秋の臨時国会の最大のポイントは消費税の再増税があるかどうかですが、そもそも今の日本は消費再増税に耐えうるだけの体力があるのでしょうか? 足元で進行する円安も私たちの生活を圧迫し始めています。

臨時国会の注目は、

消費税の再増税

臨時国会がスタートしました。最大の焦点は、来年10月から消費税を10%に引き上げるかどうかの判断です。11月に発表される7〜9月期の経済成長率を見て年内に可否を決める予定です。仮に、景気回復が弱いにもかかわらず増税となれば、国内資本市場は騰勢を弱めそうです。

では、今の日本経済はさらなる消費税の増税に耐えられる状況なのでしょうか? そこで資本市場から注目されている経済指標の鉱工業生産指数を見てみましょう。この指標は、日本の製造業の活動状況を総合的に見るためのもので、生産、出荷、在庫、在庫率等の項目別に発表されます。

日本のGDP(国内総生産)の過半数は非製造業等の第3次産業で構成されています。一方で、東証1部の時価総額の過半数は製造業で構成されているのです。加えて、製造業による経済への波及効果(生産活動や設備投資に伴い、雇用等への影響度)が非製造業よりも大きいことから注目されています。

8月分を見てみると、事前予想では消費税増税の反動減も収まり、前月比で増加することが予想されていました。実際は2カ月ぶりの減少。特に目立っていたのは、日本の基幹産業でもある自動車の減少でした。そして印象的だったのが、鉱工業生産指数そのものの水準が、日銀が量的・質的金融緩和を始めた2013年4月分を下回っていたこと。金融緩和の効果がはっきりと見えていないのです。

また、円安による物価上昇で、私たちの生活も厳しさが増している様子が、いくつかの経済指標から散見されます。企業活動も労働市場も、8月時点では弱いとしか言いようがありません。

しかし、景気が少々弱くても政府としては増税を行ない、国家債務の正常化を図りたいのが本音。景気対策のための補正予算を組む可能性は低いようです。日銀による追加金融緩和による景気下支えを期待する動きが、資本市場で出てくるはずです。

しかし、今のところ日銀が目標としている物価水準には近づいており、すぐに追加緩和をする可能性は低いのではないでしょうか。ただし、日銀が今年4月から「基調的には緩やかな回復が続いている」という日本経済への判断を下方修正したら話は別です。下半期は、日銀が景気見通しを変更するかどうかが、資本市場のカギを握りそうです。

崔 真淑 MASUMI SAI

Good News and Companies代表

神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。}

この記事は「ネットマネー2015年1月号」に掲載されたものです。