【マンガ】連載当初と話が違う! 読者を置いてけぼりにした“伝説の超展開マンガ”5選

写真拡大

毎週、毎月、飽きさせないストーリーや続きが気になる展開で読者を楽しませてくれる連載マンガ。中には、人気を探るため、はたまたその人気を維持するために話がどんどん展開していく作品もありました。そこで今回は、衝撃の超展開で読者を置いてけぼりにした伝説のマンガを紹介していきます。

「第1話」が衝撃すぎた名作マンガ

■展開が早すぎてついていけない! 巨匠が手がけた伝説の打ち切りマンガ

『男坂』車田 正美

■ここが超展開!
浜辺で不良を相手にケンカ→野球勝負に発展→なぜか嵐の海に出て決闘の続きを開始→と思いきや敵が船酔いして遭難

『聖闘士星矢』や『リングにかけろ』など、数々のヒット作を世に送り出した巨匠・車田正美。そんな彼には、もうひとつ忘れてはならない代表作があることをご存じでしょうか。その作品の名は『男坂』。今も語り継がれる伝説の打ち切りマンガです。

ケンカに勝つことだけを生き甲斐とする硬派な主人公・菊川仁義が活躍するこの作品は、車田正美の「暑苦しさエキス」を原液でドバドバと投入したような熱血不良マンガ。

不良を題材とする数多の作品がそうであるように、本作でも主人公と不良達との熱い戦いが繰り広げられるわけですが、何よりも注目すべきはその場面展開の早さです。ケンカを売ってきた特攻服の不良といきなり野球で勝負をし始めたと思ったら、なぜかそいつと嵐の海へ出航。不良は小舟の上で決着をつけようと言い出しますが、船酔いでゲロ吐いちゃって勝負になりません。何がしたいんだ車田正美。

そんなこんなの超展開で読者を置いてけぼりにし続けた結果、連載は半年足らずで打ち切りに……。最終話では、1コマにつき1人の不良をやっつけるという荒技を読者に見せつけてくれました。

しかし、この伝説の打ち切りマンガには続きがあります。なんと2014年6月より、ウェブ配信で『男坂』の連載が再開されたのです。30年越しの雪辱を今になって晴らす車田先生は、やはり漢の中の漢! 相変わらずの超展開で突っ走ってほしいものです。

■バスケの青春物語が卓球に、フェンシングに?

『ダッシュ勝平』六田 登

■ここが超展開!
バスケマンガ→卓球マンガ→フェンシングマンガ→デスマッチ

【本文】
主人公は青林高校の坂本勝平。背が低くお調子者で、純白のパンティが大好き。バスケの知識はまったくなかったが、その抜群の運動神経を買われてバスケ部に入部。チビというハンデをものともせず、独自の秘技を編み出し、強豪チームを次々に打ち破っていく──。

バスケマンガの先駆け的な作品で、79年から週刊少年サンデーで連載されました。中身はコミカルですが、勝平のヒロイン茜ちゃんに対する一途な気持ちや、選手同士のライバル心が巧妙に描かれ、「さすが六田 登先生!」と、今読んでも、うならされる作品です。

勝平やライバル選手の人間離れした秘技が見どころで、ぶかぶかのユニフォームを膨らませて空中浮遊する「トキオ」、ボールを持った手を高速で動かして残像で幻惑する「千手観音シュート」など、今でも他作品で焼き直して使われるワザの原形が登場しました。

そんなバスケマンガの名作「ダッシュ勝平」でしたが、大会での優勝を機に変化が訪れます。勝平は卓球部に入り、ここから一転して超絶卓球マンガになるのです。ピンポン球とラケットで発生した静電気が空中放電し、相手を倒す「Uターン電気ショックスマッシュ」など、秘技にはさらに磨きがかかります。

その後、学校の成績の悪さを理由に、なぜか卓球部にいられなくなってしまった勝平は、フェンシング部に入部。最後はバスケのような謎のデスマッチで、血しぶき飛び散る戦いを繰り広げるという、超展開を見せました。

ただスゴイのは、その間も大人気でついにはアニメ化。アニメでは、コミックに輪をかけて様々なスポーツに挑戦するというオリジナル展開もありました。
しかし、記憶の中では「ダッシュ勝平=バスケマンガ」という人も多いのではないでしょうか?

