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○競技の分析を行う「スポーツアナリスト」

スポーツをいろいろな角度から分析し、実際の試合に勝利するための材料をフィードバックする、という活動がある。こうした分析活動を行うのが、スポーツアナリストという存在だ。日本スポーツ振興センター(JSC:JAPAN SPORT COUNCIL)に所属する千葉洋平氏は、このスポーツアナリストとして活躍している。

競技の分析を行うといえば、日本では古くから野球などで馴染みのあるものだ。この選手はどういったボールを打つのが得意で、打率がどの程度ある、どういうシーンで活躍する、というような情報は素人でも知っている。そうした分析をさまざまな競技でより高度に行うのがスポーツアナリストだ。

「野球、サッカーやラグビー、海外だとバスケットボールやアメリカンフットボールなどでも以前から盛んでした。大きなお金が動く競技やアメリカの4大スポーツなどでは、そういった傾向がありますね。最近の日本だと、女子バレーボールのアナリストである渡辺啓太氏が有名です」と千葉氏は語る。

女子バレーボールの中継では、監督がタブレットを使って戦術の説明を行っているシーンを見ることができるが、その材料を提供しているのがスポーツアナリストというわけだ。「渡辺啓太氏を中心に、日本スポーツアナリスト協会という団体を立ち上げました。競技の枠組みを超えたアナリストの連携強化や、職域を広げることなどを目的とした団体で、私もその活動に関わっています」と語る千葉氏は、日本スポーツアナリスト協会の理事という肩書きも持っている。

○コーチとのミーティングは分析データと映像を利用

千葉氏のJSCにおける肩書きは、 マルチサポート事業 パフォーマンス分析<フェンシング男子フルーレ>というものだ。つまり、フェンシングを専門としたアナリストとして活動している。その活動において、クラウドと連携したデータ活用は欠かせないものだという。

「一番大切なのは、映像をできるだけ残すことです。映像から分析を行うわけですが、情報の共有にはクラウドサービスを活用しています」と千葉氏。従来は戦術研究などで映像を活用する場合はDVD等のメディアを使った共有が行われることも多かったが、それでは時間がかかる。必要な部分をすぐに再生できるクラウドサービスは、分析を現場で活きるものとするために重要な役割を担っているという。

「ミーティング中に、こういう傾向がある、あの試合ではどうだった、というような話題になったらすぐに映像を引き出し、確認できる仕組みです。分析ソフトで試合条件や相手についてなど条件を指定すると、その条件下での傾向が見えてきます。そこで、この相手にはこういう形でポイントを取られているけれど実際はどうだったのか、というように映像を見るわけです」と千葉氏は解説する。

○ロンドン五輪でも活用されたデータ分析とは?

今のところは、試合中の様子を観客席から撮影した映像を集め、分析している。「フェンシングは審判にどう見えたかが重要な競技ですし、一点から見ただけでは実際の動き全体を見極めにくいものでもあります。まだまだ十分な分析ができていないと感じることも多々ありますが、選手に意見を求められることもあり、少しでも役立てていると感じるのは嬉しいですね」と千葉氏は語った。

フェンシングでは、1試合あたり1人の選手が平均約60回の突きを行うという。そして、1つの突きに対して大きく4種の情報を付与するため、2人の選手が戦った試合のデータは450〜550件にも及ぶ。実際にはさらに詳細なデータもあり、多くの試合データを集めるため非常に大きなデータを扱うことになる。

「スポーツは高度になると、本当に小さな差の戦いになります。そこでは情報収集やデータ分析が絶対に必要になります。競技特性や周辺環境などの違いで現在の活用度合いには違いがありますが、今後は全体的にデータ活用は進むはずです」と千葉氏は、スポーツの現場で想像以上に多くのデータが扱われていることを強調した。

12月11日には「AIT データを活かすITシリーズ 2」として「ビッグデータ競争社会の到来!」と題したセミナーが開催される。このセミナーの基調講演で、千葉氏はスポーツでのデータ活用について、より詳細な解説を行う予定だ。

「できるだけ皆さんにわかりやすい、興味深い事例をご紹介したいですね」と千葉氏。ロンドンオリンピックでは、対戦前に当たると分かっている相手について分析を詳細に行うなどこのシステムが活用された。そうした内幕についても紹介されるという。世界で戦うアスリートたちがどのようなデータ活用を行っているのかの実際を知りたい方、企業での活用例以外について知識を広げたい方にはぜひ参加して欲しいセミナーだ。

千葉氏の活動については、マイナビニュースが昨年取材したこちらの記事も合わせてご覧下さい。

(エースラッシュ)