王者の苦しみ!羽生結弦氏の今季初戦は「最悪の一言」の出来により、ここからの上昇が確定的となった件。
王者はつらいよ!

本格的なシーズン開幕を迎えたフィギュアスケート。日本勢は男子シングルが黄金時代の突入しています。GPシリーズ開幕戦・スケートアメリカでは町田樹さんが優勝。つづく第2戦スケートカナダでも無良崇人さんが2度の4回転を成功させるなどして逆転優勝。高橋大輔さん・織田信成さんという名選手の引退をモノともしない好発進で、日本男子ここにありを見せつけています。

そんな中、第3戦・中国GPに登場してきたのが大エース・羽生結弦氏。

ところが、五輪金メダリストとして、自身も周囲も「当然」という位置づけで勝利を期待される戦いで、羽生氏は思わぬ出遅れを喫します。演技後半に4回転を盛り込み、ジャンプの入り・着氷に難しいつなぎを入れるなど点数アゲアゲ高難度のプログラムで挑んだSPでは、4回転の予定が3回転となる失敗ジャンプ、さらに必須要素のコンビネーションが抜ける大過失を犯し、よもやの2位発進となったのです。

本人はもちろん言い訳などしないわけですが、そこには昨季までとは大きく異なる自身の立場が影響しているように思われます。昨季までの「挑戦者」から「王者」へと立場を変えたこと。それは、ただ自分が勝てばいいというわけではない、王者としての意識・振る舞い・姿勢が求められる難しさがある戦いです。

王者は、ただ勝てばいいというわけではない。

未来を切り拓きながら、後に続く者を先へ先へと導かなければならない。

正直、ただ勝つだけなら昨季のプログラムをそのまま繰り返しても足りたはず。しかし、王者は停滞してはいけないのです。王者が一歩前へ進むことで、続く選手たちもより高みを目指していくことにつながる。競技が発展していく。SPの演技後半に盛り込む4回転、フリーでは3度の4回転を予定するなど、より高みを目指す演技構成も、進化を追い求めるからこそ。当然、失敗すればこうした出遅れも生まれるでしょう。

とは言え、それでも82.95点。演技構成点では全体トップを叩き出すなど、「これだけ失敗してもこんなに出る」という辺りはさすがの貫録。ほとんどの選手ならガッツポーズする高得点でも「最悪の一言」と評するだけの意識の高さも、心強い限りです。フリーで再びの連続大失敗でもない限り、逆転優勝は十分に可能でしょう。

GPシリーズ開幕前には出場予定の大会をキャンセルするなど、体調面が心配された羽生氏。休養をとろうにも、空き時間を埋め尽くすようにイベント出演やCM出演など、本業以外の仕事も数多く入っています。中国に入ってからも、ファンに取り囲まれたりと落ち着かない状況で、競技に集中するのは難しいかもしれません。

昨季までなら、そうした雑事の少なくない部分を浅田真央ちゃん(世界チャンピオン)、安藤美姫さん(世界チャンピオン)、高橋大輔さん(世界チャンピオン)、織田信成さん(テレビチャンピオン)が担ってくれていたわけですが、今季はまとめてドーンと羽生氏に乗っかってきています。負担がないと言えば嘘になるでしょう。

しかし、そういう雑事もすべて乗り越え、なお勝つというのが「王者」のあるべき姿。世界のトップに立ち、競技を牽引していくトップランナーは、いつだってそうやってきたのです。そんな苦労もまたやりがいのある挑戦だと思って、前向きに取り組んでもらいたいもの。誰しもが経験できることではないのですから。トップに立つ者だけの体験、楽しんでいきましょう。

ということで、羽生氏に襲い掛かる大量のプーさんに驚きつつ、五輪王者・世界王者の今季初戦について、7日のテレビ朝日中継による「GPシリーズ中国杯 男子SP」からチェックしていきましょう。


◆よかった!今日は「最悪」なんだから、もう上がるしかないんだな!


日本のダブルエースが出場することとなった中国GP。会場には日本語の広告が多数掲出され、日の丸がスタンド前方を埋め尽くすように掲げられています。日本のファンの熱意、半端ではありません。

女子SPでは日本女子のエース・村上佳菜子ちゃんが登場。今季はSPもフリーも「オペラ座の怪人」を演じるという面白い取り組み。SPで歌姫を演じ、フリーで怪人を演じるという一人二役。そう言えば羽生氏もフリーはオペラ座の怪人を予定していると言いますし、無良崇人さんもフリーでオペラ座の怪人を演じていました。突如として訪れた大オペラ座ブーム。NHK杯はオペラ座・オペラ座・オペラ座・オペラ座と、ちょっとした「オペラ座グランプリ」になりそうです。

↓どうでもいいけど、この煽りVTRいらんやろwww

この仮面外すのちょっと照れるわw

そして、鈴木・浅田・村上三姉妹とかやられると、また「やっぱりミキティはハブられてるんだね…」みたいな風評被害を巻き起こすので止めてください!

ミキティは子育てで忙しいのです!


