なんだこりゃ?流行語大賞「ダメよ〜ダメダメ」の選考理由が、もはや“こじつけ芸”
 12月1日、毎年恒例の新語流行語大賞が発表されました。「STAP細胞はあります」や「壁ドン」、「カープ女子」などの有力候補を抑え、「集団的自衛権」とともに大賞に輝いたのが「ダメよ〜ダメダメ」でした。もちろん「ダメよ〜」が選ばれたこと自体はきわめて妥当な決定でした。しかしその選考理由が、想像のはるか斜め上を行っていたのです。

●「ダメよ〜ダメダメ」の選考理由
(ユーキャン新語流行語大賞・公式サイトより抜粋)

<戦後も70年を迎えようとしているのに日本人はやっぱり相変わらずの日本人で、NOときっぱり言えないというか、はっきり言わないで済ましましょうという人間関係。いきなり「ダメよ!」とでも言おうものなら、相手は「号泣」し出さないとも限らない。そんな昨今だからと、そこまで気を使う細やかさが日本人のたしなみなのかどうかは知らないが、ユルい空気ゆえにリベンジポルノがネットに流れたり、公の議会でセクハラやじが横行するのかもしれない。>

 まずその書き出しがいきなり「戦後70年」であることに意表を突かれます。そこから今さらながらの“NOと言えない日本人論”につづいて、「リベンジポルノ」や「セクハラやじ」といった別の流行語がことわりもなしにちりばめられている。しかしそれらは文中でオチがつくこともなく未回収のまま放置。

 そもそも本題のエレキテル連合は一体どこへ行ったのでしょうか。受賞者を置き去りにした選考理由はここからさらにエスカレートしていきます。

<あげくの果てが「壊憲」と言われる7月の閣議決定。「ダメよ〜ダメダメ」と高まる声を前にして「いいじゃ〜ないの〜」とするすると受け流して、気がついたら憲法が解釈だけで変更されてしまったのだが、(中略)こりゃあ「号泣」もしたくなる。そんな日本の不条理な現実を、最高にシュールなコントで「大爆笑」に変えてくれたのが「細貝さんと朱美ちゃん」こと、今年一番の人気コンビ、日本エレキテル連合であった。>

 下手に触れたら大怪我をしそうなこのテクスト。その反面読み手を引き付ける妙な引力もあるのですね。

 まずあからさまに政治思想を盛り込む不粋をちっとも気にかけない図々しさが頼もしい。そのうえで初めからエレキテル連合を正確に理解しようというマナーすら放棄したふてぶてしさも豪快で痛快。曲解もここまでくれば立派な芸になるのだなと勉強にもなる。これは、評論家・宇野常寛氏がツイッターで連投した映画『ゼロ・グラビティ』評を目にしたときの衝撃に匹敵すると言えるでしょうか。

◆コントの中身は完全無視!

 それにしてもエレキテル連合の人の好さには胸が痛みます。このようにコント本来の主旨から何億光年もかけ離れた解釈をされようと、授賞式でキャラクターを演じきる健気さに心打たれます。

 ディテールにこだわったメイクや小道具をそろえ、寝ずに考えたであろうプロットをもってしても、新語流行語大賞の選考委員の前にあってはほとんど無意味だったのだろうか。脱力感とはこのことを言うのかもしれません。

 あげくの果てが、さっそく「ダメよ〜ダメダメ、集団的自衛権」とツイートした福島みずほ御大。政界を代表する喜劇の名手があまりにもジャストなタイミングで登場。やっぱりみずほはすべらんなぁ。そんな今年の新語流行語大賞でした。

※編集部注
新語流行語大賞の選考委員は、姜尚中、俵万智、鳥越俊太郎、室井滋、やくみつる、箭内道彦、清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)の各氏でした

<TEXT/沢渡風太>