(FC東京)
今季成績:33試合・1得点・0アシスト
平均採点:5.95(DF部門6位)
 
 ワールドカップのピッチに初めて立ったブラジル大会で“世界との差”をまざまざと見せつけられたことが逆に良かったのか、帰国後のJリーグでは以前にも増して球際でファイトするようになった印象だ。
 
 仙台のFWウイルソンが「かわすのが難しかった。テクニックがあり、強さも備えている」と評したように、外国人選手にも怯まず、クリーンなタックルでボールを奪うだけでなくビルドアップにも絡んでいた。その利便性はアギーレ監督も高く評価しており、9月の連戦ではアンカーで及第点の働きを見せている。
 
 今では代表を引っ張っていくという自覚が芽生え始めており、自分以外のところにも意識が届くようになった。そうしたスタンスでアジアカップ制覇に貢献できれば、もうひと皮剥けるに違いない。
 
DF
太田宏介(FC東京)
今季成績:34試合・1得点・10アシスト
平均採点:5.97(DF部門4位)
 
 今季はJ1の34試合にフル出場。大きな怪我もなく左サイドを駆け抜け、最終節の横浜戦でもCKから正確なボールを蹴り込み、高橋秀人のゴールをお膳立て。高精度のクロスとFKで、キャリア最多の10アシストをマークして『Jリーグアウォーズ』のベストイレブンに初選出された。
 
 また10月に約4年9か月ぶりの復帰を果たした代表でも、自慢の左足を武器にジャマイカ戦やブラジル戦で確かな存在感を示すと、長友不在の11月シリーズでは先発したオーストラリア戦で無難なプレーを見せた。
 
「過密日程はむしろウェルカム。ここまでのサッカー人生で気持ち的にも一番充実している」と本人が話すとおり、心身の両面でマックスに近い状態にあるだろう。負けん気の強さが良い方向に出れば、アジアカップでもその左足が特別な光を放つはずだ。
 
DF
塩谷 司(広島)
今季成績:32試合・6得点・1アシスト
平均採点:5.92(DF部門11位)
 
 本人は2014年を「サッカー選手として進化の手応えを得られた1年だった」と振り返る。身体能力を活かした1対1には定評があったが、今季は開幕から2戦連続決勝弾を決めるなど、公式戦で計9ゴールと攻撃面でも目覚ましい成長を遂げた。
 
 ACL参戦の過密日程もあり、ワールドカップの中断期前後に一度コンディションを落としたとはいえ、終盤戦には復調。シーズントータルの貢献度は、チームナンバーワンと言っていい。Jリーグのベストイレブンにも初めて選出されている。今季最終戦も仙台を相手に盤石の守備を見せる一方、攻撃面でも果敢な縦へのチャレンジで存在感を見せつけた。
 
 代表シーンでは、今年はA代表デビューを果たし、そのジャマイカ戦で上々の出来を披露。続くブラジル戦では、ネイマールに屈して「世界との差を痛感した」と話すが、効果的なビルドアップや対人の強さという持ち味は、十分に示している。
 
 
DF
昌子 源(鹿島)
今季成績:34試合・2得点・1アシスト
平均採点:5.91(DF部門13位)
 
 優勝の懸かった最終節・鳥栖戦では、コンビを組む植田直通とのマークの受け渡しに失敗し、裏を取られて敗戦につながる痛恨の失点を喫してしまった。悔いの残る形でシーズンを終えたが、今季はリーグ戦全試合にスタメン出場。実戦経験を積んで大きく成長し、最後まで優勝争いに絡んだ鹿島を最終ラインの軸として支えた。
 
 持ち前のスピードを活かしたカバーリングだけでなく、シーズン終盤はコーチングの声も積極的に出るようになるなど、今季のパフォーマンスには本人も自信を得たようだ。1シーズンを通してレギュラーを務めたのは初めてで、疲労の蓄積は心配だが、年末から始まる代表合宿にはリフレッシュした状態で挑むだろう。
 
 代表では11月シリーズでメンバー入りし、アギーレ監督のやりたいサッカーを理解できた。現状は吉田、森重、塩谷に続くCBの4番手だが、いつでも出場できる準備はしている。
MF
遠藤保仁(G大阪)
今季成績:34試合・6得点・11アシスト
平均採点:6.07(MF部門4位)
 
 今季はリーグ戦全試合に先発し、G大阪の軸としてフル稼働。時折、不用意なミスも見られたが、正確なキックや展開力は健在で、JリーグMVPに選出された。
 
 今季のパフォーマンスで特筆すべきは、球際での寄せるスピードと激しさだ。ワールドカップ明けは、ただ相手に寄せてボールを見ているのではなく、“ボールを狩り取る”守備が際立った。
 
