「インサイドハーフの香川」は、まだまだ発展途上。本田との「縦ライン」がポイントとなりそうだ。 (C) SOCCER DIGEST

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 自軍のスペースを埋め、味方のカバーリングにも走るインサイドハーフのポジションは、トップ下に比べると守備のタスクが格段に増える。左のインサイドハーフで先発した香川真司は、低い位置でのプレーを強いられた。
 
 それでも、自らの足でゴールを奪おうと必死にアップダウンを繰り返した。カウンターでは2列目から飛び出し、ペナルティーエリア付近まで顔を出す。
「後ろでさばいているだけの選手ではない」「前に行くプレーを失いたくない」との言葉通り、香川はフィニシュワークに絡もうと積極的に走り続けた。
 
 しかしながら、持ち味を発揮できたとは言い難い。岡崎、本田、武藤が並ぶ前線には走り込むスペースが限られ、得意のフリーランも限定的に。香川がエリア内に到着する前に、フィニィッシュワークを終えているケースが少なくなかった。
 
 ならばと、サイドチェンジやスルーパスで決定機を作り出そうとしたが、香川の個性はやはりファイナルサードでこそ輝く。パスの出し手としては機能しても、ポジションに制約されて、受け手としては物足りなさが残った。
 
 そんな課題を克服する手立てになりそうなのが、本田との縦のラインだ。試合中、右インサイドハーフの遠藤と何度かポジションチェンジをしたことで、右FWの本田との距離が縮まり、相乗効果が生まれたのだ。
 
 キープ力のある本田がボールを持つことで前線にタメが生まれ、香川が走り込む時間と余裕が生まれる。本田が中央に絞れば、香川が外側から追い抜く。その逆もまたしかり。パスの出し手にも受け手にもなれる本田から、香川がリターンパスを受けることでチャンスを作り出した。
 
 象徴的だったのが42分のプレーだ。ドリブルで中に切れ込んだ本田の右側を追い越した香川が、本田からパスを受け、エリア内に進入してシュート。左足のフィニッシュはわずかに枠外へ逸れたが、2人の連係から決定的なチャンスが生まれた。
 
 香川にとって、本田との「縦ライン」が生命線になりそうだ。
 
取材・文:田嶋康輔

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