関連画像

写真拡大

東京都内のハプニングバーで、ほかの客に見えるようにわいせつな行為をしたとして、宮内庁職員の50代男性が公然わいせつの疑いで警視庁に現行犯逮捕された。男性は今春まで秋篠宮家を担当していた職員だったという。

報道によると、男性は11月上旬、東京・新宿のマンションの一室にあるハプニングバーで、ほかの客に見える状態で、客の男女2人と性行為などのわいせつな行為をした疑いが持たれている。男性は容疑を認めているが、すでに釈放されているという。

さらに、店の経営者と従業員も公然わいせつのほう助の疑いで逮捕された。

こうしたハプニングバーは一般的に、意気投合した客同士がわいせつな行為を見せ合う場所とされているが、本人たちが合意していても、犯罪になってしまうのか。どのような法的問題があるのだろうか。風営法にくわしい西川研一弁護士に聞いた。

●「限定的空間」で公然わいせつが成立するのか?

「ハプニングバーと言っても、いろいろなシステムの店があります。

今回のようなケースでは、一応、店舗内という『限定的空間』における行為なので、客の公然わいせつ罪(刑法174条)が成立するかどうかが、まず問題になります」

西川弁護士はこう説明する。では、男性の逮捕容疑になった「公然わいせつ」は、どのような場合に成立するのだろうか。

「わいせつ行為がなされていたとした場合、ポイントは、『公然』性があるか否かです。ここでいう『公然』とは、不特定または多数の人が認識できる状態をいい、公然わいせつの成立には、その可能性で足りるとされています」

具体的にはどういうことだろうか。

「たとえば、仮に、ほかの客から見えにくい場所でわいせつな行為をおこなっていたとします。しかし、その場所に誰でも入れるなど、ほかの客が見ることができる状態にあれば、『公然』性が認定される可能性が高いでしょう。

また、ハプニングバーの場合、たとえ会員制であったとしても、不特定多数の人が来店する可能性があります。この点、たとえば自宅において友人間で同様のわいせつ行為をおこなうような場合と異なり、公然性が認定されることが多いように思います」

一方、店側の責任はどう考えればいいのだろうか。

「仮に、経営者や従業員に公然わいせつが成立するとしても、性的行為をすることを客に求めることまではしておらず、店内の行動については客の自由にさせ、雰囲気作り程度の関与だと考えられます。

過去の裁判例に照らすと、客と一緒に犯罪をおかす『共同正犯』ではなく、犯罪を手助けする『ほう助犯』にとどまるでしょう」

西川弁護士はこのように解説していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
西川 研一(にしかわ・けんいち)弁護士
弁護士法人・響の代表弁護士。大阪弁護士会所属。「SAVE THE NOON」訴訟に関わると共に、ダンス規制法改正運動にも尽力。取扱の多い案件は、借金問題、交通事故、離婚問題、遺産相続など。また、テレビや新聞、雑誌などメディア出演も多数。
事務所名:弁護士法人・響
事務所URL:http://hibiki-law.or.jp/