『心の扉をたたく291の質問 THE BOOK OF QUESTIONS』グレゴリー ストック 実務教育出版

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 この世は答えのない問題で溢れています。

 仕事や人間関係、さらに外交や宗教間の争いなど、世界中には、永遠に打開策が見つからないのではないか......と思ってしまうような問題がたくさんあります。明確な答えが存在するのは学校のテストくらいのもので、そう考えると、世界は答えのない問題に支配されているといっても過言ではありません。

 1987年にアメリカで出版された『The Book of Questions』は、そんな"難しい質問"ばかりが記された一冊。質問の数は217、答えはどこにも載っていません。かなり変わったスタイルの本でしたが、その後、日本を含めた18の言語に翻訳され250万部を発行する大ヒット作となりました。

 そして昨年、本書の改訂版が米国で発刊。今年9月には日本でも『心の扉をたたく291の質問』とのタイトルで新版が発売されました。著者は旧版と同じく生物物理学者・著述家のグレゴリー・ストック氏。旧版の出版から26年が経過、日本語版では23年の月日が経っています。ストック氏は初版が出たときと今を比較し、"あれからなにもかもが変わりました。しかし一方では、なにも変わっていません"と本書の前書きで述べています。変わった、というのは政治経済の情勢が変わり、技術の進展で生活がより便利になった点。変わっていないのは、人々が当時も今も同じような悩みを抱えている、という点です。

 人生、愛、お金、セックス......時代が変わっても共通する、さまざまな問題に正面から向き合うのが本書の目的。よりその内容をイメージしていただくために、掲載されている質問の1つを引用したいと思います。

「両親から、おまえを愛しいと思ったことがない、好意さえもっていない、と言われました。どうやら本心のようです。このことはあなたの人生に影響を及ぼしますか? もし、両親が誰かにそう言ったのを偶然聞いてしまったとしたらどうでしょうか?」

 いかがでしょうか。こんなヘビーな質問が291も続きます。さらに、この質問には続きが......巻末に載っている、追加質問にはこう記されています。

「両親のことを嫌いだ、好きではないと誰かに言ったことがありますか?」

 このように本書には、答えるのをためらうような質問が並びます。また、どう答えていいのか、わからない質問も。

 ちなみに、本書の前書きにはこのような言葉が記されています。

"単に「はい」や「いいえ」で終わりにせず、自分の答えをよく考えて、説明を試みるといいでしょう。心の内をのぞき、正直に、勇気をもって、難しい選択に取り組んでみましょう。そうすることで、質問が興味深く実りの多い、ときには人生を変える議論や探求につながることもあるかもしれません"

 大事なことは、質問に対し、自分をさらけ出すこと。しっかり自分の考えを言語化し、説明すること。そうした思考実験の結果、質問がさらに深い意味を持ち得る、というのです。

 本書に刻まれた291の質問。この秋は、そんな"難問"にじっくり向かい合ってみてはいかがでしょうか。


【関連リンク】
http://jitsumu.hondana.jp/book/b181428.html