 ピンチの芽を摘むだけでなく、カウンターの起点にもなっており、G大阪の長谷川監督は「きっとワールドカップでいろいろ感じたのだと思う。自分に足りないものを分析する賢さもある」と称賛。来年1月28日に35歳となるボランチは、今なお進化を遂げている。
 
MF
今野泰幸(G大阪)
今季成績:33試合・2得点・1アシスト
平均採点:6.05(MF部門5位)
 
 ワールドカップ前はどん底の状態に陥っていた。代表でCB、G大阪でボランチをやるなかで葛藤し、G大阪の長谷川監督も「正直、あの頃は今ちゃんの起用法で迷っていた」と明かす。
 
 しかしワールドカップ後は「ボランチでやるんだと、吹っ切れた感じがあった」(長谷川監督)と一変。遠藤とボランチでコンビを組みながら、三冠獲得の原動力となった。持ち前の球際での強さやボール奪取力に加え、今季は攻撃面でも遠藤からの好影響を受け、展開力やゲームの流れを読む力が向上した。
 
 本人は「代表でやるならボランチしかやりたくない。今はそれぐらい自信がある」と言い切っている。
 
 
MF
柴崎 岳(鹿島)
今季成績:34試合・6得点・6アシスト
平均採点:6.10(MF部門3位)
 
 不動のボランチとしてシーズンを通して出場し、6得点・6アシストを記録。本誌平均採点は6.10と高い数値を叩き出した。安定感あるパフォーマンスで、来季のACL出場権獲得に貢献したと言えるだろう。
 
 日本代表では、デビュー戦のベネズエラ戦で初ゴールを挙げ、大きなインパクトを残した。10月のブラジル戦では世界との力の差を痛感させられたが、それも「成長速度を上げなければならない」と糧にしている。
 
 アジアカップを約1か月後に控えた現在のコンディションに問題はなく、一度リフレッシュしてから再調整に入るだろう。アジアカップは、柴崎にとってA代表初の国際大会。普段以上のモチベーションで準備を進めるはずだ。
FW
豊田陽平(鳥栖)
今季成績:34試合・15得点・2アシスト
平均採点:5.97(FW部門6位)
 
 ワールドカップ前の14試合で8得点と、ハイペースでゴールを量産した序盤戦だったが、再開後のJリーグではやや調子の波が目立ち、伸び悩んだ。しかし、54ゴールを挙げているここ3年の実績は国内随一(大久保嘉人が48得点、佐藤寿人が50得点)。その得点能力の高さと安定感に疑いの余地はない。
 
 また最終節の鹿島戦では、ゴールこそ奪えなかったものの、90分間に渡り前線からの猛烈なプレスを継続。試合後は脱水症状で救急車で運ばれるほどの献身性を示して、チームを勝利に導いた。
 
 まさに今が旬を迎えているストライカーに、国内外からのオファーは絶えず、このオフは去就も取り沙汰されている。鳥栖からの残留要請もあり、迷いを見せている本人だが、自身は海外志向もあり、決断がアジアカップ後となれば、今大会は格好のオーディションの場となる。
 
FW
小林 悠(川崎)
今季成績:30試合・12得点・6アシスト
平均採点:6.03(FW部門1位)
 
 11月11日の代表トレーニング中に香川と接触し、左膝を負傷。左膝内側側副靭帯損傷で全治3〜4週間と診断され、リーグ戦2試合を欠場した。しかし34節の神戸戦でベンチ入りすると、67分から途中出場し、「2点目の起点になれた」と、復帰戦としては一定の手応えを掴んだ様子だ。
 
 10月のジャマイカ戦とブラジル戦では結果を残せなかったが、アギーレ監督はその能力を高く評価しており、今回の再招集に至っている。
 
 もっとも神戸戦後の本人は「久しぶりの試合だったので疲れた。(左膝も)なんとか痛くならずに済んだ」と語っており、完全復活に向けてスタミナ面と左膝の状態には一抹の不安が残る。
 
FW
武藤嘉紀(FC東京)
今季成績:33試合・13得点・1アシスト
平均採点:5.98(FW部門4位)
 
 世代別代表に選ばれた実績さえない現役大学生が、ルーキーイヤーにJ1で新人最多タイの13得点。最初は“補欠”招集だったアギーレジャパンでも9月9日のベネズエラ戦で会心のドリブルシュートから代表初ゴールを決めるなどアピールに成功し、異例のスピードでレギュラー格へと出世した。
 
 ちょっとやそっとの当たりでは倒れない身体的な強さとマーカーを置き去りにする縦へのスピードは驚異的で、話題性を考えれば『Jリーグアウォーズ』でのベストイレブン受賞にも納得がいく。
 
 心配なのは、シーズン最終盤でやや下降気味だったコンディションだろう。メディアの対応にも追われて疲弊した身体を、どこまで回復できるか。フレッシュな状態で自身初の国際舞台に臨みたい。