満身創痍で手に入れたツアー28勝目!笑顔でカップを抱きしめた(撮影:岩本芳弘)

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<カシオワールドオープン 最終日◇30日◇Kochi 黒潮カントリークラブ◇(7,315ヤード・パー72)>
 片山晋呉が後半12番から15番までの圧巻の4連続バーディで一気に抜け出し、今季初優勝、ツアー通算28勝目を飾った。
片山晋呉、届かなかった“3試合分の気持ち”
「後ろの最終組に見せつけてやろうと思って、12番から全部ピン筋を狙っていった。グリーンでは“後ろの3人が見てるだろうな〜、この歓声が聞こえているだろうな〜”って思いながらプレーしていました」と、優勝争いをする小平智、今平周吾、平本穏の3人に経験値の違いを見せつけた。片山が優勝を意識したのは14番。「6mのパットが入って、“勝つときはこういういいパットが入るんだよな〜”って思ったときから、イケるってね」と勝利を明確に意識し、スコアを17アンダーまで伸ばした。
 途中まで首位を走った平本は「“今日は晋呉さんの日なんだな”と割り切って目標を優勝から下方修正した」と途中から白旗をあげたという。若手3人での最終組は、毎ホール毎ホール、眼前のグリーンに響き渡る大きな歓声に戦意を喪失していっただろう。これが晋呉流のプレッシャーのかけ方だ。
 今週、優勝を手にしたが「三井住友VISA太平洋マスターズ」から左カカトの痛みが発症し、大会中は痛みとの戦いだった。いや今大会だけでなく、今季はまさに満身創痍だった。怪我が頻発し、ゴルフどころか日常生活もままならない時期があった。まず、5月末の「ミズノオープン」前に右手の親指と人差し指の痺れが訪れた。今も感覚がない状態だという。その翌週の「日本プロゴルフ選手権」では腰の痛みを感じ、検査で神経を傷めているという診断を受ける。3週間程歩けなかった。再びクラブが握れたのは「KBCオーガスタ」前の8月の下旬。長い選手生活で夏場に長い時間クラブを握れなかったことは一度もなく「もう休めってことなのかな」と思ったという。
 だが休んでいるときは、様々なメンタル本を読み漁ったり、動けるようになったら走り込みをするなどプレーできる状態に戻し、10月「日本オープン」では優勝争い、そして今大会の勝利と最高の結果を手に入れた。
 今回の優勝は「こんな体の状態でも勝てるんだなっていう発見だった」といい、「40代だから怪我に関しては仕方ないけど、ゴルフ自体は衰えてきたとはまったく思っていない」と片山。この男のゴルフへの情熱は衰えることを知らない。 
<ゴルフ情報ALBA.Net>