↓そして何故か殿もオペラ座の怪人になるwww


テレビチャンピオンがノリノリwww

どっちかと言えば、「オペラ座の変人」とか「オペラ座の奇人」っぽいwww

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女子のエース・佳菜子ちゃんは冒頭の3回転・3回転を決めるも、演技後半のトリプルフリップでは少し跳ねて回転不足となるミスなどもあり、SPは3位発進となりました。トップに立ったのはロシアのリプニツカヤ。楳図かずお先生を意識したと思われる赤白ボーダーのカットソーで登場すると、大きな加点のつく3回転・3回転、ほぼ満点評価となる自慢のキャンドルスピンなどで70点に迫る高得点を獲得。2位に入ったトゥクタミシェワさんと合わせ、ロシア・ロシア・村上という3強体制で、フリーの戦いに臨みます。

↓リプ様の衣装、赤白のボーダーがとってもキュート!


このまんま原宿とか歩けそうな感じ!

ぐわし!ぐわし!

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つづく男子SPでは、世界王者・羽生氏に加え、日本から田中刑事さん、ロシアのマキシム・コフトゥンさん、地元中国のハンヤンさんらが登場。まず登場したシニア初出場の田中さんですが、冒頭に4回転サルコウを持ってくるも3回転になってしまうミス。さらにトリプルアクセルも抜けて1回転となり、コンビネーションも着地で乱れるなど3つのジャンプすべてで得点を失い、SP11位に。苦いシニアデビューとなりました。

有力選手が集った勝負の第2グループ。リンクサイドではプーさんやくまモンなど人気キャラクターも固唾をのんで勝負の行方を見守ります。さらに幕間のCMには熱狂的な羽生氏ファンとして知られるAKB48の渡辺麻友さんも登場。世界の視線が羽生氏に注がれます。

中継もライブ映像に切り替わる中、中国のハンヤンはジャンプに精彩を欠き79.21点。今大会、羽生氏の最大のライバルと目されるロシアのコフトゥンは、4回転サルコウ・3回転トゥループの大技を成功させ、さらに4回転トゥループも決めるという怒涛の4回転攻め。しかし、トリプルアクセルは2回転とするなど、相変わらずの詰めの甘さも見せます。せっかく4回転2つを決めただけに、勿体ないミスでした。

最終演技者として登場したのは羽生氏。羽生氏はコフトゥンの得点が出たあと、名前のコールとほぼ同時にコーチに送り出され、スタート位置へと向かいます。今季の「名前コールから30秒以内にスタート位置につく」という新ルールを考えると、少し慌ただしい段取りだったかもしれません。

今季のSPはショパンのバラード第1番。冒頭のジャンプはイーグル(両足を180度に開き、つま先を外側に向ける)で入ってから、着氷後に再び再びイーグルで滑走するという高難度のトリプルアクセル。着氷前後に相当の距離をイーグルで滑りつづけ、途中でチェンジエッジまで見せるなど、単なる「ジャンプ」とは言い切れないような、見た目にも面白い構成です。

得点においても出来栄えを示すGOEで+3.00点という最大評価を得ており、まさに「世界最高のトリプルアクセル」と言えるもの。昨季までは荒川静香さんを彷彿とさせるイナバウアーを見せていた羽生氏ですが、イーグルからのトリプルアクセルには浅田真央ちゃんの幻がフンワリ重なるかのよう。この3A、とてもいいですね。

さらにスピンでも難しい入りをしてくるなど、入れられる場所には常に何かを入れていこうという意識を感じます。「要素」⇒「休憩」⇒「要素」ではなく、「要素」⇒「つなぎの要素」⇒「要素」という連続性。時間いっぱいまでパンパンに詰め込んでやろうという感じ、やる側は大変でしょうが、見る側にとってはありがたいところ。

しかし、演技後半に入ってからのジャンプは2つとも痛いミス。特に必須要素のコンビネーションが抜けてしまったのは、大きなミスとなりました。直前の練習ではキレイに4回転も決めており、調子はそこまで悪くなさそうでしたが…まぁシーズン初戦はこんなものすかね。初戦ですからね。

↓2年煮詰めた「パリの散歩道」レベルへ、これからコトコト煮詰めていきましょう!


演技後に投げ込まれるプー・プー・プーの山!

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得点表示を見て苦笑いする羽生氏。本人は「最悪の一言です」と振り返りますが、自身の感覚以上に評価されている点については、一定の手応えも感じられたのではないでしょうか。ジャンプのミスはどうしても目立つ部分ですが、演技全体2分50秒の中で言えば一瞬の出来事に過ぎません。濃密な2分50秒を煮詰めていき、その中でスピンもステップもジャンプも決めていく完成度こそが重要です。

そういう意味では、ジャンプの成否以外もまだまだ発展途上の新プログラム。ここからの進化が楽しめな滑り出しとなったのではないでしょうか。完成品に到達するまでの過程を見守るのも、シーズンの醍醐味ですからね。初戦から完成してたら、ちょっとつまらないですからね。今が「最悪」なら、もう上がるしかないですからね。アゲアゲGPファイナル、アゲアゲ世界選手権、今から楽しみですね。


初日から千秋楽へ、昨季から今季へ、進化していくからこそ面白い!