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このところ私のtwitterやFacebook上では就職活動の際に着る黒系のリクルートスーツが「画一的」であることが是か非かのような意見が目立つ。

「個性がない。画一的で気持ち悪い」という趣旨の意見。「就活は内定をとるための活動なのだから企業の求める服装で面接を受けるのは当然」といった意見もある。また「個性の強要で苦しむ若者たちをリクルートスーツが逆に救っている」という視点などもある。

○内定を得る「手法」としてのスーツ

私は普段はあまり自分が着るものにこだわりがないせいか、正直なところ「就活生が悩むほどのことだろうか?」と思ってしまう。というのは、普段は着るものにあまりこだわりがなくとも、その場の雰囲気に合わせた服装というのは大切である。だから、冠婚葬祭などでの服装には当然、気は遣う。冠婚葬祭の中でも特に「葬」は余程の事情がない限りは最も「保守的」であるべきだ。基本、常に「黒」である。

「婚」の場合は多少の自由が利く。披露宴だけでなく挙式から列席する場合や、来賓や上司という対場でご招待頂いた場合にもなるべく礼服を着る。一方、比較的「カジュアル」なレストランでのパーティー形式の披露宴や、古くからの友人知人のプライベートな祝宴などでは、平服(もちろん"普段着"という意味ではない)を着ることや、あえてマオカラーのスーツなどを着ることもある。ちょっとしたオシャレで多少の個性を出す。さらに砕けた雰囲気の「二次会」だけの場合は、場合にもよるが仕事場からそのまま駆けつけることもある。ジャケットくらいは着て行くことが多いが、「駆けつけること」が大切で、必ずしも特別な服装ではないこともある。

就活において、服装が原因で「内定が取れない」などということがあれば本末転倒である。「画一的なリクルートスーツ」を「ドレスコード」として暗黙のうちに定めて、「そうでない」服装の学生をそれだけの理由で「落とす」企業にはあまり感心しないが、そういう企業はしょせんそういう企業でもある。そういう企業にでもどうしても入りたいのであれば、求められている画一的なスーツで面接に臨んだ方がよい。その企業を批判することは簡単で自由だが、「内定を取ろう」と思うのであれば、スーツのカラーや形や着こなしで「個性」を表現しようと思ったり、あえて企業の意に沿わない服装で臨んだりしても意味がない。「心意気」や「個人的な事情」はともかく内定を得るための「手法」としては間違っている。

一方で、アパレル企業、エンタメ企業、クリエイティブ系の職種での採用の場合、話は違ってくる。カジュアルウェアのアパレル企業の面接で、黒や紺のリクルートスーツでないと「落とす」という企業はあまりないだろう。画一的なリクルートスーツは就活を行う上で「無難」ではあるが「万能」ではない。

そこは子どもでないのだから「うまく」立ち振る舞わねばならない。

○相手によってPRを使い分ける

金融系企業だけを受ける、商社だけを受けるというならばともかく、黒のスーツ一着で金融からアパレル、エンタメまで様々な全ての異なるタイプの企業の就活に対応できると思うのは少し考えが甘いのではないかと思う。

「信頼感」「協調性」「同調性」が重視される業種や社風の企業の「内定を取りたい」と思うのであれば、その企業に相応しい服装を選べばよい。面接時の服装自体が「個性」とみなされ、「そこ」(服装)が他の就活生との「差」を生み出す要素になると思うのであれば、存分に「そこ」で「個性」を発揮すればよい。何も考えずに「個性」を発揮すべきタイプの企業に、安易に黒のリクルートスーツを着ていけば、恐らくその企業は「そういう(あまり考えない)学生なのだな」と思って評価をするのだろう。

話を若干膨らます。これは面接などの広義の自己PR(自己表現)の場だけでなく、企業等の広報活動にも言える。ダメな広報では、各媒体事に適した対応をしない。例えば「プレスリリース」などの画一的な切り口の情報を、テレビ局、ラジオ局、ネットメディア、週刊誌、ファッション誌…などに送ったり、持ち込んだりする。テレビ局で報道してもらうには、それに適したストーリーの組み立て方がある。ファッション誌にはそれに適したストーリーの組み立て方がある。「就活力」というのは自分自身に対する「広報力」でもある。

<著者プロフィール>片岡英彦1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。(現 株式会社東京片岡英彦事務所 代表取締役)主に企業の戦略PR、マーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2011年から国際NGO「世界の医療団」の広報責任者を務める。2013年、一般社団法人日本アドボカシー協会を設立代表理事就任。