先日、五大医学誌の一つ「BMJ」のオンライン版で「牛乳を1日3杯以上飲む人は、全死亡率と骨折発生率が上昇する」という結果が報告された。

 研究はスウェーデン中部の住民約10万人を対象に実施。登録時の平均年齢は女性39〜74歳、男性45〜79歳の中高年層である。平均追跡期間は女性が約20年、男性が約11年だった。

 参加者は、性食物摂取に関するアンケートに登録時と、女性はアップデート時の複数回に自己申告方式で回答。その結果から牛乳摂取量と死亡または骨折までの期間との関連を調べた。

 追跡期間中の女性の死亡者は1万5541例、骨折が1万7252例で、そのうち骨粗しょう症の転倒などで発生しやすい大腿骨頸部骨折が4259例だった。一方、男性は死亡者は1万0112例、骨折が5066例で大腿骨頸部骨折は1166例発生している。

 さて、牛乳摂取量と全死亡率との関係を解析したところ、女性で牛乳摂取量が多いほど全死亡率が上昇する傾向が認められた。特に1日3杯以上(平均680グラム)飲む女性は、1日1杯未満(平均60グラム)の女性よりも全死亡率が1.93倍、心血管死が1.9倍、がん死が1.44倍という結果がでている。全骨折発生リスクは1.16倍にとどまったが、大腿骨頸部骨折の発生リスクは1.6倍だった。男性でも同じ傾向が認められたが、1日平均830グラムの牛乳を飲む男性の全死亡率は、同50グラムの男性の1.1倍程度だった。

 一方、ヨーグルトやサワーミルク、チーズなどの発酵乳製品の高摂取は、女性の全死亡と骨折リスクの低下に関連した。また、ヨーグルトの摂取によって、男女ともに老化や自己免疫疾患に関連する酸化ストレスや炎症を示す検査値の低下が認められたという。

 さて、今回の結果を成長期の子どもに単純に当てはめるには慎重さが必要だ。ただ一つ言えるのは、何事も「過剰」は禁物だということ。良くも悪くも一つの食品を「特別視」するのは危険だろう。牛乳もカルシウム豊富な小魚や豆類、緑黄色野菜と一緒に適量をとるのが一番なのだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)