浦和レッズ対ガンバ大阪。0−2でガンバ大阪が勝利した土曜日の一戦は、ひどく低調な試合だった。動きが重く感じられたガンバ大阪に対して、浦和レッズはサッカーそのものに冴えがなかった。Jリーグ最高の大一番に相応しい試合内容ではなかった。こうした試合を繰り返せばファンは減る。

 埼玉スタジアムは、ホーム浦和レッズサポーターと、遠路はるばるやってきたガンバ大阪のサポーターでほぼ満員。スタンドを埋めた5万6758人は観戦に没頭できただろうが、テレビを通してこの試合と接した第3者にはどう映っただろうか。スタジアム内と、さぞ大きな温度差があったものと思われる。

 それはともかくーー

 浦和レッズのペトロビッチ監督は、試合後の会見でまずこう切り出した。
「失点を許すまでゲームをコントロールしていたのは我々。決定機は何度もあった。そこでゴールを奪えなかったことが敗因だ」と述べたが、スタンドの上階からピッチの模様を見下ろしていたこちらには、惜しい敗戦には見えなかった。ワクワクするような決定機が何度も訪れたようにも、有効な攻撃を繰り出しているようにも見えなかった。

 サイドにボールを運んでも、サイドで構える選手は、ウイングハーフ(ウイングバック)ただ一人。サイドを有効に活用するための人数が足りていない。特に前半、右サイドの平川からクロスは何本か上がったが、それは浅い位置(低い位置)からの「プラス」のものに限られた。ガンバ大阪のディフェンス陣がよほど混乱しない限り、得点の予感はしなかった。

 攻撃に幅の広さと深さがあったのはガンバ大阪の方だ。回数こそ少なかったが、立体感のある攻撃、つまり、ゴールへの道筋が見える攻撃という意味でガンバ大阪は、浦和レッズを上回った。それが終盤、結実。2−0の勝利に繋がった、と言っていい。

 浦和レッズは3−4−2−1。3バックのチームには、相手にサイドを突かれると5バックになりやすいデメリットがある。両ウイングバックが戻り遅れれば、3人のセンターバックが、横幅68mの広い範囲をカバーする必要が生まれる。中盤フラット型の4−4−2を採用し、幅の広い攻撃を見せるガンバ大阪と、その3バックの関係は、本来、決して良い関係にない。

 だが、ガンバ大阪の長谷川監督は、同じ3−4−2−1を採用するサンフレッチェ広島と対戦した先のナビスコ杯決勝では、前半のみだが、この布陣ではなく、中盤ダイヤモンド型の4−4−2で戦った。今季のJリーグ、天皇杯の戦いでも、そうしたという。似たような布陣を敷く柏レイソルとの一戦(10月)でも、後半の途中まで中盤ダイヤモンド型4−4−2で戦った。

 3−4−2−1の2、すなわち2シャドーの動きを恐れたためだ。「従来の布陣では、ボールサイドにいる2シャドーの一人を抑えにくいから」とは、長谷川監督の弁。

 確かに、その役を、中盤ダイヤモンド型4−4−2のダイヤモンドの底を務める選手に任せれば、守備は安定する。ガンバ大阪には、その役に明神という適任者もいる。

 だが、一方で、攻撃力は低下する。ガンバ大阪の魅力のひとつである幅の広い攻撃は影を潜める。それは高い位置での守りを不安定にさせるリスクも抱えている。

 そのダイヤモンド型は、最後尾に明神、左に今野、右に阿部、2トップ下に遠藤を置く形をとるが、左の今野は本来、守備的MFの選手だ。右の阿部のようなサイドアタッカーではない。ポジションは自ずと下がり目になる。明神と今野。2枚の守備的MFが、存在しているように見えるのだ。

 よって、ガンバ大阪の左前方には人がいないことが多い。左サイドを使った深みのある攻撃ができにくい状態にある。それは同時に、相手の右サイドのサイドバックの攻め上がりを阻止しにくい状態にあることも意味する。自由に前に出てくる環境を与えていることになる。