「目まい」といえば、耳鳴り、難聴を繰り返す「メニエール病」が真っ先に疑われる。耳の入り口から外耳、中耳と続く一番奥の「内耳」に、内耳リンパ液が何らかの原因で増え過ぎ“水膨れ(内リンパ水腫)”になる病気だ。

 確かにメニエール病の患者数は多い。国の「難病指定」を受け、人によっては「死にたくなる」という言葉が出るほど、辛い目まいが何度も繰り返される。
 「目まいそのものも軽視できない症状ですが、メニエール病だけを見ても難病といわれるだけに、なぜ内耳にリンパ液が過剰に溜まるかなど、まだ原因がはっきりと解明されていない部分があります。従って治療法もいろいろ試みられていますが、決定打になるところまで至っていないのが実情。目まい症は耳鼻科疾患が大半ですが、中には突然の“回転性目まい”や“ふらふら”感が起こった患者に手足の麻痺や呂律が回らないなどの意識障害、脳の障害の症状が起きるなど、要因は奥の深い部分があり、怖い病気です」(専門家)

 大阪の国立循環器病研究センターで「目まい」に関する調査をしている。突然の「目まい」に襲われ緊急入院した患者100人のうち、耳鳴り、難聴、吐き気やおう吐があった人を詳しく検査したところ、80%が耳鼻科の病気だった。しかし、残りの12%の患者から耳鼻科とは関係のない大脳などのCTやMRIの拡散強調画像で検査した結果、脳梗塞が見つかったと報告されている。
 検査に当たった同センターの関係者はこう説明している。
 「この検査の段階で検出された脳梗塞は非常に小さいもので、CT検査のみでは発見は難しく、MRIで初めて見つかるのです。症状も、目まいしか出ないので大事に至らない場合がほとんどで、見逃されるケースが少なくありません。しかし、安心していいわけではありません。後日の再検査で意識障害や手足の麻痺を伴う重症の脳卒中が見つかった例もあるので要注意。身体に異変を感じたらすぐに専門医を受診してほしいですね」

 一例を紹介してみよう。
 神奈川県内に住む55歳の男性は、最初は回転性目まいを発症。翌日、左耳が聴こえにくい状態になったため、近くの耳鼻科医院に行くと「突発性難聴」と診断された。その日は自宅で様子を見ていたところ、3日後の朝、突然意識を失って倒れ、総合病院に救急搬送された。
 男性の入院時は、意識障害のほか、手足の麻痺やさまざまな脳の症状が見られ、CT検査では小脳、脳幹など広い範囲にわたり脳梗塞が起きていることがわかったという。
 男性は「まさか目まいから脳梗塞が見つかるなんて想像もできなかった。幸い早期の発見で深刻な状態は避けられましたが、怖いですね」と語り、現在は元気になり、医師のアドバイスを受けながら生活習慣の改善に取り組んでいるそうである。