2017-1031
電力事情の変化や仮説・論文内容の正確性に関して嫌疑が起きていることもあり、以前と比べて話題性そのものが薄れつつある二酸化炭素の排出量問題。当サイトではそれでもなお、定期的に世界主要国の二酸化炭素の排出量を公的データでチェックし、その状況を精査している。その動向を確認することにより、地球温暖化のリスクだけでなく、各国の工業化、公害対策の進展なども推し量れるからに他ならない。今回は2017年に発表された最新値を基に、「世界の二酸化炭素排出量比率」などを調べ、状況の確認を行うことにした。

主要国の排出量と世界全体比


データの抽出元は国際エネルギー機関(The International Energy Agency (IEA))のサイトにある【IEA - Free publications(資料集一覧ページ)】中の「CO2 Emissions from Fuel Combustion - Highlights-」。こちらは逐次最新版が更新・公開されており、現時点では2017年発行分を取得することができる。ここから各種データ(2015年時点でのデータが最新の数字)を取り込み、グラフ化を行う。なお今件値は資料名からも分かる通り、燃料消費行動に伴う排出量であり、人間などの生命体の生体活動に伴い排出される量は勘案されていない。

まずは世界全体の二酸化炭素排出量における、各国の比率。これまで掲載してきた最新のデータ、2014年分では中国・アメリカ合衆国の順だったが、2015年分でもそれに変わりはない。


↑ 世界の二酸化炭素排出量比率(2015年時点、IEA調べ)


↑ 世界の二酸化炭素排出量(億トン)(2011-2015年時点、IEA調べ)(直近年上位国のみ)

注目すべき動きとしては、上位国、特に新興国で増加を示していること。2015年はといえば、2007年から始まる金融危機、そしてリーマンショックを経て、欧州債務危機では最大の山場を越え、世界の経済が回復の動きを確かなものとしている年。消費・生産が活発となり、当然排出量も増加する。

中でも中国の増加ぶりが目に留まる。直近では中国だけで世界の3割近い二酸化炭素を排出している計算になる。また絶対量は中国と比べれば少ないものの、インドも伸び方が著しい。他方アメリカ合衆国では経済復調の中でも伸び率は穏やかで、炭酸ガス排出対策が進んでいることがうかがえる。ドイツやロシアではむしろ減少の動きすら見られる。

日本ではグラフの対象期間内では一時期増加の動きにあったが、これは単なる経済復興だけでなく、震災起因による発電様式の変更を余儀なくされたことによるのも小さくない。ただし2014年以降は減少に転じており、他国同様効率化が進んでいる動きが見受けられる。

複数の切り口で動向を確認


主な上位国について、前世紀末の2000年以降の、各年における全体比の動向を示したのが次のグラフ。中国、アメリカ合衆国など上位国の相対的な位置関係の変化が見て取れる。


↑ 世界の二酸化炭素排出量比率(2000-2015年時点、IEA調べ)(赤囲みは日本)

上位2国(中国・アメリカ合衆国)による全体比は上昇する一方、2006年に米中間で順位が入れ替わり、その後も両国の差異は広がるばかりとなっている。また2009年以降は第3位の位置にあるインドもシェアを拡大する一方で、直近2015年では上位3か国で全体の50.0%にまで達している。

最後に示すのは、排出量を単純に各国人口で除算して、一人当たりの排出量を算出したグラフ。


↑ 一人当たりの二酸化炭素排出量(2011-2015年時点、排出量上位国、IEA調べ)(トン/年)

各国の国内事情、都市集中の度合い、工業化・公害対策技術の違いなど多種多様な要因があり、単純に「一人当たりの量」だけで各国の二酸化炭素排出量について判断することは難しい。例えばこのグラフでは、中国の値はアメリカ合衆国の約4割でしかないが、上のグラフにあるように「国単位での総量」では中国ははるかにアメリカ合衆国を上回る値を占めている。国単位で「中国」の二酸化炭素排出量が世界最大である事実に違いはなく、たとえ一人頭の排出量が他国より少なくとも、「国単位として」科せられた責任は大きい。そもそも「国」とはその領域内におけるさまざまな要素の集合体であり、内包するものを統括する存在なのだから。



やや余談となるが、日本の一人当たりの排出量が少なめなのが目に留まる。電力消費総量でも同じ傾向が確認できるが(【日本の一次エネルギー供給の動きをグラフ化してみる】)、いずれも相当な省エネ化・効率化が進んでいる証といえよう。