パでリーグ優勝チームからMVP選出がなかったのは08年の西武以来

 プロ野球セ、パ両リーグが26日に2014年シーズンのMVPを発表したが、今季3年ぶり6度目の日本一に輝いたソフトバンクホークスからはMVPの選出はなかった。セは菅野智之投手(巨人)、パは金子千尋投手(オリックス)が初受賞。パのMVPがリーグ優勝チームから選ばれなかったのは西武が優勝した2008年以来、6年ぶりのことだ。

 2008年は楽天(現マリナーズ)の岩隈久志投手が21勝4敗、防御率1.87と圧倒的な数字を残し、投手のタイトルを総なめにしたシーズンだった。

 MVPは記者投票によって決まる。記者は3人を選出。1位に5点、2位には3点、3位に1点が与えられ、総得点で争われる。優勝した西武は岸孝之が12勝4敗の好成績。おかわりくんこと中村剛也も46本塁打で初の本塁打王に輝いたが、投票数は届かなかった。それだけ岩隈の成績にはインパクトがあった。

 一方、今年の優勝したソフトバンクは打者では3割打者が5人(柳田、中村、内川、李、長谷川)もいた。しかし、チームトップの柳田は3割1分7厘でリーグ3位。上位2人の糸井(オリックス)、銀次(楽天)は最後まで首位打者を争った。

昨年のセ・リーグは最下位ヤクルトがMVPを輩出

 投手でもチーム最多勝は11勝の中田とスタンリッジで勝利数リーグ5位タイ。五十嵐やサファテのリリーフ陣の貢献度も高かったが、五十嵐のホールドポイント(救援勝利数+ホールド数)は1位のオリックス・佐藤(48HP)に次ぐ2位の45HP。サファテの37セーブも1位の平野の40セーブに次ぐリーグ2位で、あと一歩オリックス勢に及ばなかった。そのため印象度に欠ける結果となった。

 一方、巨人もシーズン中は「誰がMVPだ」と言われるなど、決め手に欠いたが、こちらは菅野がシーズンの優勝に一番大きく貢献しことと、最優秀防御率のタイトルを獲得したことが追い風になった。

 ただ、昨年はセ・リーグでも、優勝チームの巨人からMVPは選出されなかった。栄冠を手にしたのは最下位ヤクルトからバレンティン。シーズン60本塁打を放ち、1964年の巨人・王、2001年の近鉄・ローズ、02年の西武・カブレラの持つシーズン55本塁打のプロ野球記録を49年ぶりに塗り替えた。巨人選手の成績の印象が薄かったというよりはバレンティンが強烈だった。

 今年もパの金子の印象度が強く、一方でバランスの良さで日本一になったホークスに個人成績でずば抜けた存在がいなかったことが今回のMVP選出につながったと言えそうだ。