GPIFの資産構成の

見直しと同時に決定

しかも、当日はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による年金資産構成の見直しで株式投資枠の大幅拡大も発表される。

日銀は今回の緩和について、「デフレ脱却が遅れるリスクを未然に防ぐため」と、予防的措置であることを何度も強調している。しかし、緩和決定後に日銀で開かれた説明会では、大手金融機関のエコノミストらから「市場との対話を損なうものだ」などと批判が相次いだ。

日銀は短期的には株価上昇に成功したが、「日銀総裁発言が金融政策の予測に役立たない」と市場に認識され、口先介入の効力を失うリスクも抱え込んだことにもなる。

日銀は今回、ETFの買い入れ額を3倍に増加するほか、国債購入額を30兆円増やして資金供給量を大幅に拡大することにした。景気減速や株価下落を全力で防ぐ姿勢は投資家に信頼感を与えたが、現実に景気に急ブレーキがかかった場合には、次の手は限られる。

今回の会合では黒田総裁ら9人の政策委員会メンバーのうち賛成5、反対4と採決が割れた。委員への根回しは採決の数日前だったといわれ、総裁の強引な手法が反発の芽を育てかねない情勢への懸念もある。さらに、国債の購入額は年間80兆円と、新規発行額の2倍近くに達し、大幅な積み増しはもう期待しにくい。

今後、消費税率再引き上げの最終判断や欧州のデフレ突入、中国のバブル崩壊懸念など不透明要因が連続する。追加緩和の効力が続くうちに、景気や株価がしっかりとした上昇基調を描くのが理想だろう。日銀が追加緩和に踏み切り、政府の要望に応えた今、ベストシナリオを実現させるのも、絵に描いた餅に終わらせるのも、安倍政権の手腕にかかっている。

(植草まさし)

日銀の量的緩和第2弾、GPIFの日本株比率引き上げで、日本株は爆騰し、米ドル/円も115円を超える円安に。安倍政権の消費税増税に向けた土台は整った?

この記事は「ネットマネー2015年1月号」に掲載されたものです。