撮影:小林裕和

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いつの世もひとの心を捉えて離さない“胸キュン”。特に女子であれば、リアルな恋はもちろん、アイドル、俳優、はたまた漫画の主人公にも胸キュンを求めてしまう――そんな経験、誰しも一度はあるのではないだろうか。

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そんな“胸キュン”ど真ん中の内容で今年話題となったのが、映画『好きっていいなよ。』だ。同名の人気マンガの実写化ということで期待も大きかった本作は、7月12日の公開から6週目で興行収入10億円を突破する大ヒットを記録。12月3日(水)には待望のBlu-ray & DVDが発売された。

■自分が「胸キュン作品」に参加することが新鮮でした

本作でもっとも多くの“胸キュンシチュエーション”を体験する主人公の橘めいを演じたのが、女優の川口春奈さんだ。彼女の演技に、この夏多くの女子がキュンキュンさせられたことだろう。

だが川口さんはそんな“胸キュン”に対して「観る側として自分が好きな作品は結構重いテーマというか、ハッピーエンドじゃないものが多くて。(胸キュンするような作品は)見ていても恥ずかしくなっちゃって。だからこそ新鮮でしたね、自分がこの作品に参加することが」と冷静に語る。

めいは、学校に恋人はおろか友だちすらひとりもいない16歳。誰も彼女の声を聞いたことがないとウワサされるほど暗いキャラなのだが、自分をしつこくからかう男子に回し蹴りを食らわすような負けん気もある。ひと言で言えば“孤独な変わり者”だ。

「撮影では大変なことのほうが多かったですね。めいちゃんっていうキャラクターはよくわからない子で、いろんな表情を持っているので、表現力が求められている気がして。その分、めいちゃん役を経験できたことは、自分の身になった気がします」

■そう現実にはないものだからこそ、みんな見たくなるのかな

めいが変わるきっかけとなるのが、学校一のモテ男子・黒沢大和(福士蒼汰)との出会いだ。めいに降りかかったあるピンチを救うために大和が取った行動は、なんと突然のキス! そんな大和の積極的なアプローチが、閉ざされためいの心を徐々にほどいていく。そのストーリーには、オクテ&ネクラなアラサー男子である自分も思わずドキドキ&キュンキュンしてしまった。

中でも川口さんがもっともキュンとした場面として挙げたのが、大和が通っていた中学校にめいを連れていき、ある過去を告白するシーン。

「そのあたりからふたりの距離が詰まるシーンなのかなって。大和がめいに弱みを見せてくれるので。ここがふたりのはじまりだと思います。ほんとに気持ちが通い合ってからのめいちゃんと大和の関係性は見てほしいですね。この作品には女の子が憧れる世界観やシチュエーションがすごくたくさん詰まっていて。そう現実にはないものだからこそ、みんな見たくなるのかな」

大和をはじめ、めいを取り巻く登場人物はみな、それぞれに複雑な思いを抱えながらも、ときにはぶつかりながら、ひたむきに他人と向き合おうとしている。そんな彼らとの出会いによって、ある過去のトラウマによってひととの関わりを避けて生きてきためいの心にも、変化が生まれていく。『好きっていいなよ。』は、胸キュン恋愛映画であると同時に、ひととひとのコミュニケーションについての映画でもあるのだ。

「徐々に自分を見せていくっていうか、自分の意見を言ったり気持ちを伝えるときに、なんか苦しかったり、いままでに経験したことのないような気持ちになったりする、そういう気持ちの変化を演じるのは大変でした」

最初は表情が乏しかっためいが、驚き、悩み、笑い、泣き、誰かを信じようとする。ひとりの女の子がグラデーションのように変化するようすを、川口さんは鮮やかに演じきった。恋愛だけではなく、めいは多くの友情も育んでいく。

「 “持つべきものは友”だなと改めて感じますね。特にこの作品の登場人物ってみんな人間くさくて、なにかあったときにめいちゃんを助けてくれる存在でもあって、そういう絆も描かれているので。自分も友だちに助けられることはしょっちゅうありますね。一緒にいてくれるだけで助けられるから。本当に大事にしなきゃいけないなと思います。

ひとってやっぱり大きいですよね。出会うと考え方とか自分の世界が広がるし。仕事もそうですけど、“出会い”は生活の中でかなり大部分を占めるものだし、自分自身もいい方向にも悪い方向にも変わるものだと思うから。すごく大きいものだなと思います」

■まわりの目とか、評価とか、気にしたくないけど、やっぱり気にしちゃう

『好きっていいなよ。』がここまで観るものの共感を集めたのは、現実にはなかなか起こりえない“胸キュンシチュエーション”への憧れだけではなく、ひとが生きるうえで出会う些細な戸惑いや喜びを、ていねいに掬い取っているからだと思う。

例えば、ついにモテモテの大和の彼女になっためいが、大和と自分のギャップに悩むシーン。まわりから見たら、大和と自分は釣り合っていないんじゃないか――。めいのような思春期をとっくに過ぎた自分のような人間でも、周囲の目を気にしてしまうことはしょっちゅうだ。川口さんが選んだ役者という仕事も、とかくイメージや結果で語られてしまう職業である。

「やっぱり気にしますね。まわりの目とか、評価とか、自分のことをどう思っているかとか。気にしたくないけど、やっぱり気にしちゃうし。それがあって普通じゃないかと思います。

でも自分が満足できること、自分で自分のことをよくやったなと褒めてあげられたら、それはそれでいいし。自分自身の気持ちで満足できていたら、それはそれでいいんじゃないかなって。

今回の『好きっていいなよ。』は、自信を持っていいものを作れたとは言えるけど、自分自身満足しているわけではないので、まだまだだなって。でも、褒めてあげることはできないけど、そのときにできる精いっぱいのことはやれたので、がんばれたかなって思います」

実直と言ってもいいほど、自分を冷静に見つめているひとなのだ。「根は素直だと思うんですけど、強がったり、弱いとこを見られたくないっていうのはあるかも。もっと素直に生きたいなって思いますね」。そんなふうに想う川口さんだからこそ、繊細で多面的なめい役をこれほどの精度で演じ切れたのだろう。

2014年の夏を大いに盛り上げた『好きっていいなよ。』。本格的な冬を迎えるいま、川口さん演じるめいのひたむきに成長しようとする姿に、ふたたびキュンキュンしてみてはいかがだろうか。

『好きっていいなよ。』 発売中
通常版DVD 価格2,800円+税
通常版Blu-ray 価格3,800円+税
プレミアムエディションも発売中
発売元:講談社 販売元:松竹
©葉月かなえ/講談社 ©2014「好きっていいなよ。」製作委員会