アギーレ監督からは「中盤に自信を与え、テンポのある攻撃を演出した」と評価された遠藤。新体制でも好守両面で重要な役割を担うことになりそうだ。 (C) SOCCER DIGEST

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 さすがの存在感と言っていいだろう。
 
 ブラジル・ワールドカップ後は代表から遠ざかっていた遠藤は、アギーレ体制下で初招集されるとすぐさま先発出場を果たし、鮮やかなミドルシュートを叩き込んだ。
 
 今年6月のコスタリカ戦以来となるゴールにも、当の本人は「フリーだったので、とりあえず枠に飛ばそうと思った」と冷静に振り返る。
 
 この日は、これまでの定位置だったボランチから一列前に上がり、インサイドハーフで並んだ香川と互いのポジションを見ながら臨機応変にプレー。ソツなく長短のパスをさばきつつ、攻守両面で与えられた役割をこなした。
 
「(香川)真司は自由に動いてやるタイプなので、どっちがどっちというわけじゃなく、スタートポジションだけ決めていただけで、あとは自由にやった。まだまだの部分も多いけど、初めて並んでやった割にはスムーズにできたかなと」
 
 戦前には「4-3-3でやるのは久しぶりだし、うまくいかないところも出てくると思う」と語っていたが、武藤以外の先発メンバーとはザッケローニ体制で組んでおり、いわば旧知の仲。特長を理解していている分、すんなりと試合に入れたのも大きかった。
 
 正確なキックと的確な判断も健在で、先制点の場面ではニアサイドの岡崎にピンポイントで合わせ、逸らせたボールを最終的に吉田が流し込んだ。また4点目の場面では、素早く縦パスを本田に通して起点となった。
 
 相手との実力差を差し引いても、3点に絡む活躍は評価できるものだ。試合後のアギーレ監督は「今、日本のベストの23人を探している最中だが、年齢はそれほど気にしていない。質が高くて、日本代表としてプレーするという意欲を持った選手を探している」というコメントは、まるで遠藤へのメッセージのようだった。
 
 日本代表の歴代最多出場を147試合に伸ばした男が見据えるのは、来年1月のアジアカップ。遠藤自身は手応えを口にするどころか、むしろ危機感を募らせている。
 
「まだ1試合しかやっていないし、僕はアピールする立場。自分の持っているものを全て出さない限り、メンバーには残り続けられないと思う。毎日、いろいろなものを吸収しながら、監督の要求にしっかり応えていきたい」
 
 これまで歴代代表監督の要求にきっちり応えてきたように、“遠藤流処世術”を駆使してアギーレ体制でも着実に地歩を固めていきそうだ。

取材・文:大木 勇(週刊サッカーダイジェスト)