掲載されなかった短編から、連載へ。身体障害者といじめをテーマにするのは、難しい。

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今週の週刊少年マガジンで、大今良時の『聲の形』が最終回を迎えました。
同時にアニメ化が決定しました。

小学生の頃、石田将也がいじめていたのは、聴覚障害を持っていた少女・西宮硝子。
ところがある日を境に立場は一転。石田がいじめられる立場になり、友達はみんな離れていく。
高校生になった石田。硝子会って、死ぬための罪を罰を得ようと、彼女の元へ向かう。
硝子と石田。小学校の頃のみんな。硝子の家族。みんなを巻き込んで、拭い去れない過去と戦う。

一巻では、石田が補聴器をぶっ壊したり、耳を引っ張ったり、クラスのクスクス笑いを誘うようなモノマネをしたり。いじめの限りを尽くします。
だから不安でした。二巻以降「罪を贖いますよ、いい話にしますよ」ではおかしい。
そんなに簡単に、心の傷を負わせた罪って贖えないでしょう?

2巻以降、いじめたいじめられた、という話にはなりませんでした。
石田だけじゃなくて、みんなが他人との距離をつかめず、苦悶し続けます。
特に5巻。結局石田は自分を許すことができなかった。

巻を重ねるごとに、一歩進んで二歩下がる。葛藤はそうそうなくならない。

大今「いじめについても、もちろん悪口を言う側やいじめを肯定するようなストーリーにはしませんが、それぞれの行動にはそれぞれの理由がある。単純な善悪の対立ではなく、その人たちの内面や葛藤を描いていきたいです」
「クロノ・トリガー」のマンガを描いていました「週刊少年マガジン」で新連載『聲の形』大今良時に聞く2 - エキレビ!

大今「最初は、「嫌いあっている者同士の繋がり」を描こうとしていただけなんです。そのふたりの間を思い浮かべると、たまたまいじめが挟まっていた。だから描いた。いじめを「売り」にしようとしていたわけではありません。描きたかったものを描くためには、いじめという行動が、発言が、その時の気持ちが、必要だったんです」
和解だけが救いの形ではない──『聲の形』作者・大今良時氏の目指すもの / 大今良時×荻上チキ | SYNODOS -シノドス-

最終回でもこの姿勢は保たれています。
決して、すべてがハッピーエンドになることはない。
いいラストですよ。

今週のマガジンにもインタビューが載っています。

(大今先生が一番好きなのは誰ですか?という質問に対して)
大今「うーん……みんな嫌いです」「だって、私は作者だから。神だから。彼らをどうとでも出来てしまうので、「誰を好き」みたいなことは考えられないんです。どのキャラクターも「自分の分身」だと思って丁寧に書きましたが、だからこそ、私の主観がどのキャラにも入ってしまうので。それは、なんだか気持ち悪い感覚でした」
(週刊少年マガジン 2014年51号より)

メインキャラすべてが描かれた最終回。
みんなお互いが苦手で、お互いが気になって。
作者自身の「長くても10巻程度にまとめたい、というのが連載開始前からの希望でした」という言葉のとおり。余計なシーンがなく、きっちりまとまったマンガとして完結しています。

アニメ化に対して、ネットではすごい反響が起きています。
「楽しみ!」「嬉しい!」などなど。
同時に「やめてほしい」という声も多い。賛否両論です。

ぼくは正直なところ「マンガだからよいのであって、アニメ化は不安」。
あるいは「アニメ化じゃなくて実写の方がいいんじゃないか」。
生々しい少年少女の、葛藤が詰まっている作品。心の内はマンガだから描ける部分大きいです。
動くのはとても見たい。特に手話。

手のひら返ししたくなるほどのアニメになることを、期待しています。
最終巻7巻は、12月17日発売です。

(たまごまご)