攻撃陣の主軸としてチャンスメイクからフィニッシュまで多彩なプレーを見せた。ゴールはなかったものの、確かな存在感を示した。(C) SOCCER DIGEST

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 1得点・2アシストを決めたホンジュラス戦に比べれば、1アシストに終わったオーストラリア戦での活躍は地味だった。それでも、ミックズゾーンで足を止めた本田はどこかすっきりしていた。
 
「勝利を求めて、それが結果として出て良かった。(テストではなく勝つという)監督の要求を有言実行できた意味でもね」
 あえて周りを刺激していたブラジル・ワールドカップ前の刺々しさは、まるでない。
 
 それどころか、アジアカップで戦うかもしれないオーストラリアを、冷静に分析するその語り口には精神的な余裕さえ窺えた。
「(前半は)オーストラリアが上手くやっていた印象がありましたね。アグレッシブで、スピーディーな形から(チャンスを)作って。簡単なミスも少なくてね」
 おそらく、テストマッチと位置づけているからこそ生まれた余裕なのだろう。
 
「練習試合はできるだけ本番を想定して臨めればいいですけど、それでも本番とは程遠いものがある。前線の選手は練習試合だと点を取りたいオーラをすごく漂わせます。自分のアピールの場で、生き残るためのね」
 だから、本田もパスを出すべきところで強引に仕掛けたり、あえて遠い位置から狙っていた。明らかに、意図的に。
 
「出すべきコンビネーションを出し損ねているケースというのも、やっていて感じています。わざと消している部分ももちろんありますから」
 今回の連戦でのプレーがミランのそれに比べて重量感もスピーディーさも足りなく映ったのは、偶然ではないだろう。あえてギアを落としていたに違いない。
 
「それでも勝てたのがひとつの収穫なのかなと思います」
 アギーレ体制下で戦った6試合は、あくまで準備期間。
「本番はそうはいかない。(ゴールを)取る選手が取る」
 来年1月のアジアカップ、戦闘モードの“リアル・ホンダ”がオーストラリアの地でベールを脱ぐことになる。

取材・文:白鳥和洋(週刊サッカーダイジェスト)