ESA、彗星着陸機Philaeの「タッチダウン」音を公開。現在は居場所を捜索中

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欧州宇宙機関(ESA)が、彗星着陸機 Philae がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に最初に「タッチダウン」した瞬間の音を公開しました。わずか2秒間の短い音声ながら、科学者はそれをもとに地表から数cm下に当初予想よりも硬い層があったと推測しています。また、着陸後の Philae が採取した地表サンプルからは有機化合物が検出され、「生命の起源」に迫る発見の可能性も期待されています。公開された音は Philae の着陸脚に備えた振動センサーのデータを音声に変換したもので、わずか2秒間しかありません。


管制を行うドイツ航空宇宙研究センターは、このデータの分析結果から当初の着陸地点には数cmほどの柔らかい塵の堆積層があり、その下には予想よりも硬い(おそらく氷の)層があったと推測しています。

Philae はこの着地で機体を地面に固定する銛を発射できず、大きくバウンドしてしまいした。しばらく空中を漂ってふたたび小さく跳ね、ようやく着地した場所は谷の縁、空中に3本の脚のうち1本を投げ出した状態でした。さらにその場所は日当たりが悪く、太陽電池によるバッテリーの充電もままなりません。

まさに崖っぷちの状況に ESA は太陽光を当てる方法を模索しつつ、その場で地表のデータ採取を開始します。バッテリー電圧を睨みながらの作業でしたが、なんとか予定していた初期観測のデータをすべて送信し終えることができました。その後 Philae はハイバネーション(休止)モードへと移行し、現在はふたたび光を浴びて再起動する日を待っています。

最長で1か月ほどを予定していた彗星上での活動は60時間足らずに縮まったものの、採取したデータには注目すべきものも多く含まれます。たとえばサンプルのなかには炭素を含む有機分子が発見されており、詳細な分析が進められています。一方、Philae を運んだ探査機 Rosetta も、彗星の放出ガスから水や二酸化炭素、メタン、アンモニアなどを検出しています。もしもサンプルのなかからアミノ酸が見つかれば、いわゆる「生命の起源」に関する研究に影響を与える可能性も考えられています。

Philae が彗星上のどこに着地したか、その正確な位置はまだ特定できていません。しかし科学者はサンプルデータの分析を完全なものとするためには、やはり彗星のどの位置で採取したものかを知る必要があるとしています。

ESA はこれまでに残された通信記録をもとに Philae の捜索範囲を幅30m、長さ350mのエリアと、可能性の残るもう一つのエリアの2か所に絞り込んでいます。
 
左が当初の着地予測範囲(青)、右は現在の捜索範囲(青および緑)
 
なお捜索には Rosetta が搭載する CONCERT(Comet Nucleus Sounding Experiment by Radiowave Transmission)システムを利用しているとのこと。CONCERT は彗星に向けて電波を照射し、その反射から彗星内部の密度や構造などを探るシステム。うまく Philae から反射した電波をキャッチし、その位置が特定できるかに期待がかかっています。
 
下は最初の着地点と直後の Philae をとらえた拡大画像