はやぶさ2の打ち上げは天候不順により延期。3台の小惑星着陸機で生命の起源を探る

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JAXA の小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げが近づいてきました。はやぶさ2 の目的地は、炭素が主成分と目される小惑星「1999 JU3」。2018年に到着し、1年半ほどの滞在期間のうちにさまざまなサンプル採取や分析を行います。
 
 幾多のトラブルを乗り越え、持ち帰った小惑星のサンプルを地上に送り届けた 初代はやぶさ は、そのドラマティックな経緯からドキュメンタリーや映画が複数制作されるなど、大きな話題を呼びました。

はやぶさ2 の計画は初代の帰還よりも前からはじまっています。基本設計は初代を踏襲するものの、推進力を発生する科学燃料スラスターの配管やリアクションホイールなど、初代でトラブルが発生した部分にはしっかりと改良が加えられています。さらに、初代で活躍した電力推進系のイオンエンジンも、その推進力を高めたものに変更されています。
 

 
はやぶさ2 が目指すのは、1999年に発見された直径900m ほどの小惑星 1999 JU3。その組成が炭素を主体としたものであることから、C型小惑星に分類されます(S型はケイ酸鉄、ケイ酸マグネシウムなどの石質が主成分)。1999 JU3 は太陽系ができた当時の状態を残していると考えられ、惑星の形成過程やアミノ酸の有無といった生命の起源につながる謎を解き明かす発見が期待されます。
 

 
地表データ採取のため、はやぶさ2 には独仏共同製作の着陸機「MASCOT」と、日本製ローバー「MINERVA-II」が搭載されます。

MASCOT は当初、日伊共同プロジェクトだった「はやぶさMk-II(欧州名 Marco Polo)」計画に含まれており、ESA が探査機 Rosetta に搭載した Philae の小型版となる計画でした。しかしこのプロジェクトが延期とされたため MASCOT には大幅な設計変更が加えられ、はやぶさ2 に乗せることとなりました。その大きさは30 x 30 x 20cm ほどにまとめられています。

MASCOT は はやぶさ2 から 1999 JU3 の地表に投下され、赤外分光顕微鏡による鉱物分析、広視野角カメラによる地表状態のカラー画像化、周辺温度の計測や惑星の磁化の特徴調査などを行います。

一方の MINERVA-II は、はやぶさ搭載の MINERVA から設計を一新し、JAXA 開発の2台と大学コンソーシアムによる1台の合計3台が搭載されます。ローバーと言っても車輪で自走するのではなく、リアクションホイールによる振動で跳ねながら移動する方式を採用しています。これは超低重力下で車輪走行をすると地形の「ジャンプ台」に乗ってしまったとき、宇宙空間にまで飛び出してしまう可能性があるため。MINERVA-II はこの特徴的な移動機構と複数のフォトダイオードで割り出した太陽の方向ををもとに、自律行動探査も行います。

MINERVA-II の機体には超近接撮影用のカメラを搭載し、サンプルを採取する地表のステレオ画像を撮影します。また、3台の MINERVA-II による通信ネットワークの構築実験なども計画しています。地球との通信には親機の はやぶさ2 を介するほか、MINERVA-II そのものも MASCOT と はやぶさ2 の通信を仲介します。

計4台の着陸機を投下した後は、はやぶさ2 もみずから小惑星へのタッチダウンによるサンプル採取を行います。このタッチダウンでは、事前に「インパクター」と呼ばれる金属塊を地表に発射し、衝撃でできたクレーター内に露出した地下の物質を採取する予定です。

採取した 1999 JU3 の地表サンプルを携えて、はやぶさ2 が地球に帰還するのは2020年暮れ。約6年間の長期ミッションとなります。
 
 
 
 
ESA の探査機 Rosetta と着陸機 Philae による彗星着陸ミッションのニュースからまだ日が浅いこともあり、はやぶさ2 にも多くの注目が集まっています。打ち上げ、管制を行う人々からすれば初代のときのようなドラマがおこらないほうが良いに越したことはありません。まずは打ち上げが最初の関門となります。

なお JAXA は11月28日、30日に予定していた打ち上げの延期を発表しました。理由は当日の天候において「射場近辺に打ち上げ制約条件の規定以上の氷結層を含む雲の発生が予想される」ため。これにより打ち上げは12月1日以降へとずれ込みます。30日以降はさらに気温が下がる予報が出ていますが、打ち上げ可能な日程にもあまり幅がないはずなので、すみやかな天候の回復を祈るばかりです。