株高が促す企業再編。

親子上場会社に

村上ファンドの残像が…

株価上昇を受けて、親子上場解消が再び活発化しようとしている。親会社にグループ再編を実施する財務的な余裕が出てきたことに加え、このままでは子会社の株式が値上がりしすぎて、買い付けが難しくなってくるためだ。

株式市場関係者が注目するのは「アクティビスト・ファンド」。株主として経営に積極的に関与する、いわゆる「もの言う株主」のことである。

なかでもシンガポール籍の「エフィッシモ・キャピタルマネージメント」は、旧「村上ファンド」人脈に連なるとされる。現在、エフィッシモは日産車体、三井金属エンジニアリング、鳥居薬品の3銘柄において、大株主として株式の大量保有を届け出ている。

3銘柄はいずれも上場子会社という共通点がある。過去に土地含み益の厚さで知られた立飛企業(2012年にMBOで非上場化)など、エフィッシモの投資企業が次々と親子上場を解消したことから、今後、株式を取得した上場子会社に揺さぶりをかけてくるとみられる。PBR(株価純資産倍率)が1倍付近と資産価値に比べて割安な水準にある三井金属エンジニアリングの動向が特に注視されている。

上場子会社の問題を掘り下げると、大株主である親会社と少数株主の利益相反に行き着く。上場子会社が親会社への納品価格を不当に安くしたり、むやみに親会社の余剰資産を買い取ったりして親会社優先の経営方針をとると、個人投資家ら他の株主の利益を損なうためだ。親子上場は特に欧米の年金基金など海外機関投資家の評判が悪く、日本でも徐々に解消される流れにある。子会社を育てて上場させるのがグループ拡大の成功パターンだったのは、約20年前までの話。時に悪者扱いされてきた「モノを言うファンド」だが、今となっては株主主権の流れを先取りしていただけかもしれない。

(伊地知慶介)

この記事は「ネットマネー2014年12月号」に掲載されたものです。