新潟大学病院元管理栄養士で料理研究家・林康子氏も、動物性タンパク質摂取の重要性をこう語る。
 「健康な体は、野菜を中心にした食生活で、できるだけお肉を控え、カロリーを抑える…。多くの方がそのような“健康長寿=粗食”を思い浮かべるでしょう。ところが近年、こういった食生活は健康長寿とは程遠くなると説く研究者が多くなっています。特にタンパク源の一つ、肉には、植物性タンパク質では補えない栄養素や生理活性物質が含まれています。ある長寿社会の研究者は、“元気で長生き”のカギは肉の存在があるからだと言っています。確かに肉に含まれる鉄分は、体内で最も利用されやすいもの。また、最も多く含まれるセロトニンも脳内の神経伝達物質で、うつやボケの予防にもつながるともいわれていますからね」

 加えて林氏は、今回取り上げた寒い季節の脳卒中、動脈硬化などの防止についても以下のように説明する。
 「お肉を食べると体に必要なアミノ酸が補われ、血管が丈夫になり、脳卒中や心臓病、高血圧など発症のリスクが低下することが認められています」

 また、成人病に詳しい医療ジャーナリストは次のように語った。
 「アメリカの医療機関が行った大規模臨床試験の結果などからも、『タンパク質が不足すると脳卒中のリスクが増える』ことが確立されたとしている。今年6月の『Neurology』誌でも、食事のタンパク質の摂取量と脳卒中のリスクとの関連ついての文献を掲載し、タンパク質は血管の“材料”で、不足すれば血管が損傷しやすくなり、脳卒中の要因になるとしている。今回の文献は、精度の高い疫学データ7種類をまとめて解析し検証したものです」

 日本にも同じような文献がある。それによると、40〜60歳の男女477人を14年間にわたって経過観察したところ、「動物性タンパク質の摂取量が多いほど脳内出血の発症リスクが低下する」傾向が認められたという。
 専門家によると、現在、日本で推奨されているタンパク質の摂取量は、「男性で1日50グラム、女性で同40グラムを下回らない」ことが基準になっているという。

 もちろん前述したように、“タンパク質の摂り過ぎ”もダメ。健康リスクを高めてしまうからだ。また肉そのものも、牛、豚、鶏など、偏りなく選びたい。
 「もともと動物性タンパク質不足で短命だった日本人が、肉や魚、野菜、米を摂るようになって長寿になった背景を考えても、肉は食べた方がいいと思います。目安は、赤身肉や加工肉で1日当たり80グラムほどで十分だと思います。といっても、肉だけを食べるのではなく、野菜、魚、穀類などをバランスよく食べることが前提です」(前出・林氏)

 食生活の見直しを含め“元気で長生き”のためには、自己管理に優るものはない。