2014パシフィックアジアカーリング選手権(以下、PACC)が、11月8日から(15日まで)長野県の軽井沢アイスパークで開催された。

 女子は、中国、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの5チームが出場。各国2回戦総当りの予選リーグを消化したあと、上位4チームによる決勝トーナメント(準決勝では1位と4位、2位と3位が対戦)で頂点が争われた。

 日本は、2014年ソチ五輪(5位)でも奮闘し、今春には元チーム青森の近江谷杏菜に、札幌国際大を卒業した吉村紗也香が新たに加わった北海道銀行フォルティウスが代表として参戦。ソチ五輪当時からさらにチーム力が増して、優勝争いも期待された。が、世界ランキング(日本=10位)で勝る中国(5位)、韓国(9位)の壁を打ち破ることができず、3位に終わった(優勝は中国、2位が韓国)。

 9月に行なわれたPACC日本代表決定戦を制した北海道銀行は、その直後におよそ1カ月におよぶカナダ遠征を敢行。現地で開催されたワールドカーリングツアー(※)の4大会に出場した。そのうち、バーノン、カムループスで行なわれた大会で優勝。一時、ワールドカーリングツアーの賞金ランキングでトップ4入りし、日本女子チームとしては過去最高とも言える快進撃を見せた。

※毎年9月から翌年の4月にかけて、北米や欧州の各都市で行なわれるシリーズ戦。2014−2015年シーズンは、33週で50を超える大会が各地で開催される。すべての大会に賞金が設定され、出場に際しては厳正な審査がある。そのため、参加できるのは、おおよそ世界トップクラスのチームに限られる。

 その遠征で得た自信から、北海道銀行のスキップ・小笠原歩は、PACCの大会前に、「ここ(PACC)で優勝して、平昌五輪(2018年)への第一歩としたい」と力強くコメント。中国(2006年大会から8連覇)からの王座奪還にも意欲を見せた。

 しかし、北海道銀行は予選リーグから思いどおりの戦いができずに苦しんだ。時間の経過とともに、大きく変化するアイスの状態に対応できなかったのだ。

 同じゲームでも、序盤に決まっていたドロー(※)が、アイスが溶け始める中盤から後半にかけて決まらなくなった。とりわけ、勝負の行方を左右する、大事なエンドでのキーショットでミスが目立った。結局、予選リーグにおけるライバル2チームとの対戦では、中国には1勝1敗(4−7、7−4)だったものの、韓国には連敗(4−6、4−7)を喫した。

※ハウス内など、狙った場所にストーンを止める、比較的スピードを抑えたショットの総称。一方、ストーンを狙って弾くショットの総称を「テイク」と呼ぶ。

 そんな予選リーグの結果を受けて、小笠原は肩を落とした。

「(予選リーグでは)恥ずかしいゲームが多かった。『日本代表』というプライドを、全員がもっと強く持たなくては......」

 オーストラリア(10−7、9−3)、ニュージーランド(8−6、7−4)には連勝し、予選リーグ3位で決勝トーナメントには駒を進めたが、そこでもチームの出来がよくなることはなかった。予選リーグ2位の中国と対戦した準決勝(予選リーグの結果を含めた3勝先取制)で、6−7、7−8と連敗。目標とする優勝どころか、決勝進出さえ果たせなかった。

「(準決勝の中国戦は)チャンスはあったけど、決めるべきところを決め切れないで、(悪いリズムのまま)ズルズルといって敗れてしまった」

 不満の色を隠さずに、そう語った小笠原。3位決定戦ではニュージーランドを下して(8−4)銅メダルを獲得したものの、その表情は最後まで冴えなかった。

 カナダ合宿での実績からして、「この結果は意外だった」と記者から水を向けられても、小笠原は「これが今の(チームの)実力です」と切り捨て、憮然としたままこう続けた。

「カナダでも、(ショットが)つながったゲームは何試合かだけだった。でもそれを、(新メンバーが加わった)『新チームだから』といって、言い訳にはしたくない。もう二度と、こんな(歯がゆい)戦いはしたくない。この悔しさを忘れずに、また向こう(カナダ)でみっちり鍛え直してきます」

 北海道銀行はこのあと、わずかな休息をとったのち、11月19日には日本から旅立って、再びカナダ遠征を実施するという。現地で合宿を張りながら、ワールドカーリングツアーにも復帰。最後は、12月のアメリカ・ミネソタ州ミネアポリスの大会に出場して帰国する予定だ。

 PACCの結果を踏まえて、さらなる強化の必要性を感じていた小笠原。今度のカナダ遠征では何を求めていくのだろうか。

「とにかく、チームとしての安定感がほしい。ゲームを通してはもちろんのこと、大会を通しての安定感も。個々の課題は言わなくてもみんなわかっていると思うけど、ソウトウェイトのショット、フリーズやカマー(※)をしっかりと決められるようにならないといけない」

※フリーズ=ハウス内のストーンの脇にくっつけるように止めるドローショット。カマー=ストーンの後ろに回り込むように置くドロー系のショット「カム・アラウンド」の略称。

 チームの他の面々も、PACCで低調だったパフォーマンスを反省し、海外遠征でのレベルアップをそれぞれ誓った。

「個々のショットをしっかり決めることが前提。そのうえで、(チーム内で)コミュニケーションを図りながら、(狙いどおりに)ストーンを運べるようにしたい」(リード・近江谷)

「ショットにばらつきがあるので、そこの安定と、ウェイトジャッジ(投げられたストーンのスピードの判断)をより意識して、その精度を高めたい」(セカンド・小野寺佳歩)

「(PACCでは)課題がたくさん見つかった。特にドロー。それが決まらないと点にならないので、しっかりと集中して(ストーンを)投げられるようにしたい」(サード・吉村)

 この先、北海道銀行が見据えるのは、年が明けて2月に行なわれる日本選手権(北海道・北見)。そこで日本の頂点に立って、3月に地元・北海道(札幌)で開催される世界選手権の出場権を得ることだ。PACCでは、世界レベルではまだ実力不足であることを痛感させられたが、一層の強化を図ったあと、再び挑む国際舞台で、改めて世界における今の自分たちの立ち位置を確かめたいところ。それが、2018年の平昌五輪での飛躍につながっていくはずである。

 小笠原は言う。

「国内では、もう負けたくないです。ずっと勝ち続けて、常に日本代表として、世界選手権などの国際舞台で戦い続けたい。そういう経験を若いメンバーに積ませてあげたい。それが、いちばんの強化だと思っています。私自身、五輪には3回出ましたけど、(経験が)足りているとは思っていませんから。それに、平昌五輪までまだ4年ありますけど、正直、もう3シーズンしかないという気持ちのほうが強い」

 新生・北海道銀行の挑戦は始まったばかりだが、明確な目標に向かって、すでに全力でまい進している。すべては、2018年平昌五輪でメダルを獲得するため、である。

竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro