厚生労働省「平成25年人口動態調査」によると、昨年1年間で脳梗塞と急性心筋梗塞で亡くなった人は全国で10万9923人、1日当たり300人以上になる計算だ。それを月別推移で見ると、11月以降、寒さが厳しくなると死亡者が急激に増える傾向にある。

 一般的に脳卒中は、血液中にできた血栓(血の塊)が動脈に詰まり、酸欠のために脳組織が壊死、またはそれに近い状態になって発症する病気だ。
 脳の場合、動脈が90%以上詰まると脳梗塞などを発症するが、自覚症状がないため厄介な病とされる。
 「障害が起きた場所によって意識が無くなったり手足が麻痺する発作が起きます。たとえ命が助かっても、運動障害や言語障害などの後遺症が出る場合があります」(医療ライター)

 一方の心臓病は、血管が70%以上詰まると発症するが、こちらも寸前まで自覚症状がほとんどないため、「健康な人が突然倒れた」と、急な異変に関係者は慌てふためく。最悪の場合、予期しない“突然死”に至るケースが少なくないのだ。
 これは疾患の特徴ともいえる現象だが、心筋梗塞以外でも狭心症、不整脈、心筋疾患、心不全など、突然死は心臓病によるものが8割近くに達しているというから油断できない。
 「こうした脳疾患の病気や心臓病は、いずれも気温差が大きくなる11月を境に増えます。専門家の間では寒さが直接の原因かどうか意見が分かれますが、大きな要因として挙げられるのは確かです」(同)

 東京都立多摩総合医療センター・循環器科担当医もこんな指摘をする。
 「やはり“寒さ”と“早朝”は、狭心症などの心臓に悪い。これは寒冷の刺激によって皮膚血管が収縮して抵抗が増し、血圧が上昇するため、心臓に負担が増すことが一つの原因。また、体が冷えると血管を詰まらせる血栓ができやすくなります。もともと血栓は体の防御反応と関係があり、血液中には止血のための血液を固まらせる血小板が含まれていて、この血小板がストレスを活性化させる。つまり、寒さはストレスの要因の一つになるということです。最近の研究では、赤血球も寒さによるストレスで変形して大きくなり、血液が固まる原因になることもわかってきました」

 では、寒さに負けず病気を防ぐには、どんな点に心掛ければいいのか。
 女子栄養大短期大学部の松田早苗准教授は、こう語る。
 「体の冷えが続くと免疫力がなくなり病気になりやすく、内臓の働きも悪くなります。これを改善するには、体内で熱を作らなければなりません。それには、食事や筋肉量が大きくものをいうため、バランスの取れた食事をしっかりと食べなければいけません。

 これからは体を温める食品が出回る季節ですが、それだけに頼るのはNG。まず、ご飯などの主食、メーンのおかずとなる主菜、小鉢など副菜2種類が揃う定食形式の食事を一日3食、しっかりと摂ることが大事です。副菜の一つは、具だくさんの汁ものでもいい。多品目を摂るように心掛けたいですね」
 また、他の管理栄養士によると、食事をすると体内に熱が生まれ、その熱量は何を食べたかで異なるという。中でも体温を保つための熱を多く生み出す「タンパク質」は最も重要。つまり、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などを積極的に摂ることが大事というわけだ。