エボラは空気感染しない?現在の定説

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エボラ出血熱の症状

世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、昨年12月下旬以降の世界8か国でのエボラ出血熱の感染者が1万5145人となり、うち5420人が死亡したと発表しました。

エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症です。エボラウイルスに感染すると、2〜21日(通常は7〜10日)の無症状の時期(潜伏期)の後、突然の発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等のような風邪のような症状が出現します。次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れます。このように、最初は風邪のような症状のため、また、日本人の医師が今まで診たことがないため、実際は診断が困難です。


症状のある患者あるいは患者の体液に直接触れないと感染しない

エボラ出血熱は、咳やくしゃみによってヒトからヒトに感染するインフルエンザ等の疾患とは異なり、簡単にヒトからヒトにうつる病気ではありません。エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、嘔吐物・排泄物)や患者の体液等に触れた物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた場合、ウイルスが傷口や粘膜から侵入して感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません。つまり、エボラ出血熱は、症状のある患者あるいは患者の体液に直接触れないと感染しないのです。

そういう意味では、インフルエンザのような流行をすることは少ないと考えられます。さらに、流行地域はアフリカに限定されていることから、現時点では国内で流行するリスクは低いと考えられます。しかしながら、すでに欧米諸国で見られたとおり、国内で患者が発生する可能性はゼロではなく、厚生労働省を中心に国内での発生に備えて体制が整えられています。検査の結果、感染していることが明らかになれば、患者は感染症指定医療機関に移送され、公費によって治療されます。


パニックにならず、冷静な判断を

エボラ出血熱は、まだまだ不明な点が多い病気です。体液でうつる病気の場合、他人の嘔吐物の処理で感染する場合があります。処理をする場合は、手袋などで防御し、直接皮膚に嘔吐物がつかないように注意することです。

現在、わかっている知識を持ち、しっかりと対策を行うことで感染を防ぐことができます。パニックにならず、冷静な判断が必要です。


【大西 勝也:内科医】


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