By Lei Gao

言語を勉強することで「脳力」が鍛えられ、認知症防止にもつながるという研究結果が発表されていますが、母国語以外の言語を学習することは、年齢に関係なく物理的に脳の構造に変化を与えて、脳の機能を向上させることが新たにペンシルベニア州立大学の研究によって明らかになりました。

Learning languages is a workout for brains, both young and old | Penn State University

http://news.psu.edu/story/334349/2014/11/12/research/learning-languages-workout-brains-both-young-and-old



ペンシルベニア州立大学の心理学言語学・情報科学・テクノロジー学部のピン・リー教授の研究によると、母国語以外の言語学習が、学習者の脳内ネットワークを構造的・機能的に強化させることが判明しました。リー教授は「第二言語の学習は脳の特定エリアを使用するため、脳を強化させたり、成長させたりする『脳の体操』のような効果があるのです」と話しています。

リー教授の研究チームは、英語を母国語とする39人のイングリッシュスピーカーを集めて、半数の参加者に6週間にわたって中国語のボキャブラリー学習を行わせるという脳の研究を実施しました。新しい語彙を学習したチームは、学習を行わなかったチームに比べて学習した語彙を覚えるまでの目的達成率が高くなっており、脳内ネットワークが強化されていることが判明。「新しい言語を学習する」というタスクが、脳の柔軟性と効率性を上昇させるのに適した作業であるということが分かりました。

また、学習開始前と開始後に参加者たちの脳をMRIでスキャンしたところ、脳内ネットワークをつなぐ神経が学習前に比べて物理的に発達していたとのこと。また、この効果は学習者の年齢に関係なく得ることができることも分かっています。リー教授は「最も興味深い発見は、従来の研究に反して脳は我々が考えていたよりも柔軟だったことです。また、新言語の学習が人々に『美しい老化』をもたらすかもしれません」と話しています。



なお、研究チームはより効率的に脳内ネットワークを強化できる方法を模索しており、バーチャル3D環境を用いた対話型言語学習システムの開発を開始しているとのこと。この研究はアメリカ国立科学財団(NSF)の支援を受けており、言語学習プロセスによる脳の機能強化に関する研究が進むことで、将来的には、大人であっても、言語を習得しやすいと言われている子どものように簡単に言語を習得できるようになるということです。