オーストラリアは最後のテストには格好の相手。日本は未来ではなく、アジアカップという本番を見据えた確認作業を行なうべきだ。 (C) SOCCER DIGEST

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 ホンジュラス戦には、長谷部誠と乾貴士が所属するアイントラハト・フランクフルトのトーマス・シャーフ監督が視察に訪れた。
 しかし前半を終えたところで本音が漏れたという。
「相手が酷すぎて参考にならない」
 
 ハビエル・アギーレ監督は、アジアカップへの最終確認として内田篤人、遠藤保仁、長谷部をピッチに送り出した。前体制と比べれば、長谷部はアンカーとして役割が広がり、遠藤は1列上がってやや守備の負担が軽減された。その結果、アギーレ就任後の過去4戦に比べれば、明らかに熟達した試合運びができた。そういう意味で、指揮官にとっては計算通りだったはずだ。
 
 だがホンジュラス戦は、シャーフ監督が嘆いたように、守備に関しては何も試されていない。また守備に負荷がかからなければ、表裏の関係にある攻撃も手放しでは評価できない。つまりアジアカップ本番を見据えれば、同地域のライバルとして真剣勝負が見込まれるオーストラリア戦は、もう一度軸を変えずに実験を進めておきたい試合になる。もしアギーレ監督が前月をなぞるなら、ブラジル戦同様に代表経験が少ない選手たちを一斉に送り出すことになるが、それでは最終テストの意味を成さない。
 
 オーストラリアは、日本とは正反対のベクトルで試合を進めてくる。ボール支配率を上げ、相手を動かし隙を作り勝算を高めていこうとする日本に対し、オーストラリアは直線的に結果を追求する。つまり日本よりは両ゴール前に力点を置き、攻守のメリハリをつけてくる。そしてアジア内では、堅陣を築き、少ないカウンターでDFと同数に近い勝負に持ち込むか、空中戦に持ち込む方法を、日本が嫌がることも知れ渡っている。その点で中東勢と比べても、日本とは対極の特徴がデフォルメされているオーストラリアは、本番前の最後のテストには格好の相手だ。
 
 アギーレ体制でも軸は固まり、結果的にメンバーはほぼ前体制から継続されている。まず最優先で確認したいのは、日本の嫌がる戦い方を徹底してくる相手への対処方法と実効性。次に状況を変えたい時の有効なオプションだ。必然的に、想定される主軸とは別の特徴を持つタイプが優先的に試されるべきだが、一方で唯一左利きのSB太田宏介にしても、塩谷司にしても中心メンバーとの連携でどう活かせるかを見極める必要がある。
 
 現実的に本番で戦えるメンバーを絞り込むためにも、もう未来を見据えた実験を加える余裕はない。
 
文:加部 究(スポーツライター)