手塚治虫の遺作をジャニーズが音楽劇に!ベートヴェン、モーツァルト役は…
<ジャニヲタ歴20年・みきーるのJ-ウォッチ>

“645年”って、何の年かわかりますか?
――そう、大化の改新。中大兄皇子による蘇我氏の討伐があったとされる年です。

じゃあ、“794年”は?
――ハイ、「鳴くよ(794)ウグイス平安京」、平安京遷都の年ですね。

 パッと思い浮かぶ歴史上の出来事をひっぱり出してみましたが、すぐ出てきたのはせいぜいこの程度。偉人のみなさんについても同じことで、「名前は知ってるけど、何をやった人かよく知らない(または、忘却の彼方)」というケースがままあります。大人として残念なかぎりですが、なかなか悠長に歴史の本をひもとく時間もないのが現状です。

◆『ルードウィヒ・B』、ジャニーズで学ぶ偉人伝!

 そんな折り、ジャニーズが偉人の半生を学ぶまたとない機会を与えてくれました。それは、現在上演中の『音楽劇 ルードウィヒ・B〜ベートーヴェン 歓喜のうた〜』!

 手塚治虫さんのコミックを舞台化したもので、A.B.C-Zの橋本良亮さんがベートーヴェン、河合郁人さんがモーツァルトを演じています。

 ベートーヴェンと聞いても、『運命』と、音楽室にあった“髪振り乱して宙を睨む肖像画”くらいしか連想できなかったのですが、そんな貧困な知識をぶっとばす豊かな物語がそこにありました。母思いの優しく繊細な少年期から、聴力を失いながらも“第九”(交響曲第九番)を完成させる晩年まで、ベートーヴェンの生きざまがドラマティックに描かれています。

 ベートーヴェン(橋本さん)は、きれいな言葉遣いでとてもおだやかに話すのですが、そのベルベット・テノールがすばらしく耳に心地いい。声だけでヘロヘロにされてしまう意の“耳レイプ”という言葉がありますが、橋本さんのソレは言うなれば“耳ドン”。壁ドン以上の破壊力です。

 “音楽室のこわい肖像画のおっさん”でしかなかった彼が、“みずみずしい感性をもったイケメン天才”に上書きされ、なんかちょっとトクした気分。

 また、河合郁人さんは、チャラチャラしながら実は弟子思いで男らしいモーツァルトを好演しています。ふと差しはさむお笑いや軽やかなダンスも河合さんらしく、女心をギュッと掴まれる感じ。これまた、“髪をカールした肖像画の気どった人”から、“笑いもとれるステキな兄貴”に昇格です。

◆最後はおなじみ”第九”の大合唱

 さて、本作のクライマックスは表題にもなっている“歓喜のうた”(第九)を大合唱するシーンですが、12月になると日本中でこの“第九”が演奏されます。「そういえばそうだけど、なんでかな?」とか、今までは気にもとめなかったのですが、ちょっと調べてみる気になりました。

 なんでも、「NHK交響楽団の前身が招いたドイツ人指揮者が“ドイツでは大晦日に第九を演奏するのが習慣”と語ったことがきっかけ」→「マジ!? じゃあその習慣、いただき!」→「大合唱で盛り上がるし、日本人ウケ最高!」→「この調子でいこうぜ!」→恒例化(※)、みたいな経緯だそうです。

 いずれにしても、壮麗な“第九”を聴きながら一年を締めくくるのは、なかなかオツな過ごし方ではないかと思います。今年は美しいベートーヴェンやモーツァルトとともに、歓喜の時を過ごしてみてはいかがでしょうか?

【音楽劇 ルードウィヒ・B〜ベートーヴェン 歓喜のうた〜】
公式サイト http://www.beethoven-stage.com/
東京国際フォーラム ホールCにて12月6日(土)まで上演中。
大阪公演は、シアターBRAVA!にて12月11日(木)〜12月14日(日)まで公演。
※当日券の販売もアリ。

※【12月になるとベートーヴェンの第九を合唱するのはどうして?】http://www.cdjournal.com/main/research/ludwig-van-beethoven/2181

『ルードウィヒ・B』原作/手塚治虫

<TEXT/みきーる ILLUSTRATION/二平瑞樹>

【みきーる】
編集者&ライター。出版社勤務を経て、2000年に独立。ふだんは『週刊アスキー』などパソコン誌や女性誌、ウェブサイトで編集・執筆。著作に『ひみつのジャニヲタ』(カバーイラスト・江口寿史)『ジャニヲタあるある』『ジャニヲタあるある フレッシュ』『ジャニヲタ談話室!』など(イラストはいずれも二平瑞樹)。ジャニヲタ歴は、約20年。KinKi Kidsの担当に始まり、現在はグループを問わず応援する“事務所担”。mixiコミュニティ“ジャニーズチケットお見合い処”管理人。Twitterアカウント:@mikiru