ふるさと納税での資金調達額、 日本トップクラスの北海道上士幌町は 他の市町村となにが違っているのか?

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 11月にふるさと納税のヒアリングのために北海道上士幌(かみしほろ)町を訪問してきた。上士幌町と聞いてピンと来る人は、相当の北海道ツウだ。

 以前に本コラムで取り上げた北海道東川町同様、全国的に知名度の高い観光スポットを抱える町ではない。強いて挙げればメガネの形をしたアーチ橋が有名ではあるが、本州在住の人にとっては知る人ぞ知るスポットという位置づけだ。そんな上士幌町が、ふるさと納税による資金調達額ではなんと全国トップクラスにランクインしている。

 ちなみに、人口は約5000人で、町の歳入は65億円弱、うち町税は6.4億円。それに対して、今年1月〜11月までのふるさと納税による資金調達額は6.5億円となっている。なんと、町税に匹敵する資金が集まっているのだ。

 上士幌町はどうやってふるさと納税の獲得に成功しているのか。それが訪問の目的であった。

 最寄りの空港は帯広空港だが、空港から町への直通の公共交通機関は存在しないため、上士幌町を訪問するには帯広から上士幌町までバスに乗る必要がある。バスの本数が限られているため、おのずと選択肢はレンタカーということになる。車で1時間強だ。

肉は肉でもブランド肉

 ふるさと納税のポータルサイトである「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクの須永社長によると、ふるさと納税でもらえる特産品の検索キーワードの上位には「肉」が来るそうだ。

 上士幌町が用意しているふるさと納税の納税者への特産品は、牛肉、はちみつ、ジェラート、ジャガイモで、中でも人気はやはり牛肉である。これが上士幌町のふるさと納税の金額が大きい理由である。

 ふるさと納税での調達額で上位にランクされる他の自治体も、多くは肉が特産品として含まれている。肉パワー恐るべしなのだ。ゆえに、中には地元のスーパーで普通に売っている牛肉を特産品にしている自治体すら存在する。この場合の牛肉はその地域のものではなくて、極端な話海外からの輸入肉ですらあり得るのだが、こういう有象無象の牛肉の中から選ばれてこそ、ふるさと納税において上位にランクインしてくる。

 つまり、肉を提供している自治体間での競争も当然ながらある。それが、上士幌町の場合は、ふるさと納税に先駆けて域内の十勝ナイタイ和牛をブランド化する取り組みを行っていた。実際、特産品として提供されている肉を食べてみたが、確かにうまい。高級肉なのである。それは人気が出るわけだ。

特産品の安定供給がふるさと納税額の上積みには重要

 なお、肉を特産品として提供している自治体の多くでは、肉が早々と品切れしてしまうという現実も存在する。小さい自治体の場合、地域で取れる肉の量はさほど多くはない。域内の畜産農家が一つや二つというケースもある。そこに降ってわいたふるさと納税マネーによる大量の肉注文だ。

 その点、上士幌町の強みは2種類の牛肉を特産品として用意していることであり、品切れリスクが比較的小さい。人気の肉で、品質と供給量で優位にあること、これは大きな差別化要因となっている。

 なお、上士幌町も含め、ふるさと納税で安定的な資金調達を実施したいと思えば、肉以外の魅力的な特産品の発掘が自治体にとっては次の課題となる。地元にある通常の野菜をブランド野菜にする、牛肉に負けない人気となるようなブランド豚肉やブランド鶏肉を仕立てる、などだ。

 肉以外の商品で人気を集めている自治体も同様で、例えば北海道当麻町では、ブランドすいかである「でんすけすいか」のお蔭で人気のふるさと納税先となっているが、やはり供給が追い付いていない。町では米を二つ目の目玉として用意しているが、そのように魅力ある特産品の安定供給は今後、ふるさと納税の人気自治体では課題となってくるはずだ。

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