日銀いわく「円安は神風」。
GDPを膨らませて
消費税再引き上げへ…

このままでは、日本経済はスタグフレーション(Stagf −lation)に突入する可能性が強まっている。
スタグフレーションとは停滞(Stagnation)とインフレーション(Inflation)との合成語だが、景気が停滞(悪化)している中で、インフレ率が上昇する経済を指す。
スタグフレーションは、生産コストの上昇が販売価格に転嫁されるコスト・プッシュ・インフレが原因。需要の増加以上に価格が上昇するため、取引量が減少し、インフレと経済の停滞(悪化)が共存する。
現在、原油価格に為替や運賃、保険料などを加味し、円建て原油価格を算出した「原油入着価格」は過去最高値圏で推移している。
この原油入着価格の高止まりと一時1米ドル=110円にも達した円安がコスト・プッシュ・インフレにつながっているのだ。
当初、円安は景気回復を呼び込むとみられていた。しかし、急激な円安によりどうなったか。ヽこ粟源困進んでいる日本の輸出企業にとって、輸出数量の増加に結びつかないことを露呈し、⇒入物価の上昇がコストアップにつながり、4覿伴益が増えても十分には賃金に反映されず、ぃ慣遒両暖饑芭┐琉き上げと相まって、結果的に実質所得の低下を引き起こした。
しかし、黒田日銀総裁は「円安は日本経済にとってマイナスではない」との強弁を繰り返す。今、日銀内部では急激な円安を「神風が吹いた」と表現しているらしい。
円安は米ドルで取引を円に換算する際にGDP(国内総生産)を膨らませる。実態ほど景気がよくなくても、円安になることでGDPがよくなる。7〜9月期のGDPの大幅回復は牘澎〞にかかっているのだ。
安倍政権は7〜9月期のGDPを見たうえで来年秋からの消費税率の引き上げを決める。もし、消費税率を10%に上げれば、円安によるコスト・プッシュ・インフレと相まって、消費は一段と冷え込むだろう。
ただ、日本は供給に対して需要が不足している。通常、インフレーションは需要に対して供給が不足している状況であり、また、スタグフレーションも同様の状況下で発生する。
したがって、需要が不足している現在の日本では、インフレによる需要の後退が進み、その結果として供給サイドが価格を低下せざるをえなくなり、再びデフレ状況になる可能性もあるのだ。
(宗像正伸)

この記事は「ネットマネー2014年12月号」に掲載されたものです。