右SBの一番手と目された内田を10月まで招集できなかったのは、アギーレ監督にとって誤算だったはずだ。 (C) SOCCER DIGEST

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 内田篤人と長友佑都が長らく不動の地位を築くなど無風状態に近かったアルベルト・ザッケローニ体制とは打って変わり、アギーレジャパンでは、今のところ左右のSBに絶対的な柱が見当たらない。新政権発足から3か月足らずで、こなした試合は4つしかないのだから、軸が定まらないのは当然との見方もあるだろう。
 
 なにより、9、10月は右SBの一番手と目された内田が未招集だったのだ。手元で見たい選手を全員呼べていないから、定めたいものも定まらないというのが、ハビエル・アギーレ監督の本音かもしれない。
 
 ただ、9、10月に招集された6人のSBがいずれも決め手に欠ける事実は、看過できないだろう。実績十分で現政権下でもコアメンバーのひとりと見られた長友は、直近のブラジル戦でスタメン落ち。左足のふくらはぎを傷めていたとも言われるが、いずれにしても、ジャマイカ戦での致命的なパスミスを境に足元が少しぐらついてきた印象もある。
 
 実際、長友が良い意味で存在感を示したのは、本田圭佑と香川真司が揃って左サイド寄りでプレーしたジャマイカ戦(10月10日)での30分間程度(59分から88分)。それ以外の時間帯、試合ではサポートに恵まれず、ドリブルでつっかけても敵の守備網に大抵引っかかっていた。突破に限らずクロスにもキレがなく、ここまでチャンスにほとんど絡めていない。
 
 チャンスに関与した数なら、長友に代わりブラジル戦(10月14日)で先発した太田宏介のほうが多い。左利きの強みを活かし、途中出場したジャマイカ戦でもゴールに結びつきそうなクロスを上げているが、一方で守備の連係はいまひとつだった。ブラジルに4失点した責任はポジショニングがやや曖昧だった彼にもあるはずで、その意味でレギュラーとしてはまだ力不足だろう。左SBの序列で言えば、長友よりも「少し下」という位置づけか。
 
■アギーレ体制下で招集されたSB

長友佑都(インテル/イタリア)
週刊SDの平均採点:5.50
3試合(269分)・0得点
 
太田宏介(FC東京)
週刊SDの平均採点:5.50
2試合(91分)・0得点
 
西 大伍(鹿島)
週刊SDの平均採点:-
0試合(0分)・0得点
 
酒井高徳(シュツットガルト/ドイツ)
週刊SDの平均採点:5.33
4試合(273分)・0得点
 
酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)
週刊SDの平均採点:5.00
1試合(87分)・0得点
 
松原 健(新潟)
週刊SDの平均採点:-
0試合(0分)・0得点
 
週刊サッカーダイジェストが考える
【日本代表】SBの最新序列

選手名
対応
ポジション
序列

長友佑都
左右
レギュラー候補

酒井高徳
左右
レギュラー候補

太田宏介

バックアップ

酒井宏樹

バックアップ

松原 健

構想外?

西 大伍

構想外?

 
  信頼に欠けるのは酒井高徳も同じだろう。スルーパスやクロスを積極的に出す攻撃面での働きが光る半面、守備の貢献は不十分だ。とりわけジャマイカ戦では、内に切り込まれてはいけない場面で比較的あっさりと中央のエリアに侵入されるなど、軽い対応が目に付いた。
 
 9月5日のウルグアイ戦で失点に絡んだ酒井宏樹、出番さえなかった西大伍と松原健がアギーレ監督の信頼を掴んでいない右SBは、9月9日のベネズエラ戦から3試合連続スタメンの酒井高をレギュラー候補としたが、いわば“消去法”でそうしたに過ぎない。
 
 このように、アギーレ監督の下では圧倒的なパフォーマンスを披露したSBがいないのだから、内田待望論が出るのは必然だろう。左右とも不動のレギュラーが不在という状況は、アジアカップに向けての不安要素と言わざるを得ない。
 
 アギーレ監督に求められているSBの役割を「正確にはまだ分からない」と太田が言うように、戦術面での約束事が浸透していない。そこから察するに今後の定位置争いでのポイントは、前任者のザッケローニが志向したポゼッションサッカーとは正反対と言える堅守速攻のスタイルに、誰がいち早くフィットできるか。もっとも、それはSBに限った話ではないのだが……。もはやテストとは言っていられない11月の2連戦(14日のホンジュラス戦、18日のオーストラリア戦)でのスタメン選びに、まずは注目したい。
【ウルグアイ戦】
 酒井宏は、敵のクロスをなぜかゴール前に跳ね返すクリアミスで2失点目(70分)の原因に。オーバーラップを仕掛けてもサポートに恵まれず、孤立無援に近かった長友のパフォーマンスも、褒められるレベルではなかった。
 
【ベネズエラ戦】
 主導権を握った後半に何度もオーバーラップを仕掛けた長友だが、結局はゴールを演出できず……。同じくサイドを駆け上がった酒井高も、肝心のクロスに精度を欠いて幾度となく観衆のタメ息を誘うなど、決め手を欠いた。
【ジャマイカ戦】
 攻撃面でいくつかゴールにつながりそうなパスやクロスを送った酒井高も、守備がやや不安定。ドリブルのコース取りに苦労していた印象の長友は、79分に痛恨のパスミスから大ピンチを招くなど、攻守両面で精彩を欠いた。
 
【ブラジル戦】
中盤の3枚が致命的なミスを連発して4失点したが、両SBは対人の局面に限ればまずまずの守備。アギーレ体制下で初先発の太田は左サイドからいくつかチャンスを作ってアピールし、代表定着への足がかりを掴んでいる。