■巨大化する超人ギャグマンガが、シリアスプロレスマンガに

『キン肉マン』ゆでたまご

■ここが超展開!
巨大化して戦うウルトラマン的ギャグマンガ→超人プロレス友情マンガ

1979年から1987年に週刊少年ジャンプで連載された「キン肉マン」は、友情パワーを力の源にする正義超人が活躍する格闘マンガで、プロレスをベースとした超人ワザを繰り出しながら、超人たちの友情と葛藤を描いた作品です。アニメ化され、当時の小中学生は夢中になって“キン消し”こと「キン肉マン消しゴム」を集めました。今も続編が、週刊プレイボーイ web comicで連載中です。

超人プロレスマンガとして知られるキン肉マンですが、連載当初は地球の平和を守るヒーローになりたいダメ超人のギャグマンガだったことはご存じでしょうか?

地球を襲う怪獣や異星人に対して巨大化して戦うという格闘スタイルで、手をクロスしてビームを発射するシーンなども散見され、どう見てもウルトラセブンなデザインといい、どちらかというとウルトラマンに近いものでした。ただし、ギャグの合間のどつき合いなどで作者がプロレス好きだということは、連載当初から見え隠れしていました。

キン肉マンに転機が訪れるのは、ロビンマスクが登場した「超人オリンピック編」です。週刊少年ジャンプのお家芸である「格闘大会モノ」の走りでしたが、当初はまだまだ巨大化やギャグが多用されていました。

超人オリンピックで優勝した後、アメリカ遠征でハワイでのプリンス・カメハメ戦を経て内容は激変。一週間の特訓でカメハメから48の殺人技を伝授された後は、超人プロレスマンガを突き進むことになったのです。

ちなみに、その後の世界超人タッグ選手権で、試合内容は完全にシリアスな格闘モノになりますが、次の超人オリンピックまでの間には、思い出したかのようにニンニクを食べて巨大化したり、おならで空を飛んだりというシーンが急に登場します。設定や矛盾に縛られず、そのときどきのエピソードを最大限に盛り上げるというゆでたまご作品の醍醐味ですね。

■長嶋一茂といっしょに登場した巨匠の野球マンガが相撲化した理由

『虹を呼ぶ男』水島 新司

■ここが超展開!
長嶋一茂のライバルの野球マンガ→長嶋一茂がイマイチ→じゃあ相撲マンガに

『ドカベン』で有名な水島新司の作品。当時低迷していたヤクルトスワローズに、七夕竹之丞という豪快な男が、3億円という桁外れの年俸で契約(ただし契約金は100円)。背番号10000を背負い、豪快なプレーで投打に活躍、ヤクルトの救世主となる──という流れのはずでした。

この作品は、当時、鳴り物入りでヤクルトと契約した長嶋一茂人気にあやかろうとしたことは明らかで、チーム内のライバルとして作品にも登場。ところが肝心の長嶋一茂が、話題にはなったものの実際のプロ野球で今ひとつの成果。

そのリアルの低迷っぷりに作者が萎えたのか、オフシーズン限定で七夕竹之丞はなぜか相撲に挑戦。そのまま成績優秀で角界入りし、気が付いたら相撲編になっているという超展開。

最終的に、蒔いたフラグも回収しないまま打ち切り気味に終了となりました。そういえばドカベンもそもそもは柔道マンガだったわけで、水島作品の超展開はこれに始まったことでもないですね。

■時代を反映した受験マンガも格闘編のダークサイドに陥る

『とどろけ!一番』のむらしんぼ

■ここが超展開!
新境地の超絶試験戦士マンガ→よくある格闘マンガ

最後に紹介するのも古い作品ですが、いつの時代にも何らかのカタチで存在する受験マンガのひとつ『とどろけ!一番』です。大日本進学塾に入塾した轟一番が、中学受験を目指す過程でさまざまなライバルたちと文字通り受験戦争を繰り広げる、超絶格闘試験戦士マンガ。

書いても書いてもすり減らないという幻の鉛筆「四菱ハイユニ」を両手に2本持ち同時に別々の問題を解く「答案二枚返し」や、目に見えないほどすばやく手を動かす「ゴッドハンド」などの秘技を駆使して、ライバルたちを(実際に)なぎ倒し、日々の模試にまい進します。その特徴的なライバルたちや、秘技の数々は、同じコロコロコミックで連載された『ゲームセンターあらし』とよく似たテイストでした。

ところが、代々拳闘家だったという自分の出生の秘密を知ると、これまで命をかけてきた試験戦士の肩書きをあっさりと捨て、ボクシングで一番になると言い始めます。試験戦士マンガという独自性を失ってしまった『とどろけ!一番』は、一般的な格闘マンガになり、その後短期間で打ち切りとなってしまいました。

当時から、ネタに詰まると格闘編というダークサイドに落ちるパターンは存在してしたようです。あれだけがんばって受験勉強したのに、希望の開布中学にも入学できなかったし、子どもにいろいろ考えさせてしまいそうな作品になったかもしれません。