相手の圧力に手を焼き、とくに前半の本田はパスミスが目立った。中盤のフィルターも効かず、そのため4-3-3は十分に機能せず。 (C) SOCCER DIGEST

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 年内最後のゲーム、アジアの強敵オーストラリアとの一戦で、アギーレ監督はふたつのシステムを使い分けた。前半35分ほどを4-3-3で、残りは4-2-3-1で。前者はアギーレ式、後者はザック式といってもいい。
 そして結果が出たのは、皮肉にもザック式だった。
 
 前半の日本は、まったく主導権をつかめなかった。これで明らかになったのは、4日前の6ゴールはホンジュラスが弱かったから決まったということ。骨のあるオーストラリアが相手では、4-3-3はまだ十分に機能しない。
 
 4-3-3はなぜ、機能しなかったのか。
 ポイントは中盤にある。中盤は3人と枚数が少ない上、2人が香川、遠藤と守備に強い選手ではないからだ。そのため日本はオーストラリアの縦へのパスを食い止められず、ラインを下げていくことになった。
 
 頼みの本田も精彩を欠いた。
 ホンジュラス戦の本田は、敵を背負いながら鋭く反転、そのまま敵陣に斬り込んでいく豪快なプレーを何度も見せた。本田の突破から、チーム全体が勢いを得た。
 だが、この日は沈黙した。やはりホンジュラスとオーストラリアでは、圧力や厳しさが違うのだ。縦に抜けないため、中央に入っていくプレーが何度か見られた。
 
 中盤3枚の守りが機能せず、縦への突破もない。こうなると4-3-3は生きない。アギーレ式はまだ、強敵との対戦で確実に効く処方箋にはなっていないということだ。
 
 アジアカップで4-3-3が機能しない場合、アギーレはどうするのか。ふたつの選択肢が、彼にはある。
 選手を代えて4-3-3を続けるのがひとつ。もうひとつは、勝手知ったる4-2-3-1に代えるということ。
 
 アジアカップでは、そうそうギャンブルはできない。と考えると、現実味があるのは後者だろう。
 後半は今野の投入に加えてオーストラリアの動きが鈍ったこともあり、4-2-3-1が機能した。敵を押し込んだ状態では、乾や香川の俊敏な横や斜めへの動き、カットインが生きてくる。
 縦への勝負となった前半はまったくいいところがなかったが、後半は横への動きを多用した日本がオーストラリアを翻弄することになった。
 
 未完成の4-3-3と慣れ親しんだ4-2-3-1、このふたつのシステムを携えて日本はアジアカップに旅立つ。
 連覇への道のりは険しい。選手層は薄く、4-2-3-1も保険と言えるほど安定していないからだ。
 
 現実主義者のアギーレは、よく「それがサッカーというものだ」という言葉を口にする。勝つためには形にはこだわらない。それはこの監督のいいところだ。だが結果に執着すると、針は4-2-3-1に振れるかもしれない。
 日本が強くなるには、都合のいい「自分たちのサッカー」を捨てるしかない。そう考えるわたしにとっては、少し気がかりなことだ。
 
取材・文:熊崎敬

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