犬や猫にチョコレートを食べさせていけないのはなぜ?

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犬や猫を飼うときには、いろいろと注意が必要な点もあります。飼い犬や飼い猫の健康管理は、飼い主の義務だと言っても良いでしょう。人間にとっては身近な食べ物も、ペットにとっては「毒」になることも珍しくありません。

今回はその中の一つ、チョコレートを取り上げます。

カカオ成分「デオブロミン」

チョコレートの原料は、カカオ豆です。実はこのカカオ豆には、「デオブロミン」という中毒成分が含まれています。人間は、この成分を安全に分解できる機能を持っていますので、食べても毒になることはありません。しかし犬や猫には、この機能が備わっていないのです。

このため、デオブロミンがそのまま含まれているチョコレート類を口にすると、嘔吐(おうと)や下痢、動悸(どうき)やけいれん、てんかん発作などが起きてしまう可能性があります。

■20mg/kgで中毒症状が出る!

では、いったいどれくらいの量で、中毒症状が出てしまうものなのでしょうか。デオブロミンによる中毒死は、体重1キロあたり、摂取量約100mg〜200mgで起きると言われています。体重4キロの小型犬であれば400mg〜800mgで生命の危険にさらされます。

ダークチョコレートカカオ含有量が多いため、小さめの板チョコ1枚程度で致死量になってしまうのです。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートは、色の濃いチョコレートと比較するとデオブロミン含有量も少ないのですが、危険なことには変わりがありません。

致死量には個体差がありますが、多くの犬や猫は1キロあたり20mgのデオブロミンを摂取すると、中毒症状に陥ります。20mgといえば、ミルクチョコレートでもほんの数かけらで摂取してしまうことに。人間用のおやつを、誤ってペットが口にしないよう、注意が必要だと言えます。

■誤って食べてしまったときの対処法

「食べさせないように注意する」のが基本ですが、もしもこんな事態に陥ってしまったら、適切な対処でペットの命を守る必要があります。治療の基本は、食べてしまったものを吐かせることです。健康な犬の場合、食塩を舌の上にのせる方法があります。

水をごくごく飲むので、その後の嘔吐が期待できます。また、もし噛む心配がないペットの場合には、指で舌の付け根のところを刺激するのも効果的です。万が一チョコレートを食べてしまっても、中毒症状はすぐに出るとは限りません。

数時間後に症状が出た場合でも、吐かせる方法は効果が期待できます。ぜひ頭に入れておいてください。

ペットを飼う際には、ペットの危機管理も大切なことです。人間用の食べ物は、誤って食べてしまわないよう最大限の注意をしてくださいね。